第445話 攻撃作戦。
海賊団の本拠地の目星は付いた。今夜ロイヤルアルバトロス号で正確な位置を見つけてやろう。夜間なので本拠地の発見は難しいかもしれないが、レーダーを併用すれば何とかなるだろう。
屋敷に帰った俺は、後もつかえているのですぐに風呂に入り、子どもたち用に風呂を準備して、子どもたちに風呂に入るように言って居間に戻った。
華ちゃんが居間にいたが、オリヴィアが先ほど居間から出ていったところなので、自分でピアノを弾いていた。華ちゃんもその気になればコンクールでいいところまでいけると思うがそのことについては黙っている。
その日の夕食後、華ちゃんたち用に風呂の準備をして、俺はロイヤルアルバトロス号のブリッジに立った。
港から2日の距離ということだったが、ガレー船の速さを調べたところ通常航行速度は良くて時速5キロということだったので、いくら遠くても港から100キロというところだろう。
念のため、港から50キロ地点を目指してロイヤルアルバトロス号を進めそこから海岸沿いに移動することにした。
移動を始めて1時間半ちょっとで港から50キロほど離れたレングスト島の沿岸500メートルまで近づいた。そこからロイヤルアルバトロス号を左に転舵して島を右手に見ながら海岸沿いに20ノットで移動させた。水深は意外と深く50メートルはあった。
目指す海賊の本拠地は、海賊の本拠地というくらいだから、船の停泊に適した入り江になっている可能性が高い。入り江ならレーダーで見る海岸線は途切れているように見えるはずだ。今のところレーダーモニター上の海岸線は途切れているようには見えない。
10分ほど20ノットで航行していたら、右手に見えるレングスト島の沿岸は暗いなりに何となく白っぽい崖に変わってきた。その崖が徐々に高く、そして切り立ってきた。いかにもな感じがしてきたので、そのあたりで10ノットまで速度を落とした。
そこから15分ほど進んだところ、ちょうど、ロイヤルアルバトロス号の右手真横に当たる位置で突然レーダーに映る海岸線が途切れ、その先に不連続な海岸線が見えた。入り江だ。入り江の入り口には左右から崖が迫っていて、かなり狭い水道を作っている。
すぐにロイヤルアルバトロス号を停止したが水道の入り口をやや行き過ぎたので、ロイヤルアルバトロス号を逆進させて入り江の入り口、水道の正面で停止させた。入り江の奥には火が焚かれているようで人の気配があった。
水道に向かって張り出した崖を注意して見たところ、左右どちらの崖の上の方にもわずかに明かりが見えた。見張りと水道を通る敵船への攻撃用の砦の役目も担っているのだろう。
ロイヤルアルバトロス号も見つかっているのだろうが、崖から500メートルも離れているため直接的な攻撃の手段はないはずだ。
位置は掴んだ。俺はロイヤルアルバトロス号に30キロほど沖に出てそこで停船してそこで留まるよう指示して屋敷に戻った。
翌朝。
朝食が終わったあと、エレギルを応接室に呼んで、海賊の件について話をした。
「エレギル。夜の間に海賊の本拠地を見つけてきた。
おまえの両親を殺した連中だ。俺なら連中を叩き潰すことができるがどうする?」
「海賊の本拠地をなくしたところで、父さんも母さんも還ってくるわけじゃないから、別に放っておいても構いません」
「そうか。分かった」
とはいえ海賊団を放っておいたら、エレギルの家の前にいたあのおばさんだって次に海賊の襲撃があれば犠牲になるかもしれない。おばさんに限らずエレギルの知人が犠牲になるかもしれない。
エレギルの言葉は聞いたが、俺は海賊団を叩き潰すつもりになっている。エレギルはもとより、うちのみんなにも告げる気はない。
今のメタルゴーレムオルカは全長3メートルしかないので、いくら相手が木造船でも破壊するには少し小さい。なので、フィギュアを3倍にしてやった。メタル化したら全長9メートルのメタルゴーレムオルカになる。これなら木造船の船底を簡単に食い破れるだろう。メタルゴーレムオルカ2型だ。俺はメタルゴーレムオルカ2型のためのフィギュアを3個作っておいた。
陸上げされていなければ、メタルゴーレムオルカ2型で確実に海賊船を全部破壊できるはずだ。
あとは、本拠地の破壊方法だな。華ちゃんに頼めば簡単そうだが、今回は華ちゃんを動員するつもりはないので、俺一人の力で何とかしなければならない。斃してしまえば、方法の違いなどあまりないと思うが、さすがに人に対して王水雨とかは使いたくない。
気持ちは本拠地ごと海賊たちを吹き飛ばしてやりたいんだよな。
ニトログリセリンをドラム缶に詰めて100個くらい上空から落としてやるか。炭素の元の炭もかなりのストックがあるので、ニトログリセリンドラム缶100個分は楽に作れそうだが、ドラム缶が200リットル=200キロだとすると、ドラム缶100個で2万キロ=20トン。原爆のTNT換算何キロトンとか水爆の何メガトンを知っている俺からすると大したことがないような気がする。
そこで俺はあることを思いついた。
あの大空洞の天井の高さは、いくら何でもZダンジョンの大空洞以上あるだろう。どこまで転移で上まで上げることができるか分からないが、俺のアイテムボックスの中で燦然と輝く長さ10キロの6角柱を宇宙空間に相当する高さから落っことしたら大変なことになるんじゃなかろうか?
あの6角柱については実際のところ比重など見当もつかないのだが、1辺60センチの6角形は底辺0.6×高さ(ルート3×0.3)の三角形6個分なので積は約0.9平方メートル。
6角柱の長さは10キロなので体積は0.9×1万=0.9万立方メートル。
比重を鋼鉄並みの8とすると7万2千トン。上空100キロから落としてやれば少なくとも音速は超えるだろう。
有効利用してやろ。かなり深く埋まるのだろうが、上端まで埋まることはないだろうから回収も簡単だ。
作戦の詳細は、
明日の早朝。少し明るくなってから入り江に1キロくらいまで接近し、入り江の中で停泊中の(海賊)船を全て破壊したら帰還するよう命令してメタルゴーレムオルカ2型を3頭放つ。
行き来の時間を考えても10分で海賊船殲滅作戦は終了するだろう。
3頭が帰ってきたら収納し、6角柱による質量攻撃だ。
とにかく高く6角柱を宙に上げてそこで落っことす。いちおう見えている範囲なのでアイテムボックスの中から取り出せると思うのだが、どこまで高い位置で排出できるかは不明だ。
なので、うまく落下したとしても、高さが不十分で効果がほとんどない場合も考えられる。
効果が不十分なら、ニトログリセリン爆弾を使うが。いくらアイテムボックスの中といってもニトログリセリン爆弾は使わない可能性もあるし大量に収納してはおきたくはないので、爆弾攻撃前に錬成することにする。
質量攻撃の効果が十分ならそこで撤退。
逆に効果が十分を通り過ぎる可能性もあるので、ロイヤルアルバトロス号は沖合10キロ当たりまで後退しておく。
作戦はこれで完璧だ。




