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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第458話 マハリト2、見学


 俺たちはエレギルの案内でマハリト大神殿へ向かった。石柱の並ぶ正面の出入り口から神殿の中に入ると大ホールで、アキナ神殿やオストラン神殿の大ホールと同じくらいの広さだった。ホールのなかには石柱が2列に並んでいて。ホールの一番奥の壁の前には3体の大きな彫像が立っていて、その石像の前には大理石でできた箱のような物が置かれていた。


 真ん中の一際大きな石像は黒い御影石みかげいしか何かでできているようで、黒光りしていた。その黒い石像の両側におそらく大理石できた真っ白い女性の像が立っていた。


「エレギル、あの石像は何の石像か知ってるか?」


「はい。あの石像はこの神殿がまつっている神さまで、真ん中の黒い石像が鎧を着た女神ダークン。向かって左が半神トルシェ、右が半神アズランです」


「ふーん。拝めば何かご利益りやくがあるのかな?」


「さあ」


「賽銭箱があれば、……。あっ! 賽銭箱が置いてあった」


 よく見れば、女神像の前に置いてある大きな四角い箱は賽銭箱だったようで、その中に参拝者?が小銭を投げ入れていた。


 壁画の上には明り取りとして色とりどりの小型ガラスで幾何学模様が描かれていた。その関係でホール内は結構薄暗いのだが、その分雰囲気が出ている。


 観光客なのか、この神殿の氏子なのか、ただの近所の人だか分からないがホールの中には2、30人の人がいて描かれた壁画や天井画を眺め、正面の石像に見入っていた。


 天井画も壁画もエレギルが言うように見事なものだったが、俺から言わせるとイオナ画伯が描いたアキナ神殿の壁画の方が素晴らしいと思う。


 それでもホールの中を一通り見て回っていたら、大ホールの奥の方の扉が開いて紫色の巫女服を着た神殿の人が後ろに数名の青い巫女服を着た女性を連れて現れた。もちろんオストラン神殿の巫女さんたちの巫女服とは色だけでなく形も違う。


 その巫女さんたちがまっすぐ石像の正面に向かって歩いていき、石像の前でどう見ても日本の神社の神主さんがするのと同じように『二礼二拍手一礼』をした。それから巫女さんたちは俺たちの方に向かって歩いてきた。


 何となく身構えていたら巫女さんたちは俺たちの前を通り過ぎてそのまま表の方に歩いていって神殿から出ていった。巫女さんたちが俺たちの前を通り過ぎて行ったとき、エレギルが頭を下げていたので、俺も華ちゃんも頭を下げた。アキナちゃんはどうだったのか見ていない。たぶん頭を下げてはいないだろう。


「エレギル、さっきの巫女さんたちのこと知ってたのか?」


「初めて見た方でしたが、先頭を歩いていた人がこの神殿で一番偉い神殿長だと思います」


「俺たちも頭を下げてて正解だったな」


「わらわは空気が読めるので軽くじゃが頭を下げたのじゃ」


 アキナちゃんも成長していた。きっと映画の視聴を通じて、神殿界の仁義というものを身につけたのだろう。



 一通り神殿を見て回った俺たちは神殿を出て通りに出た。



「次はお城の方に行ってみましょう」


 エレギルの案内でお城に向かって歩き始めた。道は一本道で道の先に大きなお城は見えるが距離はかなりある。道を歩いていると何度か革鎧を着た2人組の兵隊に出会った。兵隊は普通に歩いていたので普通に都の市街をパトロールしているのだろう。


 俺たちの歩いている道は大通りで、道に面した建物はどれもそれなりに大きかった。入り口の上から道に向かって下げられている木の看板を見ると宿屋、レストラン、仕立て屋、雑貨屋といったところが3割で、残りは何の看板も出ていない建物だった。


「この通りだと見ててもあまり面白くないから、一つ通りをずらして庶民的なところを見てみないか?」


 ということで、俺たちは大通りから一本奥に入った道を歩くことにした。


 思った通り、その通りには、八百屋、肉屋、雑貨屋、乾物屋、その他もろもろの店が並んでいて奥さん連中が普通に買い物をしていた。ここがダンジョンの中だということが信じられないような光景だった。



