第95話 野望
「大森……社長?」
大森社長はノートパソコンを片手に、誰かを待っているようだった。
『え? あれセンテンドーの社長?』
『なんか余裕そう……』
『なんでここにいんの?』
『そういえば配信の冒頭に2人が言ってたこと……アレ本当ってこと?』
……大森社長は満面の笑みを浮かべ……立ち上がった。
「コメント欄の視聴者諸君! 私はセンテンドーの社長……大森悠だ! 私がここにいる理由は他でもない……このダンジョンの王が……私だからだ!」
『……え?』
『コメント……読まれてる?』
「あぁ、読んでいるとも……私も……この配信の視聴者の一人だからね」
……社長はパソコンを観ながら、コメントの質問に答えていた。
「百地美羽に井上純、君たちの配信……楽しませてもらったよ、やはり君たちをスポンサーにして正解だった」
「そりゃどうも……嬉しくないけどね」
純ちゃんは社長の言葉に、顔を顰めながら答えた。
「まぁ、そう怒らないでくれたまえ、君たちにはこれからもこのゲームのプレイヤーとして活躍していただきたいんだ……ここまで来るまで、君たちはそのプレイスキルで視聴者を盛り上げてきた……私も配信を観ていて終始興奮してしまったよ!」
……なんか、社長の雰囲気……凄い不気味だ。
「さぁて……君たちの目的は……ずばり、この一連のダンジョンパニックを食い止めたい……だろ?」
「……言うまでもないでしょ?」
「僕たちはそのためにここまで来た、それ以外に理由は無い!」
「ふふふ……そうさ、それでいい……私も……君たちをここで、この手で倒すことで、目的は達成するからね……」
「私たち?」
もしかして……ここまでモンスターがいなかった理由って……。
「大物配信者である君たちは、多くの視聴者の前で無様にも八つ裂きにされ……怒りに身を任せた視聴者が、ゲームの参加者となる……そうして悲しみの連鎖を広げることで、より最高のゲームが出来上がる……まさに完璧! 最高! 最強のゲーム!! 世界一遊ばれたゲームとして世界記録にも乗る!! あぁ……素晴らしい……」
「「……」」
私たちは、あまりに馬鹿みたいな野望を聞いて……呆れてものも言えなくなった。
『え……くだらな』
『ちょっと何言ってるのかわからない』
『ごめん、誰か説明して』
コメント欄も、困惑の色で埋め尽くされていた。
「まぁ、我々クリエイターの野望など、常人には理解できないさ……」
「理解したくも無いね」
「ふふふ……まぁいい……さっさと決着をつけようじゃないか、配信者諸君?」
大森社長は、懐から携帯を取り出し……口元に近づけた。
「……アームドオン」




