第96話 魔王
「……アームドオン」
『オーソライズ』
社長は掛け声を唱えた後、腕輪に携帯電話を嵌めた。
あ、あれは……私と同じもの?
『アームド、ザ・ラストボス……バトル、スタート』
そんな音声と共に……社長は姿を変えた。
露出度の高い服にマント……髪の毛は雪のように白くなった。
こ、これは……。
『な、なにあれ!?』
『奇抜すぎる』
『アレがセンテンドーの社長?』
コメント欄も困惑の色で染まっていた。
ふと純ちゃんを見てみると……彼女の体は小刻みに震えていた。
「どうだい? 怖いかい? 井上純……そりゃそうだよねぇ? 君は私に打ちのめされたんだからねぇ……」
そっか、純ちゃんはこいつにやられて、あんな状態に……。
許せない……純ちゃんをあんな状態にさせて……。
私は間髪入れず、手裏剣を投げまくった。
……しかしその攻撃を奴は読んでいたかのように片手で弾き返した。
「効かないなぁ……仮にも公式配信者だろう? もっと楽しませてくれよ!」
奴は飛び上がり、私に襲い掛かってきた!?
ま、まずい!
私は咄嗟に刀でけん制した。
「ほほう……やるねぇ」
「そりゃもちろん……仮にも『公式配信者』だからね」
「言うねぇ……だが!」
奴は足を突きだし、私を吹っ飛ばした。
私は吹っ飛ばされ……壁に叩きつけられた。
「ぐはぁ!? はぁはぁ……」
なんてパワーだ……全く太刀打ちできない……。
「み、美羽さん!」
吹っ飛ばされた私を見て、純ちゃんは正気を取り戻して、こちらに振り向いた。
「じゅ、純ちゃん! 前!」
「え? ぐっ!?」
奴は続けざまに、純ちゃんに攻撃を仕掛けていた。
純ちゃんは何とか攻撃を抑えられたが……奴の方が攻撃力は上のように見えた。
「おおっと? 君も中々だね……」
「こんなところで……やられたら……視聴者の人に失礼だからね!」
純ちゃんはガードを解くと同時に、奴に回し蹴りをお見舞いした。
奴は先ほどの私の様に、壁の方に叩きつけられた。
『純様流石! ¥1000』
『イノジュンやっぱ強い!』
『頑張れ! 純様!! ¥500』
コメント欄は称賛の声で埋まってるけど……油断は禁物だ。
私は痛みを抑えつつ立ち上がり、花火職人の姿に変身した。
「純ちゃん! 伏せて!」
「はい!!」
私は追い打ちをかけるように、奴目掛けて花火を撃ち放った。
花火は奴に命中し、美しい花を咲かせた。
「どうだ!?」
煙で奴の姿が見えない……攻撃は……効いたのだろうか?




