第98話 「本当にくだらない」
奴が何かを言っているが……今の私には何も聞こえない。
目の前は……何故だか分からないがぼやけている……コメント欄が動いているのが分かるけど、なんにも見えない。
痛みも段々……和らいできたかな?
そっか……私……死んじゃうんだ。
最初は凄いもん手に入れたと思ったこの腕輪も……携帯も……最後はこんな感じで終わるのか……。
まぁでも、Vtuber人生……これで終わりなのもいいかな? 最終的にはいい結果を残せたと思うし……いい夢見せてもらったよ。
ただ一つ心残りなのは……純ちゃんと、Vtuberの姿でコラボ配信……したかったな。
「純……ちゃん……」
私は……目を閉じた。
「美羽さんに……手を出すなああああああああああああああああああああああ!!」
「ぐはぁ!?」
……痛!? な、なに!? なんか……背中とかに……衝撃が……。
ふと目を開けると……純ちゃんが、奴と殴り合いをしていた。
『うおおおおおおおおお純様かっこいいいいいいいいいいい!!』
『美羽ちゃん!? 大丈夫!?』
『2人とも頑張れえええええええええええ!!』
コメント欄が……声援で埋まっている……。
そうだ、みんなが観ている……ここで……こんなところで……へばってる場合じゃない!!
「うおおおおおおおおおおお!!」
私は忍者の姿に戻り、刀を構えて……文字通り助太刀に入った。
私の斬撃は奴に命中し……同時に純ちゃんのキックが、その傷口に命中した。
それが奴の致命傷になったのか、奴は傷口を抑えて跪いた。
「よくも美羽さんを……絶対に許さない!!」
純ちゃんは奴目掛けて膝蹴りをお見舞いし、吹っ飛ばした。
倒れた奴にのしかかり、顔面に目掛けてパンチを連続で放った。
じゅ、純ちゃん? なんか……怖い……。
「調子に……乗るな!!」
奴もただやられているだけではなく、足で純ちゃんを吹っ飛ばし……立ち上がった。
「クソ……配信者風情が……調子に乗りあがって!! 私は天才クリエイター……このゲームの創造者だ……そう簡単に……クリアなんか……させてたまるかぁ!!」
「それはそれは……とんだクソゲーを生み出したもんだね!!」
私は奴目掛けて無数の手裏剣を投げた。
その多くが奴に命中し……奴は悶絶した。
「クソが……クソがあああああああ!! 私は……最高のゲームを作った!! 世界中を巻き込む……最強のゲームを!! ただお喋りしてる奴らに……ただ文字を書くだけの奴らに……理解なんてできまい!!」
「理解だって?」
「最強のゲーム?」
……そんなの
「「本ッッッッ当にくだらないね!!」」
私と純ちゃんは……奴に目掛けて拳を突き出した。
その拳が奴の腹に命中し……奴は壁に激突した。
そしてそれと同時に腕輪が外れ……変身が解除された。




