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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第471話 エレギル12。発電所工事2、マハリトの土地


 翌日、発電機工事の業者を現場に運ぶため朝8時前にアスカ2号を引き連れて防衛省の駐車場に跳び、クレーンの付いた大型トラック2台を現場に運んだ。今日はそこまで大きな機械はないようでトレーラーは昨日だけだったようだ。


 現場に到着した俺は直径3メートルのメタルゴーレムコマ用フィギュアゴーレムコマを作業員が指示する場所に卸しておいた。転移や転送ではそれほど驚いていなかったし、アイテムボックスから取り出したフィギュアゴーレムコマが目の前に突然現れてもあまり驚かれなかった。ちょっとだけ残念だった。


 俺は作業員たちに今日もよろしく。と言って、アスカ2号を現場に残し屋敷に戻った。


 エレギルを連れて防衛省の会議室に行くのは10時なので時間つぶしのため居間のコタツに座っていたのだが、さすがにコタツの布団は不要だろうと思い、アイテムボックスに片付けておいた。今度コタツ布団を出すときには、新品を出すつもりなので、素材ボックスに突っ込んでやった。


 そこで思ったのだが、屋敷の内外を今も子どもたちが午前中お手伝いの一環として掃除している。これが大空洞の中の屋敷だったらお掃除ゴーレムに任せておけば何もしなくても屋敷の内外は常にピカピカだ。現にロイヤルアルバトロス号の中はお掃除ゴーレムのおかげでピカピカだ。やはりハリトでもらった土地には屋敷を建ててやるか。どうせなら現代建築の屋敷にしたい。電力についてはゴーレムコマ発電機をその場に設置できるからなおさら便利だ。当分先のことになるだろうがその方向で考えてみよう。



 布団を取り払ったコタツあらため座卓に座っていたら時間になったらしく、エレギルが余所行きを着て居間にやってきた。


「よし、それじゃあ行こう」


 靴を履いてエレギルの手を取った俺は防衛省の会議室に跳んだ。



 前回同様会議室には野辺次長とカメラマンが待っていてくれた。


「おはようございます。これがエレギルです」


「岩永エレギルです」


「おはようございます。岩永さん。エレギルさん」


「よろしくお願いします」


「はい。

 それじゃあ、エレギルさん。エレギルさんは証明書用の写真を撮りますから、そこの白いスクリーンの前に立ってカメラマンの指示に従ってください。

 岩永さんは、こちらの書類に必要事項をお書きください」


 エレギルの写真はすぐに撮り終わり、俺の方も一応書き終わった。


「前回同様1週間もあれば手続きは終わります。お任せください」と、野辺次長に言われた。


 エレギルの手続きも終わったしこれで一安心。


「いつもお世話になっています。

 そうだ。先日向こうのダンジョンの大空洞の中で見つけた果物があるんです。検疫をしてるわけじゃないので、日本国内に持ち込むのはマズいかもしれませんが、わたしたちが食べて問題なかったので、ここで食べる分には問題ないでしょう」


「いえ、さすがにそういう訳にはいきません」


「残念だなー。なら、食用になるかどうか、検疫を兼ねて検査していただきませんか?」


「それでしたら構いません」


「テーブルの上に出しますね。余ったら適当に処分してください」


 そう言って俺は、検査用に島フルーツを会議テーブルの上にいっぱいになるほど置いてやった。


「これだけの種類のフルーツが大空洞に生っていたんですね」


「日本の大空洞の中にもフルーツが生っているかもしれませんが、まだ見たことはありません。その気になれば、ダンジョンマスターの権限でどんな植物も生えさせることはできると思いますけどね」


