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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第443話 エレギル11、埋葬2。調査1


 昼食の後のデザートは、月並みだったが楽園イチゴを出した。


 そして、約束の1時。


 革鎧などの防具までは着けなかったが念のためヘルメットだけみんな被った。エレギルにも新しく作ってやった。頭に乗せていたらそのうちピッタリはまってびっくりしていた。


「それじゃあ、みんな俺の手を取ってくれ」



 果物島の丘の上に俺たちは転移した。ここなら見晴らしもいい。


「まず、棺に二人を寝かせよう」


 コアルームで作った棺を取り出し、蓋を外して、その中にエレギルの両親を一人ずつアイテムボックスから出してやった。まだ死後硬直は起きていないので簡単に体をまっすぐにして二人をちゃんと並べることができた。着ている服が焦げてはいたが、これはそのままだ。


 そして、俺は午前中花屋で買った花束を錬金工房で増やし、


「花をちぎって、二人の周りを顔だけ残して埋めてやってくれ」と、言って、花束をみんなに渡した。


 棺が大きいこともあり、遺体を花で埋めるのは大変で、それなりの花束を使うことになった。


「棺の蓋を閉じるから、エレギル、ご両親に最後の別れをしてくれ」


「$#H@。

 二人にお別れを言いました」


 俺はうなずき、棺の蓋を閉めた。


 その後、深さ2メートルほどの墓穴を収納し(ほり)、穴の底に棺を転送した。


 穴の周囲に今掘りかえ(しゅうのう)した土ではなく別のサラサラした土を盛って、みんなに小型スコップを渡して、


「埋め戻そう」


 ザッ、ザッっと墓穴の底の棺に土が被ると音がする。すぐにその音もしなくなった。


 2メートルも掘り下げたので結構埋め戻すのに時間がかかったが、何とか埋め戻せた。最後に土を10センチほど盛り上げてその上に墓石を置いた。


 みんな終始無言だった。


 回りを片付け、最後に花束を1つ墓石の上に置いて、


「じゃあ、帰ろうか」


「みなさん、ありがとうございました」


 そう言って、エレギルは俺たちに向かった頭を下げた。


「うん。

 これから新しい生活だ。いろいろ慣れていかなくちゃいけないからしっかりな。

 じゃあ屋敷に帰ろう。みんな俺の手を取ってくれ」


 華ちゃんとキリアが俺の手を取り、エレギルは最後に両親の墓を一瞥して俺の手を取った。



 屋敷の玄関ホールに転移した時には、時刻はまだ2時だった。


 時間があったので、昨夜の港に跳んでいって様子を探ろうと思ったのだが、エレギルのオリジナルの言葉が分からないのでは文字通り様子を見るだけになってしまう。エレギルの言葉のスキルブックをコアに創らせるため、俺は先にコアルームに跳んだ。


「コア、ハリト語のスキルブックってできないか?」


「残念ながらZダンジョン内にハリト語なるものを話す人間がいないためスキルブックの作成はできません」


「ということは、ハリト語を話す人間を連れてくればハリト語のスキルブックが創れるわけか?」


「はい」


「すぐに連れてくる」


 俺は屋敷に戻り、『エレギルはいないか?』と声を出しながら探したら、子ども部屋の中にいたらしくすぐに俺のところにやってきた。


「エレギル、ちょっとついてきてくれるか?」


「はい。

 えーと、どこへ?」


「俺の手を取ってくれ。

 ダンジョン・コアのいるコアルームに行く」


「ダンジョン? ダンジョン・コア?」


 そういえば、エレギルにしてみれば自分たちの世界がダンジョンの中の世界と思ってはいないわけだから、ダンジョンという言葉を言葉だけでは知っているのだろうが理解できないのだろう。


