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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第54話 ダンジョンアタック4、防具


 入り口の部屋から数えて3つ目の部屋の中は空っぽだったが、華ちゃんがデテクトアノマリーを唱えたら、異常を示す赤い点滅が何個もあった。床にあった赤い点滅は全部罠で華ちゃんが一つ一つ解除して、残る赤い点滅は壁に1カ所。


「アイデンティファイトラップ!

 罠はないようです」


「入り口の部屋の壁みたいにこれも何かが隠されてるんだろうな」


「ノックしてみます。ノック!」


 今回も華ちゃんがノックを唱えたら、前回同様壁で赤く点滅していた部分が下に崩れて、四角い空洞が現れた。今度は、その空洞に銀色に輝くハーフヘルメットが1つ置いてあった。


「ヘルメット?」


金物かなもののヘルメットより革のヘルメットの方が軽そうだが、一応戦利品だ」


 目の前に現れたヘルメットを手に取ったら、ビックリするほど軽かった。


「あれ? すごく軽い。

 華ちゃん、持ってみなよ」


 そう言って、俺は華ちゃんにヘルメットを手渡した。


「ほんとだ、すごく軽い。アルミ製?」


「アルミにしては色つやが良くないか? それにアルミとしてもこの厚さがあればこれより重いと思うぞ」


「そう言われればそんな気も」


「ちょっとかぶってみなよ。ちゃんと被れるなら儲けものだ」


 手に持ったヘルメットを華ちゃんが頭にのっけた。今の華ちゃんは三つ編みを頭の周りで巻いて後ろで留めているのでツインテールではない。そのかわり、そのぶん頭の大きさは大きくなっている。


「ちょっと大きいかも? ……。

 あれ? 勝手に縮んできた? ぴったりしたー。

 アゴ紐もないのにズレそうな感じはありません」


「ということは、魔法のヘルメットかな?」


「そうだ、わたし鑑定のスキル持ってたんだ。

 すっかり忘れてました。ちょっと鑑定してみます」


 ヘルメットを外して手に取った華ちゃんが「鑑定!」と言ったら、一瞬だけヘルメットが輝いたような気がした。華ちゃんの頭の上のライトの青白い光が強すぎて本当に光ったかどうかはわからない。


「ミスリルのハーフヘルメット。だそうです」


「ほかに分かったことは?」


「名まえだけでほかは分かりませんでした」


「そうか。そこは仕方がない。

 ミスリルということは完全にファンタジー金属だな」


「ミスリルなら私も聞いたことがあります」


「コピーできるか試してやろう。

 華ちゃん、ちょっとそれ、貸してくれるか?」


「どうぞ」


 華ちゃんから受け取ったミスリルのヘルメットをアイテムボックスの複製ボックスに入れて、錬金工房でコピーを作ってみた。


 確かに同じものができたのだが、ヒールポーション極を作った時ほどではないにせよ、どっと疲れが出てしまった。しかも、気力以外にも俺の体の中にあった何かが吸いだされて、その何かの量が減ってしまった感覚があった。それが何なのかはわからないが、吸いだされて減ったなにかはすぐに元に戻ったような気がした。何だったんだろうな。


 いずれにせよ、アイテムボックスの中の素材ボックスに入っていない素材なり元素なりが使われていたようだ。素材ボックスの中の廃車には大量のアルミ部品が入っているはずなので、今回手に入れたヘルメットはアルミ製などではなく本物のミスリル製に違いない。


 俺はオリジナルを華ちゃんに返して、アイテムボックスの中に残っていたスタミナポーションを急いで飲み干した。


「フー。落ち着いた」


 その後、俺もヘルメットをアイテムボックスから取り出して被ってみた。


 被った時はかなり小さかったが、そのうち頭にぴったりフィットした。


「このヘルメット良いな」


「岩永さん、ミスリルのヘルメットを作っちゃったんですか?」


「ちょっと気力と何だかわからない何かを使ったみたいだけど、うまくコピーできたようだ」


「ほんとに岩永さんはなんでもアリなんですね」


「かなりのことはできるけど、華ちゃんがいなかったら、ここまでこられていないんだぜ」


「そうかもしれないけど」


「そう言えば、俺がぶら下げているこの鍵も鑑定してもらえるか?」


「はい。鑑定!

