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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第86話 バレンダンジョン。勇者一行

いつもながら、誤字報告ありがとうございます。

2022年10月12日7:00

73話

『ソーメンはよく見るブランドだが、妙にお高い種類があったので、試しにそれを買ってみた。』

ソーメンを買う場面に追加しました。


 バレンの北にある冒険者ギルド支部で、ケイブ・ウルフを売ったところ1匹当り金貨20枚、3匹で金貨60枚になった。その上、Fランクだった俺の冒険者ランクが、一気にBランクにまで上がってしまった。Bランクになったからと言って、真面目に冒険者稼業などする気は全くないのでどうってことはないのだが、何となく得をした気分になった。リサに教えてもらったおかげだな。


 昇格だか昇級が何気に嬉しかったので新しく貰った銀色のギルド証の角に孔を空けて、ワーク〇ンスーツ用の安全靴の靴紐をコピーで作り、それを使ってギルド証を首から下げておいた。そしたら、カウベルを思い出してしまい、やっぱりアイテムボックスの中に収納しておいた。


 街から街道に出て冒険者ギルド支部に向かっていた時はいい天気だったが、ギルドで用事を済ませ外に出たら雲が出始めたようだ。少し気温が上がって汗ばむくらいだったので丁度いい。


 人の流れを伝ってダンジョンの入り口がありそうな方向を見ると石でできた門が見えた。実物を見たことはないがパリの凱旋門をだいぶ小さくしたような感じで、真ん中の空洞の左半分から人が消えていき、右半分から人が現れていた。俺の位置からではよく見えないが人の出入りしているところにあの揺らぎがあるのだろう。


「おい、あんた」


 門に向かって歩いていたら、俺の後ろから、おっさんの声がした。俺に話しかけているようだ。


「おい、あんた。この先はバレンダンジョンだ。

 素人がフラフラ入っていいところじゃないぞ」


 言われて気付いたが俺の格好は普段着だった。確かにみんな鎧なり何なりの防具を着けている。


「どうも。ここのダンジョンは初めてなので、どんなダンジョンか見てみたくて。ちょっと中を覗いたらすぐ出ます」


「あんた、遊びで中に入ろうってんなら痛い目に遭うかもしれないぜ」


 確かに、生活のかかった冒険者から見たら、素人の物見遊山は不快だろう。


「いちおう、わたしはBランクですが冒険者やってますので、言うほど素人じゃないかもしれません」


 そう言って、角に孔を空け靴ひもを通した銀色の冒険者証を取り出し首にかけて、おっさんに見せてやった。


「なんだ。あんた玄人ぼうけんしゃだったのか。紛らわしいことするなよ。チェッ」


「すみません」


 おっさんは親切心から俺に注意したのかもしれないし、俺もわざわざケンカしたいわけでもないので、素直に謝っておいた。社会人としては当然か。


 おっさんとはそれだけで、そのあとすぐに俺は揺らぎの中に入った。


 揺らぎを通って出た先は、自衛隊の中隊本部が置かれていた空洞ひろまそっくりだった。その広間から何本も洞窟が延びているようで、洞窟それぞれに人が行き来していた。


 見るものを見た俺は、そのまま踵を返し後ろにあった黒い鏡のような板に入ってダンジョンから出ていった。


 しかし、ここのダンジョンは人の出入りが激しい。ダンジョンから出てきた冒険者たちが背負ったリュックの中にはモンスターの死骸とかが入っているのだろうが、改めてモンスターの密度が南のダンジョンとはケタ違いなことに驚いた。新しいダンジョンだとモンスターが過疎っているのか、古いダンジョンだと、モンスターがむやみに湧いて出てくるのか。


 多くの人がダンジョン内で活動することによりダンジョンがより多くのモンスターを生み、そして、ダンジョン自身も大きく、深くなっていくのではと、俺のラノベとゲーム知識(けいけん)が告げている。


 真相がどうであれ、そういった現象は利用すればいいだけだ。


 ダンジョンを出た俺はまっすぐ歩いていけばまた冒険者ギルドだし人通りも多いので、わき道にそれて屋敷に転移した。これで、ギルド支部にもバレンダンジョンにもいつでも跳んでいける。



◇◇◇◇◇◇◇


 こちらは、勇者一行の二人と『赤き旋風』の4人。


 バタバタしながらもバレン南ダンジョンの中の探索を進め、最初の階段を下りていき、第2層にたどり着いたのは、善次郎たちと同じである。苦労して300段の階段を下りた先で、4面に扉のある部屋を丁寧に一つずつ確認していった。勇者一行の探索方法は階段の降り口の部屋を中心にらせんを描くように一部屋ずつしらみつぶしに確認している。


「ねえ、一葉、この部屋どこまで続くと思う?」


「わたしに聞いても分かるわけないじゃない」。田原一葉はかなりいら立っているようだ。一葉はレンジャーの能力で自分の位置が分かるのだが、この4面に扉のある部屋は際限がないように思われた。


 これまで何個か宝箱を見つけていたが、中から出てきたのはいずれも金貨で、そのことも一葉が苛立っている原因の一つになっている。もう一つの原因は、あまり出現することのないモンスターを勇者である山田圭子が簡単に斃してしまうことだ。一葉は戦闘で全く出番がなく、ダンジョン内でのサポーターとしての役割しかない。



『赤き旋風』のメンバーは2人からやや離れ、周囲を警戒しながら何も言わず二人を見守っている。


 1カ月30日で金貨1200枚の仕事はかなり美味しいが、リーダーのシャーナは月末の契約期間満了で契約の更新はしないことを、メンバー全員から了承してもらっている。


 目の前の二人は素人ではあるが、確かに才能だけはある。放っておいても大怪我はしないだろうと、契約終了時、神殿の大神官にシャーナは報告するつもりだ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 実力というか、潜在能力は認めてるんだろうけど、心構えというか、冒険者の心得を理解してない2人に呆れてる?見放した? [一言] これは死亡フラグやなぁ
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