その1 悩み
僕は昔から悩んでいることがあった。
最初の頃は「ちょっと変だ」ぐらいでしかなかった。
でも、ちょうど中学に上がり始めた時、それが明確になった。
「井上純さん! 好きです! 付き合ってください!」
この頃から、僕はクラスの男子から告白されるようになった。
でも……なんとなく、それに違和感があった。
「……ごめん、僕……そういうの興味ないから」
「……え?」
「じゃあね」
僕は興味なさげに、背を向けてその場を後にした。
今思えばかなり冷たい行動だが、本当に興味が無かったのだ。
「はぁ……まただ」
☆
「ただいま」
「おうおかえり!」
「姉ちゃんおかえり!」
家に帰ると、お父さんと弟が迎えてきた。
「さ、純も帰ってきたところで、夕飯にしようじゃないか!」
「わーい! ごはーん!!」
「……」
お母さんは看護自衛官で、帰ってくるのは稀、家の事はほとんどお父さんが担っていた。
故に僕は、男性に囲まれた中で生活していた。
「おーい、純、どうしたんだ? なんか浮かない顔してるじゃねぇか」
「……別に」
「別にってなんだ? ちゃんと言いなさい」
「なんでもない! 着替えてくるから先食べてて!」
「おい純!」
この頃の僕は頭の中がごちゃごちゃしていて、常にイライラが溜まっていた。
部屋に戻り、僕はベッドに寝そべった。
「はぁ……これで何回目だろう? 男の子に告白されるの」
もはや両手で数えられないくらいには告白された。
でも全て断った……なぜなら。
「なんか……男の子と付き合うのって……嫌だなぁ」
男の子と付き合うのは、なんとなく違う気がした。
そりゃ僕は女の子だし、普通は男の子と付き合うんだろうなというのは、周りを見てもわかる、だけど……。
「僕……本当に女の子なのかな?」
自分が女であることに、違和感を覚えてしまった。
この頃は髪も長くて、お母さんが家に帰ると、「かわいくしてあげる」と言われて、髪を結ってくれたりしていた。
でも……なんとなく、「かわいくなる」ことに違和感があった。
周りの女の子はかわいいものが好きだ、友達からも勧められたこともある。
「でもなぁ……これ、僕には合わないな」
なぜだろうか、僕は……他の女の子と何かが違う。
僕は、一体何なんだろう?