 スケルトンキー、って名前でした」


「スケルトンキーってダンジョンのマスターキーのことじゃないか。罠の数がエグイ割に、入り口近くにそんなの置いておくとは親切設計にもほどがあるぞ!」


 ゲーマーとすれば嬉しいような嬉しくないようなやっぱり嬉しい親切設計に気を良くしてしまった。


「それじゃあ、そろそろ昼だし、ここを次の足がかりとして、いったん屋敷に引き上げよう」


「はい」


 俺が何も言わなくても華ちゃんが俺の手を握ってくれた。


「転移!」


 屋敷に戻った俺は、華ちゃんの被っていたヘルメットを受け取り俺のヘルメットと一緒にアイテムボックスに仕舞っておいた。


 スケルトンキーも一緒に収納して、失くした時のためにコピーも作っておいた。ヘルメットのコピーでは気力をごっそり持っていかれたが、スケルトンキーは素材が月並みだったのか、気力を持っていかれた感じはしなかった。そのかわり、また体の中から何かが抜け出ていった気がした。その抜け出ていったものは、今回もすぐに回復した。魂が抜け出ていったのなら大問題だが、簡単に回復したところをみると魂ではなかったようだ。




 昼食を食べ終え、みんなにデザートのアイスを選ばせようとアイスのパンフレットを配ったところ、みんな何を食べるか決めていたようで、今回はすんなり希望のアイスを配ることができた。


「このアイスもおいしー」「ホントだね」「しあわせー」、……。


 各人各様な反応をするのだがみんな幸せそうな顔をしてアイスを舐めている。


 アイスを食べ終えて居間に移動した俺は、リサに入れてもらったお茶を飲んで少しゆっくりしていたら、食事の後片付けの終わったみんなも居間にやってきた。夕食の準備が始まるまでみんなの自由時間なので、適当にCDをプレーヤーに入れてクラシックを流しておいた。



「華ちゃん、俺たちは防具を買いに行こう」


「ちょっと待っててください、向こうの服に着替えてきます」


 そう言って華ちゃんは居間から出ていった。俺も自分の部屋に戻って着替え、居間に下りて華ちゃんを待っていたら、2分ほどで華ちゃんが着替えて戻ってきた。華ちゃんが着ている服は先日スーパーで買った服だ。スーパーの衣料と言っても、中身が良ければ結構高級品に見えるところが不思議なものだ。ここには姿見がなかったので俺は自分の姿をあまり見ることはないのだが、俺の着ている衣服は同じスーパーで買ったものだが高級品には決して見えない自信がある。


 華ちゃんが俺の手首・・を持ったところで「転移」。


 俺たちは、俺のアパートから近い大きな道に面したワー〇マンの駐車場に転移した。



 店に入ったところにカートがあったので、それを押しながら、


「ヘルメットはあるから、手袋と、上下、それに靴だな」


「はい」


 コピーは簡単にできるし大きさも自由に変えられるのだが、今の俺からすれば身に着けるものの出費などたかが知れている上、女物と男物ではデザインにわずかに差があるようなので、今回は俺と華ちゃんで自分に合ったサイズのものを買うことにした。


 まずは丈夫そうな手袋だ。作業用だけあってゴツイ手袋が見つかった。手に合う大きさの物を選んでカートに入れる。靴はかなりゴツイ安全靴でそれなりに重かった。裏は滑り止めのゴム製だ。釘などを踏んづけても貫通しないようケブラー繊維が底に入っているし、つま先周辺には鋼板が入っている。


 手袋と靴はいい物が見つかったが、刃物の貫通を防ぐような上下はさすがに売っていなかった。そこらへんはニューワールドで革の鎧を買うしかなさそうだ。ここでは鎧の下に着込むことを考えて、そこまで厚くなく通気性の良い防水の上下を購入した。そのあと、ちょうど目についたカーボンファイバーで強化されたプラスチック製のヒザと肘用プロテクターを購入した。


 どの商品も色は黒で揃えている。


 華ちゃんは俺の選んだものと同じシリーズで、色も俺と同じ全部黒。サイズと性別違いを選んでいる。



 支払いを済ませて、華ちゃんを連れて店を出たところで、俺はいったん荷物を収納して、忘れないうちに先程買った二人分の商品のコピーを作っておいた。買ったものは全部黒なので、もし華ちゃんと二人でそれを着て街を歩くと相当目立つと思う。サングラスでもかければ最高かもしれない。



「鎧は、向こうに戻って調達するしかないな」


「さっき買ったものだけでも、かなり凄そうですけど」


「まあな。

 ヘルメットが手に入った以上、ダンジョンの中で他の防具も手に入りそうだがな。

 そうなると無駄になるかもしれないがリスクは減らした方がいいだろう」


「そうですね」



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