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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第485話 巨大ピラミッド2、ロマン


 ピョンちゃんレーダーはピラミッドの中にコアがあることを教えてくれた。


 俺たちはアキナちゃんたちが待つ場所に戻ってこのことを教えた。


「ほーれ、わらわの思った通りじゃった」


 この発言の前後関係や事実関係はこの際どうでもよいので、


「おそらく頂上の四阿あずまやが入り口だろうから、頂上に跳んでいこう」


「高さが5000メートルもあると気温がそうとう低そうですが、それよりも気圧が低そうなところが問題では?」


 華ちゃんに注意された。


「あっ! 何も考えずに転移していたら全員低酸素で気絶してそのまま帰ってこられなくなるところだった。いくら俺たちの能力が上がっていたとしてもやっぱり装備を整えてからじゃないと頂上にはいけないな。登山の装備になるんだろうけど、ああいった物は素人が扱えるものじゃないらしいから困ったな」


「残念なのじゃ」


「意外と大ごとになってきたよな。

 なにかいい手があればいいんだが」


「マスター。ピラミッドは電波を通すようですし、わたしがビデオカメラを持っていきましょうか?

 ピラミッドの中に入ってどんどん下りていけば気圧が問題ないところまでいけるかも知れません。そこでならマスターが転移で移動しても大丈夫なはずです」


 確かにいい案だ。アスカ2号の護衛にメタル警備ゴーレムを数体付けておけばたいていの敵は蹴散らせる。ただ、罠があったらマズいよな。となると、今のドローン2号機ではなく、本当に市販のドローンのようなマルチローターのドローンを用意するか。それをゴーレムが守る感じで運用して、ゴーレムに向かってはドローンからスピーカーを通した声で命令をする。


 よし、これでいこう。


 アスカ2号に今のことを話して、


「作れそうか?」


「はい。可能です。

 物品の購入に何日かかかりますが、ドローン本体の製造は1日で可能です」


 頼もしい。ゼンジロウ1号などと違ってやはりアスカたちを無駄に失う訳にはいかない。アスカたちとは食事を一緒にしていないがなんだか家族のようになってきた。


「それじゃあみんな、きょうはこの辺にして、探検は新しいドローンができてからだ。とにかくコアへの道が見つかったわけだから、次回を楽しみにしていよう」


「そうですね」「はい」「ワクワクなのじゃ」


 俺はドローンと器材をアイテムボックスに収納し、みんなを連れて屋敷の玄関ホールに転移した。その後俺だけロイヤルアルバトロス号のテラスに跳び上空で旋回中のドローン1号機を収納しておいた。ロイヤルアルバトロス号自身は最初の島の近くで錨を下している。


 ブリッジでロイヤルアルバトロス号へ、もし嵐がきたら危ないので沖合に退避するよう指示しておいた。指示を終えた俺はそのまま下に下りていき脱衣場に行って裸になって風呂に入ってしまった。今日は塩温水ではなく真水の湯にしておいた。近くの海の色は浅いせいで薄緑色だが、沖の方は紺色に見える。ロイヤルアルバトロス号の湯舟に浸かって眺める景色がいつもと違って新鮮だった。


 この9つの島に何か利用法があればいいのだが。密林の中に鳥がいたわけだから、何か食べ物があったはずだ。昆虫とかミミズとかの可能性も十分あるが、おいしい果物であることを願いたい。コアを見つけたら密林の中を探検してやるか。


 俺は湯舟から上がって子どもたち用に風呂の用意をしてから屋敷に戻った。



 子どもたちにロイヤルアルバトロス号の風呂の用意をしたと大きな声で言ってから居間の座卓に座った。先ほどまでピアノを弾いていたオリヴィアは風呂に入るため居間から出ていったので居間には誰もいなくなっていた。


 その日アスカ3号が新ドローン用の物品、ビデオカメラ、気圧計、酸素濃度計など発注した。




 巨大ピラミッドを見つけて5日目。注文品が届き翌日にはドローン3号機が完成した。



 ピラミッドの中に入っていくための手掛かりを探すため、ドローン3号機と護衛ゴーレムが一心同体の俺たちと操縦士のアスカ2号が見守る中、四阿の中に入った。


 護衛ゴーレムが床の上に立ってしばらくしたところで、床がエレベーターのように縦穴を下っていった。アスカ2号は護衛ゴーレムの後を追うようドローンを操縦して縦穴の中を降下させた。


 縦穴の中はいつものダンジョンと同程度の明かりで照らされていた。


 5分ほどでエレベーターの降下は終了した。エレベーターが止まった先は薄暗い四角い大広間だった。壁や天井の素材は金色の素材だ。Zダンジョンでもそうだが、ダンジョン・コアというものは金ぴかが好きらしい。


