表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/526

第47話 ピクニック2、ゴブリン襲来


「まだ少し早いが、ひらけたところを見つけて昼にしよう」


「「はーい!」」


 タートル号を始動して、もと来た方向に少しだけバックし、ハンドルを切って南に向かって進んでいった。


 しばらく進むとちょうどいい空き地が見つかった。タートル号を止めて、サイドを引いて、


「ようし。この辺りで昼にしよう。

 みんな車から降りてくれ」


 一様にシートベルトに苦戦していたが、それでもみんなシートベルトを外した。ドアの開け方を華ちゃんが教えてやり、自分たちでドアを開けて車から降りた。


 ビニールシートがあればよかったが、そういったものはたいてい用意し忘れるものだ。とは言え、ビニールシートごとき大錬金術師さまの俺の手にかかればちょちょいのちょいだ!


 持った感じやや厚手のビニールシートを手にして、


「草がまばらに生えてるところがシートを敷いたとき膨らんで邪魔だな」


「それならわたしが刈っちゃいます。ウィンドカッター!」


 華ちゃんの右手から何かが草原に向かって放たれ、そこらの草がいっきに切り払われた。


「凄いなー! ウインドカッターか。いいなー」


 俺が華ちゃんを褒めたら、華ちゃんは嬉しそうな顔をして右手の人差し指で自分の鼻の脇をなでていた。


 で、俺の方はというと、久しぶりに『ピロロン!』と同時にあの青い半透明ボードが目の前に現れた。


『1スキルポイントを使って、魔術Lv1を習得しますか? はい、いいえ?』


 華ちゃんがいる以上俺が魔術を覚えても仕方ない気がしたので今回は『いいえ』を選んでおいた。


 魔術を極めるためにはおそらく錬金術同様55ポイント必要だろう。極めればなにがしかの特典が付きそうなので、スキルレベルを上げるならマックスまで上げた方がお得のような気がするんだよな。今現在俺のスキルポイントは25ポイントなので当分先だ。そのうち他のスキルがどうしても欲しくなったり、必要になったりするしな。


 俺は華ちゃんが切り払った草地に錬金工房で作った青いビニールシートを敷いて、


「みんな、このシートの上に靴を脱いであがれー。

 この上で昼メシだ」


 俺が一番にビニールシートの上に上がって、アイテムボックスの中から各種ハンバーガーとポテトと飲み物をシートの真ん中あたりに取り出していった。紙コップと紙の小皿も人数分取り出して渡していく。あとチューブに入ったケチャップも真ん中に置いておいた。


 俺が並べた食べ物飲み物の周りにみんなで車座になって座った。


 男は俺一人で胡坐をかいていたが、残りの連中はみんな女の子座りだった。当たり前だが正座はいなかった。


「それじゃあ、いただきます」


「「いただきます」」


 みんながハンバーガーにかぶりついたところで、


「青空の下で食べるとおいしいだろ?」


 俺が言ったことを否定できる人物がこのグループにいるわけはないのだが、分かったふうなことを聞いてみた。


「はい」「とってもおいしいです」「何度でもピクニックしたいです」


「たくさん食べろよ。いくらでもあるからな」


 みんなが元気にハンバーガーを食べポテトをつまんでいるのを見ながら俺もハンバーガーにかぶりつく。アイテムボックスの中は時間が経たないのでいつでも買ったときのままだ。オリジナルはもう食べてしまって無くなっているので、いま出したものは錬金工房で錬成した作り立てほやほやハンバーガーだ。この出来立て感はテイクアウトでは味わえないんじゃないか?


 みんながある程度食べたところで、


「今日は前回とは違うアイスクリームを用意したぞ」


 俺はアイスクリーム屋でもらったパンフレットを3枚に増やして二人で一枚になるようみんなに配った。


「そこに書いてある文字は読めないだろうから絵だけで判断することになるけど、その中から好きなアイスを選んでくれ。一人一個だから慎重に選べよ」


 二人一緒になった頭をくっつけてパンフレットをのぞき込む。華ちゃんはイオナと一緒にパンフレットを見ていたが、あれこれ説明してやっていた。そしたらリサも含めて残りの4人も華ちゃんの持つパンフレットを覗き込み始めた。


「全部で32種類あるんだ。今日から毎日出してやるから、順番に食べていってもいいんだぞ」


 そう言ってやったがみんな真剣な顔をしてパンフレットとにらめっこしている。


「だいたい決まったか?」


 決まった順に俺はコーン付きのアイスを渡してやった。


「アイスの乗っかってる茶色の入れ物も食べられるからな。だからと言って最初に食べると溶けたアイスが下から垂れたり落っこちるから気を付けて食べろよ」


 老婆心ながらソフトクリームと、少しものは違うがチョココルネで苦い経験をした覚えのある俺は細かな注意をしておいた。


 俺の選んだのは抹茶アイスだ。抹茶アイスを最初に考えたやつは一種の天才か、タダのひねくれ者なのか知らないが、大人の俺の感性と味覚にマッチした素晴らしいフレーバーだ。


 アイスを食べ終わりしばらくシートの上で寛いでいたら、俺たちの周囲に何かいる気配がした。


『岩永さん! 囲まれています。おそらくゴブリンです』


 華ちゃんも気付いたようだ。


 俺は立ち上がり、久しぶりに如意棒を取り出した。


 しかし、いくら相手が弱かろうと全方位から囲まれると、子どもたちが襲われる可能性もある。


 俺はとっさに、アイテムボックスの中に残っていたニトログリセリン入りのポーション瓶をゴブリン?が潜んでいそうな周囲の茂みの少し上の辺りに排出してやった。


 茂みの中に落っこちたポーション瓶は、マズいことに茂みと地面の土のせいで割れることも爆発することもなかった。その代わり俺たちの周りの茂みの中からゴブリンが合わせて10匹ほど奇声を上げながら、こん棒を振り上げ向かってきた。


 ニトログリセリン入りのポーション瓶は放っておくと危ないので、落っこちた先は見えないが、何となく場所は分かるのでアイテムボックスに全部回収しておいた。結局意味のなかったニトログリセリン攻撃だったが、華ちゃんも含めて俺が何をしたのかはだれも気付かなかったようだ。





今回のサブタイは『ガメラ2 レギオン襲来』を真似てみました。特撮に迫力あって面白かったです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
MAXにしたい気持ちはわかるが、Lv1でも習得しとけば割れなかったニトロ瓶に攻撃して爆破出来たな そういえば、ダイナマイトは作らないんだろうか? ニトロを染み込ませる珪藻土ならホムセンでも百均でも入…
『1スキルポイントを使って、魔術Lv1を習得しますか? はい、いいえ?』 MAXにはならないけど、たったの1ポイントでLV1習得できるのにケチらないでも良いと思うよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