「コアルームに行ってもダンジョンを理解することは難しいと思うが、そういった不思議な世界と思ってくれ」


 エレギルがそれでも俺の手を取ったので、二人そろってコアルームに跳んでいった。


「ウワッ!」


 エレギルは相変わらずコアルームの中を徘徊中のメタルバジリスクに驚いて俺の手をきつく握った。


「あいつらはこの部屋を守っているメタルバジリスクだ。俺の子分のようなものだから気にしないでいいから」


「は、はい」


 俺の言葉とは裏腹にエレギルの目はメタルバジリスクを追っている。エレギルは放っておいて、


「コア、ハリト語を話す者を連れてきた。これでいいよな?」


「はい。大丈夫です。すぐにハリト語のスキルブックを創りますか?」


「頼む」


「数は?」


「1つでいいかな。あとで何個でも作れるよな?」


「可能です」


「じゃあそれで」


 床から例の台座がせり上がってきて、真っ黒いスキルブックが上に一つ乗っかっていた。さっそく俺はそのスキルブックを折ってスキルを自分のものにした。


 メタルバジリスクを見ていたエレギルに向かって、


「エレギル。用事は済んだから屋敷に戻ろうか?」と、言ったところ、


「はい。

 えっ! 今のはわたしの言葉!」


「いま覚えたんだ」


「そんなことまで」


「俺はダンジョンマスターと言ってダンジョンの中を自分の好きなようにできるし、今みたいな芸当もできる」


 そのあとエレギルを連れて屋敷に戻った俺は、


「俺は服を着替えてからディオスの港の様子を見てくる」


 そう言って自室に戻って、ニューワールドで標準的な地味な服に着替えて、昨夜の港の近くに転移した。


 俺が現れたのは港に続く道なのだが、そこから港の方を眺めると昨日の戦いの跡は片付けられたようで名残のようなものは見えなかった。そのかわり港に面した町の方は多くの家屋の屋根が焼け落ちていた。


 港に近づいていくと地面には血の沁み込んだ跡がいたるところに残っていた。


 何食わぬ顔をしてもう少し歩いていくと無事だった波止場の木箱の上に二人の兵隊が腰を掛けて海の方を向いて雑談していた。俺はその二人の後ろに近づいて聞き耳を立てた。


「こちらの損害は60名。命はとりとめたが死にかけているのが10名。ほかにケガをしたのが100名か。兵隊の他に海賊に殺されたり火事で亡くなった者が20名、行方不明が10名前後」


「こちらが斃した海賊は80名。捕虜が40。

 あのまま戦っていたら負けていたな」


「そうだな。だがあの時いきなり敵味方とも地面に押さえつけられたんだがアレは何だったんだろうな? それとあの一瞬だけの塩水の豪雨」


「さあな。一つ言えることは、あの二つのあと海賊どもが撤退していなければ俺たちは負けてこの町は海賊どもに占領されてたってことだ」


「それもあるが、港の警備隊はよく頑張ったな。俺たちが兵舎から駆け付けるまで粘ってくれたからな」


「まあな。60名の損害のうち警備隊が50名。60人の警備隊で無事だった者は皆無だ」


「港の警備隊に回された連中は気の毒だったな」


「まったくだ。あと10日襲撃が遅かったら俺は港の警備隊勤務だったからな」


 死にかけの人間がいるのか。助けた方がいいと思うが、助けるためにはケガ人がどこにいるのか聞いて治療の許可をもらう必要がある。どうやって話を切り出せばいいんだ?


 薬売りという職業がこの国にあるのだろうか? いちおうハリト語にも薬売りに相当する言葉はあるようだ。


 俺はイワナガ運送のゴーレム用リュックを俺に見合った大きさで作り、中にヒールポーションを詰めた箱をいれて背中に背負った。


「お二人、お話中、申し訳ありません。

 わたしは、薬を売り歩いている者です。ケガ人が沢山いるとか? わたしの扱う薬はよく効くと評判の薬です。お試しになりませんか? お代は薬の効能がはっきりと表れてからでよろしいです」


「ほんとうか?」


「もちろんです。

 試してみませんか?」


「どうする?」


「効かなければタダという話だし、もし容態が悪くなるようなら捕まえればいいだけだから、試していいんじゃないか。隊長のところに連れていこう。

 薬の行商人、そういうことだから俺たちについて来てくれ」


 なんとか話が付いたのだが、薬が効かないと捕まえるとは。俺が捕まるわけはないのでどうってことはないが物騒な連中だな。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハリトの人たちはダンジョン内とは知らずに生活して、主人公の登場により新事実を知るのでしょうか? そして、実は今いる私達の世界も閉ざされた世界では、なんて「メガゾー○23」的な妄想まで…
[気になる点] あぁ、解るぞ、1人で突っ走るとみんなが怒るぞ、 特に、ハリト語?を1人で覚えて、相談もせずに飛び込むとか 重力魔法土下座されそうだなぁ
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