 アスカ2号の操作するノートパソコンのモニターに表示された気圧は1020ヘクトパスカル、気温は摂氏28度でやや高い。酸素濃度も25パーセントあり少し高い。少なくとも護衛ゴーレムが立っているところに罠はない。俺は念のため護衛ゴーレムをもう8体転送してやり広間に散開させ、罠がないか確かめたがどこにも罠はないようだ。あとは毒ガスの有無だがこればかりはどうしようもない。


 そうだ! 華ちゃんの魔法はビデオカメラ越しでも発動できたんだった。


「華ちゃん、ビデオカメラ越しに罠がないか確かめてくれるか?」


「はい。ディテクトアノマリー」


 大広間の中で赤く点滅しているところはなかった。毒ガスがあるならなにがしかのアノマリーとして床の上全体が赤く点滅していただろうから、部屋の中は安全と考えて良さそうだ。逆に仕掛けが何もないということは、空っぽということなので、それはそれで問題がある。自分の目でじっくり確かめていけば何かわかるかもしれない。


「大丈夫そうだな」


 転送でゴーレムを送り込めたわけだから、少なくとも今のところは転移、転送無効ではない。


「いってみるか」


「「はい」」「わらわがついていれば安泰なのじゃ」


「アスカ2号はどうするかな?」


「ドローンの機械一式と一緒にゼンちゃんのアイテムボックスに収納してしまえばよいのじゃ」


「そうするか。

 アスカ2号、数秒ドローンのコントロールができなくなるけどだいじょうぶかな?」


「はい。ドローンはだいじょうぶです。信号が届かなくなればその場でホバリングしています。5分以上信号が届かなければ、発進した位置に戻ってきます」


「優れモノだな」


「それじゃあ、アスカ2号、収納するぞ」


「はい」


「収納。

 そして」


 3人が俺の手を取ったところで、ピラミッドの中の広間に転移した。転移した場所はエレベーターの床の上だ。


 すぐにアスカ2号とドローン用の機械一式を排出して、部屋の中を見渡した。


「あれ? さっきノートパソコンのモニターで見た時より明るくないか?」


「モニターを明るいところで見ていたからじゃないでしょうか?」


「そうなのなー? 俺たちがここに現れたから明るくなったような気がするんだけどなー」


「ゼンちゃん。それより、この部屋の壁じゃ。モニターで見た時には壁はツルツルじゃったが今は模様が浮き出ておる。模様というより、浮き彫りに見えるのじゃが」


「本当だ」




 正面の壁に確かに浮き彫りが掘り込まれていた。ちょうど正面の壁の左の方にはトカゲのような浮き彫り、右に進むにつれてそのトカゲがだんだんと大きくなり、次の壁で小さくなって2足歩行になった。3つ目の壁で姿勢も直立し、容姿は人に似てきた。そして最後の4つ目の壁で文明の進歩らしきものが描かれていた。


「これって、恐竜が絶滅せずに順調に進化した歴史みたいだぞ」


「そう見えます。これって大発見ですね」


「このダンジョンって、恐竜から進化した何かが絶滅から逃れるために創ったってことなのか?」


「決めつけることはできませんが可能性はあります」


「いま、恐竜の子孫らしきものはいないよな?」


「ですね」


「ひょっとしてエレギルが恐竜の子孫?」


「ゼンちゃん、エレギルは間違いなく人間の女じゃ。わらわがちゃーんと隅々まで確かめておるから安心するのじゃ」


 確かに安心だ。


「となると、どこにいったんだろう?」


「まず考えられることは、この大空洞の中で何かが原因で絶滅した。

 もう一つは、地上が忘れられず、地表に戻ったものの天災の恐怖から逃れるため宇宙に旅立った。そうなるとロマンがありますよねー」


「じゃあ、今いる俺たち人間は?」


「わたしたち人間は、恐竜たちの子孫のペットだったサルがこの大空洞の中で野生化して進化したのかも」


「なるほど。そっちはそっちでロマンがあるな。そのペットの子孫たちが大空洞から地表に出て広がったのが、ニューワールドと地球の人間ってことだ。うん。これぞまさにロマンだ!

 将来、宇宙に旅立ったご主人さまと、人間が出会うことがあるかもしれないな。

 ご主人さまに地球から出ていけって言われそうだけどな。1億年近い進化の差があるんだろうから到底太刀打ちできないから出ていくしかない。俺たちが生きている間に起こって欲しくないシナリオだな」





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