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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第494話 信用されてない。推理の果て。


 何とか無事に戴冠式を終えることができた。オストラン神殿から王宮までパレードし、宮殿で各国代表からの祝辞を受けた後王宮の庭園で開かれていた祝賀会に顔を出した。1時間ほどブラウさんの案内で庭園内の各所を回り祝賀会での役目を終えることができた。その間アスカ1号がビデオカメラを構えて俺たちからつかず離れずついてきている。


 俺はあいさつ回りが終わったところで、うちの連中が飲み食いしている特別席に戻った。ブラウさんはまだ他にあいさつする先があるということでそこで別れた。



 俺も特別席で軽く食事をしたあと、こういった席にはお偉方はいない方がいいだろうと思い、1時間以上飲食してお腹いっぱいのみんなを連れて早々に退散することにした。


 みんなを屋敷に帰した後、オストラン神殿に跳んだ俺はアスカ2号と機材を回収して屋敷に戻った。


 アスカ1号とドローン3号機はいつも俺の視界の中にいたからほとんどの場面を録画しているはずだ。



 アスカたちが録画してくれたビデオをこれから先俺が見ることはまずないだろうが、オストラン王国戴冠式記念ビデオとして放送権をテレビ会社に売ってやればわずかでも収益になるだろうし、何より宣伝になるだろう。万が一買い手がいないようなら、ユーチュ〇ブで公開だ。チャンネルを作ってコンテンツをたくさん作って、オストランの宣伝だ! 難しいところはアスカ3号に任せておけばうまくいくだろう。


 今日の夕食はなしにして、はるかさんの数学の授業が終わるころ、軽くサンドイッチで済ませることにした。サンドイッチの食材は俺が供給して、リサがサンドイッチを作り、それを俺がコピーして増やしたので、リサにもそれほど負担にならなかったと思う。ちなみに、数学の授業は後藤さんも手伝っている。



 夜食?を食べながら、


「今回は庭園での祝賀会だったけど、将来的には、宮殿の大広間とかでパーティーとか始まるのかな」


「ゼンちゃん。そういった物をするしないは国王であるゼンちゃんが決めればいいことなのじゃ。

 パーティーを開きたければ開けばよいし、開く必要がないと思えば止めればよい」


「これから先、いろいろな娯楽が日本から流れ込んでくるんだろうから、止めてしまうのも手だな。

 国の金で特定の連中のためだけにパーティーとか無駄だものな」


「貴族や豪商などの子女はそういったところで出会うらしいのじゃが、その芽を摘んでしまうのも一興なのじゃ。ヒャッヒャッヒャ」


「そういうふうにアキナちゃんに言われてしまうとちょっと罪悪感が生れるな」


「少しの楽しみくらい残してはどうじゃ? 使う金などたかが知れておるじゃろう。

 パーティーができないような国だと他国から侮られるかもしれないのじゃ」


「なるほど。その辺りは考えたこともなかった。国と国との関係にも世間体とかあるってことだな」


「その通りなのじゃ」


 アキナちゃんから国際政治のレクチャーを受けてしまった。確かにアキナちゃんの言う通りだ。


 オストランはそれでも周辺国の中では頭抜けた国だそうなのでそれなりのことをしていく必要があるのだろう。今回俺の戴冠式に各国から送られた贈り物に対して、宮殿のしかるべき部署の人間が査定して、その2倍から3倍のものをお返しするそうだ。そういう意味では相当の出費になるのだが、そこは国の格式の維持のためのコストということなのだろう。





 戴冠式翌日。防衛省との会議。


 この日の会議には久しぶりに外務省の世良事務官が出席していた。世良事務官は4月1日に正式発足した外務省アジア大洋州局ニューワールド担当課の課長だ。


 今日の彼女の出席は、今週末に控えるオストラン国王(おれ)の国賓としての来日について再度の確認をとりたかったためだそうだ。世良事務官はエヴァと連絡を取り合っているはずなのだが、エヴァも内実を知っているので答えようもなかったのだろう。いずれにせよ俺はこういった件に関して信用されていないらしい。今回は身に覚えがあることなので、主語は省いて、


