第479話 足立と下村と火野10。マハリト4
勇猛果敢の3人は高校3年生になった。かなり低い確率だが3人はまた同じクラスになっている。運が良かったと3人とも素直に喜んでいた。
3年の夏休みから本格的に受験勉強をするつもりの3人だが、2年生の3学期の間に行なわれた大学入試模試で、地元の公立大学の入試判定は3人ともA判定を受けていた。進路指導の先生からあと1年この調子で勉強していけば、もう少し上を目指してもいけるんじゃないか? と3人とも同じようなことを言われており、3人ともそのつもりでいる。
始業式の帰り3人はいつものようにドト〇ルの奥の席に陣取って、火野はお茶とケーキ、足立と下村はコーラとホットドッグを前にだべっていた。
「俺たち、どうもこの学校のトップクラスみたいだな。
うちの学校だと成績順位が発表されるわけじゃないから確実じゃないけど、そんな感じだよな」
「きっとそうじゃないかな。だって10段階で7以下、二人ともないでしょ?」
「俺は8が一つであとは9と10。親父もお袋も驚いてた」
「俺は8が二つであと9と10。うちも驚いてた」
「わたしも一緒で8が二つであと9と10だった。わたしたちどう見てもトップクラスよ」
「そういえば生徒会の役員になってみないかって先生に言われたし」
「そうだったよな。アレ俺たち3人全員断ったものな」
「先生も困ってたよね」
「学校の授業で先生の話を聞いて、家に帰って一度復習するだけでだいたいのこと覚えちゃうものな」
「わたしたちの頭が良くなった原因はダンジョンだよね?
受験勉強はテクニックとかもあるそうだから夏休みからは予備校とかに行った方がいいと思うけど、予備校の休みにはダンジョンに入った方がいいかもね」
「確かに」「そうだな」
「油断する必要はないけど、今のわたしたちダンジョンに潜ってケガをするような感じじゃないものね。でも受験生は受験生なんだから用心して浅いところで無理をしない感じでいかない?」
「うん」「そうしよう」
「話は変わるけど、今度オストラン王国の王さまが国賓として日本にやってくるじゃない?」
「「うん」」
「あなたたち、オストラン王国の王さまの名まえ知ってる?」
「知ってるよ。びっくりしちゃったよ。ゼンジロウⅠ世。でもさすがにこんどはZさんじゃないよな? ゼンジロウってオストランだと実はメジャーな名前かもしれないし」
「ゼンジロウがメジャーな名まえって、それはさすがにないんじゃないか?」
「じゃあ、Zさんがオストラン王国の王さまやってるのか?」
「それも可能性は低そうよね」
「だろ。となると、ゼンジロウというのはオストラン人の名まえで、イワナガ・コーポレーションの会長は日本人そっくりのオストラン人でZさんとは関係ない。ってことなのかな?」
「いや、それもちょっと無理があるよな」
「そのうちテレビで放送されるから、その時オストラン王国の王さまの顔は分かるわよ。そしたら自然に謎が解けるわよ」
「あと2週間くらいだものな」
「もし、オストラン王国の王さまがZさんならどうする?」
「どうもこうも俺たちじゃ何もできないだろ」
「それはそうなんだけど、もしそうなら、ワーク〇ンがオストラン王国王室御用達になるわけよね」
「そういう意味でも親しみが持てるよな」
「そうだな」「ほんとにそう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お花見を終えた俺は翌日華ちゃんと防衛省との会議にでて、ポーションとフィギュアを卸して屋敷に戻った。会議ではいろいろ説明が防衛省側からあったが、まとめると全て順調だということだった。
会議の翌日。
やはりマハリトのことが気になった俺は例の軽食屋の近くに跳んで、店に入って飲み物と、軽そうなサンドっぽい調理パンを注文した。
客のうわさ話が聞けることを期待してのことだったが、残念なことに店ががら空きで、うわさ話どころではなかった。
飲み物と料理を持ってきてくれた店員の女性に礼を言ったあと話しかけてみた。
「きょうは空いてるね?」
「ミルワに攻め込んだ軍隊が苦戦中だってうわさが流れて、若い連中は兵隊にとられるんじゃないかって隠れているのさ。
お客さんも昼間っからフラフラしてると兵隊に引っ張られるかもよ」
そう言って厨房の方に戻っていった。
思った通りというほどではないが、ハリト軍は苦戦しているようだ。
先日行進していた兵隊たちはまだ前線には到着していないだろうが、バラバラに増援部隊が駆けつけてもいわゆる各個撃破されるだけじゃないか?
しかも先日の兵隊たちは都の兵隊たちだ。今現在ここの防衛体制はどうなっているか不明だが、まかり間違えれば、前線が突破されて無防備なこの都が急襲される恐れもある。
さらに言えば、もし海軍が海戦で敗れれば、ミルワ軍が海を渡って直接このマハリトに上陸してくることさえ考えられる。これってそうとうマズいんじゃないか?
今から考えると、海賊の襲撃もタイミングが良すぎたもんな。あれで都の兵隊の数が短い期間だったけれどある程度減ったわけだし。
今回は勝手に都の守りをおろそかにしたわけだから敵からすれば願ったりかなったりの状況だ。ハリトの海軍に対してミルワの海軍が絶対の自信があるなら明日にでも主力同士の海戦を仕掛けてくるよな。しかも今度はミルワ側に大義名分まである。そういう意味で俺もハリトの味方などしないだろうし。