「はあ。

 それでは至急このフルーツを検査いたします」


「さっきも言いましたが、そのフルーツは余ったら処分してくださいね」


「はい」


 テーブルの上から漂う甘酸っぱい匂いが部屋の中に充満してきた。匂いを嗅いで唾を飲み込んでしまった。



 いちおう味自慢の島フルーツを置いて、俺はエレギルを連れて屋敷に戻った。


「これで1週間経てばエレギルは日本国民になり正式に俺の娘だ。俺はオストラン王国の国王だからエレギルはエヴァたちと一緒で王女さまになる」


「わたしが王女さま?」


「父親が王さまなんだから、当たり前だろ? だからといって特別何がどう変わるってことはないけどな」


「は、はい」


「エヴァは自分の仕事の他に、オストラン王国の仕事もしてるから、どうってことないわけじゃないかもしれない。

 それはそれとして、エレギルも何か自分のしたいことがあれば言ってくれ。手伝えることがあれば手伝ってやるからな」


「はい。お父さん」


「うん」




 その日の午後、俺はマハリトの一等地に頂いた土地に案内してもらう約束だった。


 一人で行くと格好がつかないので昼食時マハリトに貰った土地を見に行きたい者を募ったところ、華ちゃんとアキナちゃんとキリアの3人が応募した。一心同体だものな。


 服装は面倒だったので普段着のままだ。大召喚術師ゴッコに飽きたともいう。



 マハリト城の城門前の橋の上に4人で現れたところ、ちょっと立派な革鎧を着た兵隊が駆けてきて、


「ゼンジーロ殿、お待ちしておりました。

 門中に馬車を用意していますのでお入りください」


 城の門をくぐった先に箱馬車が2台並んでいた。こっちの人数が分からないので多めに用意したのだろう。


 後ろの馬車から、ちょっとエラそうなおじさんが出てきて、


「ゼンジーロ殿、お待ちしておりました。私はスカラム宰相の秘書官を務める者です」


 そう言って頭を下げたので、「よろしく」と、ちょっとエラそうに言って軽く会釈しておいた。


 俺たち4人は後ろの馬車に乗り込み、馬車は出発した。


 馬車は橋を渡り、大通りを200メートルほど移動して、わき道に入っていき、そこからさらに少し行ったところで停止した。


 見ると確かに奥行きは100メートルだったが、横幅は500メートルはある広場だった。広場の片側の先はそのまま城だった。一等地には違いない。


 4人揃って馬車を降りると、後ろの馬車から秘書官が降りてきて、


「この土地をお使いください」


「この土地のどのあたりになるのでしょうか?」


「この土地全部お使いください」


「こんな場所にこれほど広い土地があるとは驚きましたが、まるまる頂いていいんですか?」


「もちろんです。ゼンジーロ殿へお礼として50ヒロ四方の土地では恥ずかしいということでこの土地を選ばせていただきました。ここは軍の馬場として使っていた場所ですが、ちょうどよいところにまとまった土地が見つかり助かりました。

 厩舎など建っていましたが、取り払っていますのでご安心ください。まだ少し馬の臭いが残っているかもしれませんがじきに消えると思います」


「ありがとうございます。ちなみにここを使っていた兵隊とかはどうなったんですか?」


「ちょうどよい機会でしたので、郊外に移しました」


 とにかくハリト側が俺たちに格別の配慮をしてくれたことはよく分かった。


「それではこの土地を使わせてもらいます」


「はい」


「それじゃあ、秘書さんと馬車は帰ってもらっていいです。

 われわれは、中を見て回ってそれから勝手に帰りますから」


 秘書官とすれば俺に付いていなければならないのかもしれないが、こっちも人に付き歩かれるのは気を使うし面倒なので、悪いが帰ってもらうことにした。


「それでは失礼します」


「宰相閣下によろしく」


「はっ!」


 秘書官が馬車に乗り込み、2台の馬車が帰っていった。


 頂いた土地の周りには胸の高さくらいの柵が巡らされていて、入り口には鎖が掛けられていたが簡単にかけられているだけなので容易に取り外せるし、飛び越えることもできる。軍の施設に勝手に入る者はいないだろうし、軍が使っていた時には門衛が立っていた可能性もある。



 ということで鎖を飛び越えて俺たちは頂いた土地の中に入っていった。


「これは、広いですねー。どうします?」と華ちゃん。


「ここまで広くなってしまうと、ますます遊ばせておけないよな。

 オストランの発展が第一であることは変わらないが、ここにもそれなりの貢献しないとならなくなったな。

 社会貢献はそのうちでいいが、ここを空き地のまま放っておけば中に勝手に入ってくる者が出てくるな。

 そうなってしまうと面倒だから、ここはダンジョンの中だし警備ゴーレムを置いておくか」


「それが良いのじゃ」


 そういうことなので、俺はアイテムボックスからメタル警備ゴーレムを10体ほど旧馬場の上に排出して、


「ここに不審者が入ってこないよう警備しろ。不審者は追い出すだけでいいからな」


 メタル警備ゴーレムたちが揃って右手を上げたので、俺の指示は理解できたようだ。10体はそのまま散開して警備を始めた。


「銀色じゃから目立ってよいのじゃ。よほどのバカ者でもない限りここに入っては来ないのじゃ」


 それから俺たちは頂いた土地の中を一周して屋敷に戻った。一周する間、これと言った利用法を誰も思いつけなかった。困ったー。


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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、ゴーレム展示会場にして、その周りに楽市を開くとか(笑)
[一言] 庭園か果樹園が順当なところ。スーパー銭湯なんかだとよくやるなとなります
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