「訪問準備は終わっていますから、大丈夫です」


 ゼンジロウ1号の準備は終わっているから嘘ではない。嘘はかないに越したことはないからな。


 またまた華ちゃんが口をへの字にして不穏な反応をしていたが、肝心の世良ニューワールド担当課長は気付かなかったようだ。防衛省側のいつもの4名はもちろん華ちゃんの異変に気付いていたのだろうが、まさか俺が影武者を用意しているとまでは想像できまい。これは特にデカい秘密(かくしごと)だが訪問が無事に終われば闇から闇に忘れ去られてしまう案件だ。



 俺の方は戴冠式を無事終えたことを伝えておいた。その際、アスカ1号が撮ったビデオから、俺がブラウさんから王冠を受けるシーンをアスカ3号がプリントしてくれたのでそれを会議に出ていたみんなに見せてやった。


 防衛省の面々も俺の鎧姿を見て馬子にも衣装と思ったことだろう。


 その日の会議はそれくらいで終わった。次回の会議はゼンジロウ1号(おれ)が国賓として来日しているので、会議はなく、次の会議はその翌週、ゴールデンウイーク明けになる。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 会議が終わり、川村局長と野辺次長が会議室に残り、いつものように雑談を始めた。



「局長、岩永さんが国賓として訪れる準備はできているといった時の三千院さんの顔を見ましたか?」


「見た」


「岩永さん、きっと何か隠していますよね」


「だな」


「何を隠していると思います?」


「見当もつかないが、国賓として日本に来ることに関係するとなるとなると、どんなことが考えられる?」


二月ふたつきほど前、岩永さんにゴーレムコマ発電機を製造したメーカーを紹介した時、岩永アニカさんといってアニメキャラそっくりな人を岩永さんが連れてきたことを覚えていますか?」


「昨日のことのようにはっきり覚えている」


「局長はファンだったんですか?」


「いや。

 過去形ではなく現在進行形だ」


「そうでしたか。それは眼福でしたね」


「そうだった」


「それで、岩永エレギルさんについてはすぐ日本国籍取得の手続きをしましたがその時岩永アニカさんの手続きはしていないんですよ」


「アニカさんはもともと日本人だった?」


「岩永さんの戸籍謄本には岩永アニカさんの名まえはありません。たまたま岩永姓なのかもしれませんが、アニメキャラそっくりの人が都合よくイワナガ・コーポレーションの技術担当部長というのは無理があるような気がするんですが」


「無理があるといっても、事実本人がいる以上どうしようもないのではないかね?」


「局長、岩永さんってダンジョンマスターですよ。ダンジョンガールズ以上のダンジョンガール。ダンジョンの外でも活動可能な超高性能ゴーレムを創ったのかもしれません」


「可能性がないとは言い切れないな。

 もしそうだとして、今日の三千院さんとどうつながるのかね?」


「ヱヴァンゲリ〇ンのアスカの実写版が創れるくらいなら、自分の実写版くらいわけなく創れると思いませんか?」


「岩永さんの実写版? あっ! 影武者!」


「あり得るでしょう?」


「国賓となれば宮中の晩餐会に総理との会見だ。十分あり得る」


「どうします?」


「どうもこうもどうしようもないだろう。

 それに、中身が何であれ肩書は『オストラン王国国王』なわけだから何も問題ない。はずだ。問題が起こったとしても、われわれ防衛省は何らあずかり知らぬことだから、そうでしたか!? とか驚いていれば乗り切れる。はず」


「そ、そうですよね」


「いずれにせよ、口外無用だ」


「はい。

 しかし、最近こんなのばかりですね」


「三千院さんがあの顔をしたら要注意ということだけは確かだ」


「そのうち、三千院さんがあの顔をしたら、条件反射で怖くなるかもしれませんね」


「さすがに、もうないんじゃないか?」


「それを祈りましょう」





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2023年5月3日、投稿しました

『魔法少女、ぷりぷりプリン。メタモルフォーゼ! 魔法少女に変身よ。』(全4話)

https://book1.adouzi.eu.org/n0855if/

よろしくお願いします。

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[気になる点] 華ちゃん、バラしてますよぉ
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