「みんな何か欲しいものでもあるなら、お金なら俺が持っているぞ。

 エレギル、何か食べたい野菜でもあるのか?」


 八百屋の前でエレギルが立ち止まって野菜を眺めていた。


「野菜が欲しいわけじゃないんですが、今店の人が言ってた野菜の値段は、うちの町の値段の2倍近いものでした。しかも採れたてとはとても思えないような野菜でです。今までだったらいくら都の値段が割高でも、せいぜいディオスの町より2、3割ほどだったんです」


「何かあったのかな?」


「このまえの嵐で野菜なんかの値段は上がったんでしょうが、ここまで上がることはないと思います」


「だとすると何かな?」


「うーん。分かりません」


「品物もあまり多くないようです。ということは品不足からくる物価高。需要が多いのか供給が少ないのか分かりませんが、需要に対して供給が追い付いていない」と、華ちゃん。


「何か理由があるのだろうが、今のところ不明だな」


「ですね。

 それはそうと、岩永さん、この国のお金を持っていたんですか?」


 ディオスの町に跳んでいって、ポーションで商売したことは、誰にも言ってないものなー。その後海賊を殲滅したことは言えないから、この件についてもしらばっくれてしまうしかない。


「あ、あー。なんとなく持っているんだ」


「さすがはお父さん」「ゼンちゃんは頼りになるのじゃ」「?」


 アキナちゃんにはあの件はバレているのだが、約束を守って黙っていてくれたようだ。



 人の間を縫うように通りを歩いていくと、喫茶店ではないのだろうが軽食屋のようなものがあった。


「休憩がてら、中に入って見ないか?」



 店の中は混んでいるわけでも、空いているわけでもなく、5人揃って余裕で席に着くことができた。


 俺たちはその軽食屋?に入って席について、壁に書いてあったメニューから適当に注文していった。


 飲み物は紅茶とジュース、それに果実酒が置かれていた。食べ物はパンに肉や野菜を挟んだいわゆるサンドイッチが4、5種類。それに各種のスープ。酒の肴かもしれないがソーセージやハム、干し魚が単品で置かれていた。


 俺の頼んだのは、紅茶と野菜サンド。残りの3人も似たような軽いものを頼んだ。


 ほとんど待つことなく料理と飲み物がテーブルに運ばれてきた。


「エレギルはまだバレンやオストランのことは詳しくないだろうが、ここの感じはほとんどバレンやオストランと同じだったな」


「異国情緒的なものがあまりないところが逆に不思議ですよね」


「まあ、俺たち全員ハリト語が使えるからじゃないか?」


「そう言われれば、耳に入ってくる言葉が普通に理解できますものね」


「さっきの神殿で巫女さんたちが『二礼二拍手一礼』したのには驚いたがな」


「そうでしたねー。アレって日本から輸出したってことはないでしょうが、神さまへの敬意を表す形として宇宙的に普遍のものなんでしょうか?」


「宇宙は大げさかもしれないけど、けっこういろんな世界でやってるかもな。とはいえ地球だと日本だけじゃないか?」


「聞いたことはありませんがそうなんでしょう」


「そのうち、異世界を含めた文化人類学ってのが発達してその辺を解き明かしてくれるんじゃないか」


「随分先の話でしょうね。わたしもそのころはおばあちゃんになってるんだろうなー」


「華ちゃんを見てると、いつまでも若くて美人のままのような気がするんだけどな」


「岩永さん、本当にそんな気がしてますか?」


「もちろんだ」


「フフ」


 なんだか今の受け答えは正解だったようだ。なぜかキリアとアキナちゃんが笑っていた。




久しぶりに宣伝:

『常闇の女神』シリーズ。よろしくお願いします。

https://book1.adouzi.eu.org/s6906g/

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[一言] あ、出てきた 3人団w
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