第483話 魔方陣
3×3アイランズの最初の島の中にあった四阿が魔方陣の一部である可能性が高まった。
「じゃあ、残りの8つの島にこの四阿があるか調べないといけないな。
とりあえず、ここには石を2つ置いておこう」
俺はくぼみに2つ石を置いた。
「ドローン1号機の方が高速だからそっちを使おう。俺は操縦士のアスカ2号を探して連れてくるから、みんなはいったんロイヤルアルバトロス号に戻っておくか」
「「はい」」
みんなを連れてロイヤルアルバトロス号の居間に戻った俺は、アスカ2号がいる可能性の高い倉庫兼作業場に跳んだ。
運よくアスカ2号がいたので、ドローン1号機の操縦を頼んでロイヤルアルバトロス号のブリッジに連れていった。
「アスカ2号、9つある島のうち残った8つの島の真ん中あたりに石でできた四阿があると思うんだが、ドローン1号機で探してくれ。
いまドローン1号機をアイテムボックスから外に出す」
「はい」
俺はブリッジからテラスに出て、高度100メートルくらいのところにドローン1号機を排出した。ドローン1号機はすぐに隣の島に向かって跳んでいった。
ブリッジに入ってアスカ2号の肩越しにモニターを見ていたら華ちゃんたちもブリッジに上がって俺に並んでモニターを覗き込んだ。
5分もかからずドローン1号機は2番目の島に到着し、2分ほどで空き地と四阿を見つけた。
「アスカ2号、ドローンが次の島でまた四阿を見つけたらそこで旋回させておいてくれ」
「はい」
「華ちゃん。次の石は何個置けばいい?」
華ちゃんが自分のアイテムボックスからノートと鉛筆を取り出して、魔方陣を描いてくれた。
6 1 8
7 5 3
2 9 4
「2の隣りは7か9どちらでもいいんですが、わたしたちは今2の位置にいてドローンは右手に向かっていったから、9の方が分かりやすいので、9で」
8
1 3
6 5 4
7 9
2
俺がさっそく跳び出そうとしたら、華ちゃんが、
「危険がないことを確かめた方がいいから、一緒に行きましょう」
そう言ってくれたので二人でドローンが見つけた四阿に向かって転移した。
華ちゃんの魔法で四阿の周辺に異常はなく、その四阿も最初の四阿同様9枚の床石が赤く輝いて、床石一枚一枚に9個の半球状のくぼみが並んでいた。
そのくぼみに石の玉を置いていき、7つ置いたところでカチッっと音がして、あと二つ石の玉を新たに作って9個全部のくぼみに置いたらまたカチッっと音がした。
「いいみたいだな」
華ちゃんを連れてブリッジに戻ったら、3番目の島にも四阿があった。
ドローンは次の島に飛ばして、俺と華ちゃんで3番目の島に跳び石を4つ置いたところちゃんとカチッっと音がした。
その後も順調に四阿が見つかっていき、同じように石をはめていった。
9個目の島の四阿。ここは8個の石を置くところだ。7つ石を置いたところで、
「華ちゃん、魔方陣が完成したら何が起こるか分からないから、念のため俺の手を取っていてくれるか」
「はい」
「置くから、周りを注意していてくれ」
俺が8個目の石を置いたところで予想通りカチッっと音がして、それまで赤く点滅していた床石が点滅しなくなった。役目を果たしたってことか?
「華ちゃん、何か変わったことに気づいた?」
「いえ、アノマリーの点滅がおさまったことしか分かりません」
「魔方陣は何かの役割を終えたから赤い点滅が消えたんだろうけどな」
「ここではないどこかで、何かが起きたのかもしれません。例えばコアに通じる門が開いたとか」
「可能性はあるけど、どうなんだろうなー。
ここにいても仕方ないから帰ろう」
「はい」
俺たちはアキナちゃんたちが待つロイヤルアルバトロス号のブリッジに跳んで帰った。
「ゼンちゃん、大変じゃ。真ん中の島から輪っかが現れたのじゃ」
アスカ2号が気を利かせてドローンを6000メートルまで上げて9つの島全体で何か変化がないか偵察カメラで見回したのだそうだ。
再度アスカ2号が真ん中の島に接近してカメラが地上を映してくれた。モニターには四阿の建っていた場所に、四阿に代わり空に向かって垂直に輪っかが立っていた。金色の輪っかの中はゆらいでいた。
「よし、行ってみるか?」
「「はい」」「これでやっと楽しめるのじゃ」
4人で真ん中の島の真ん中に現れた輪っかの前に転移で現れた。
「あまり大きくはないな」
輪っかの直径は5メートルほど。四阿の床石はまだ残っており、その上に輪っかあるのだが輪っかの下端は宙に浮いていた。
「ゲートっぽいな」
「この先がどこに通じているのか。楽しみなのじゃ」
「前回はメタル大蜘蛛を突っ込ませたが、今回はドローン2号機で偵察してみよう。
アスカ2号を呼んでくる」
俺はブリッジに戻ってアスカ2号を連れて華ちゃんたちの待つ輪っかの前に戻った。
「アスカ2号、ドローン2号機を操縦して輪っかの先を偵察してくれ」
俺はそう言ってアスカ2号の前に、ドローン2号機と操縦用ノートパソコンに通信機、コードにテーブルを出してやった。
すぐにアスカ2号はケーブルを接続し、
「準備出来ました。
マスター、このゆらぎが別の場所につながっていた場合、ドローンは操作できませんのでゆらぎに入ってしばらくするとそこで滞空してしまいます。それでもゆらぎの中に突入させますか?」
ゆらぎは電波を通さなかったのか。失念していた。
「なら諦めるほかないな。
じゃあどうするか? ゆらぎの先が安全かどうか調べたいだけなんだがな」
「それでしたら、わたしが様子を見てきましょう」
「おまえでも対処できないほどマズい場所かもしれないからそれは止めておこう。
仕方がない。失っても全く惜しくないゼンジロウ1号に調査させよう。
出でよ! ゼンジロウ1号」
そこには、YKZスーツから白のストライプをとった黒のスーツをピチッっと着こなしたゼンジロウ1号が立っていた。黒のエナメル靴がピカピカだ。場違い感は確かにあるが、裸じゃないなら何を着ていてもいいだろう。
みんな何も言わなかったが、ウワーって顔をしてゼンジロウ1号と俺の顔を見比べているような。
「ゼンジロウ1号、そのゆらぎを潜って、その先が安全かどうか見てきてくれ」
「はい」
ゼンジロウ1号は輪っかをまたいで潜り抜けていき視界から消えた。ゼンジロウ1号の後ろ姿を見送る華ちゃんたちの目は、勇者を見送る目ではなかった。




