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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第439話 エレギル7、長い夜2。


 エレギルの両親の亡骸を放っておくわけにもいかないが、それ以上にエレギルを放っておけない。


「岩永さん、そろそろロイヤルアルバトロス号に戻りここから離脱しましょう」


「エレギルはどうする」


 俺はここで日本語からニューワールドの言葉に切り替えた。華ちゃんも察してニューワールド語で、


「放ってはおけないけれど、ご両親の亡骸も放ってはおけないし」


「わかった。どちらも連れていこう。エレギルに話してみる」


 ここで、日本語に切り替え、


「エレギル。ご両親はこうなってしまったが、頼る当てはあるのか?」


 エレギルは弱々しく首を振った。


「俺たちと一緒に来ないか?」


「父さんと母さんの亡骸を放ってはいけません」


「二人の亡骸は俺が運ぶ。適当な場所を見つけてとむらおう」


「そんなことができるんですか?」


「できる」


「それでしたら、お願いします。お願いします」


「ちょっとだけ待ってくれ」


 俺は、あの部屋の二人の亡骸をスキル能力で知覚し、その場で二人の亡骸を回収した。


「エレギル、今運んでいるようには見えないが二人の亡骸は今俺が回収したから安心してくれ。

 ゴーレムを置いてはいけないから、全部回収してそれからロイヤルアルバトロス号に戻ろう。

 二人とも俺の手を取ってくれ」


 二人が俺の手を取ったところで跳ぼうとしたら、エレギルが座って下を向いていたおばさんに向かって、「$#H@(さよなら)」といった。


 そして俺は転移した。



 まだ双方誰も立ち上がっていなかったが、もうすぐグラビテーが解除される。海側から攻めてきた連中はエレギルの両親の仇なのでできれば捕縛してやりたかったが、俺たちの仕事ではないし、今となっては誰が海側なのか明確に区別ができない。


 俺は周囲に散らばって警戒していたゴーレムたちを全部アイテムボックスに回収して、ロイヤルアルバトロス号のブリッジに戻った。


「RA号、沖に撤退だ」


「了解」


 ロイヤルアルバトロス号は後退しながら舵を切り、180度回頭したところで加速を始めた。


「RA号。このまま50キロほど沖に出て、停船だ」


「了解」



 おかに上がっていたのは正味20分くらいだったはずだが疲れた。


 華ちゃんは俺がRA号に指示を出しているあいだにエレギルを連れてブリッジから下に下りている。



 さて、エレギルを連れてきたものの、これからどうする? もう夜は更けている。寝かせてやらないとならないが、一人にしておくことは不安だ。


 後はエレギルの両親の葬儀だ。エレギルの国でどういった葬儀が行なわれるのか分からないのである程度エレギルに聞いてからだ。埋葬するとなると、果物島の適当な廃墟の一画がいいと思う。お参りに行きたいとエレギルが言えば俺が連れていけばいいだけだからそうしよう。


 俺はそういったことを考えながら、防具を脱いでアイテムボックスにしまい、キャビンの居間に下りていった。居間にはソファーに横になったエレギルとその隣に座る華ちゃんがいた。


「エレギルは、ソファーに横になって寝て(・・)しまいました」


「ここは安全だから放っておいてもいいか。

 目が覚めたら、喉が渇いているかもしれないから、コップに水を入れて置いておこう」


 そう言って俺はエレギルの前の小テーブルの上に水を入れたコップを置き、その後毛布を出して寝ている(・・・・)エレギルにかけたやった。


「華ちゃん行こうか」


「はい」


 俺たちはエレギルをキャビンの居間に残して屋敷に帰ろうとしたら、アキナちゃんが連絡用の小部屋の扉を開けて居間の中に入ってきた。


「どうじゃ?」


 アキナちゃんは全てを悟っての物言いに聞こえる。


「いろいろあってエレギルを連れ帰った。うちで面倒を見ることになる。本人次第だが俺の7番目の娘になりそうだ」


「フフフ。そうなるじゃろうな。

 今日起こったことは本人にとっては不幸なことじゃが、世の中悪いことばかりではないということを教えていこうではないか」


「そうだな。アキナちゃんの言う通りだ」


 うーん。アキナちゃんはこうなることが分かっていたのか? それなら、これとは違う結末を迎えられたのではないか? いや、エレギルにとっては結末というにはまだ早すぎる。ということは、今回の出来事がエレギルにとって最もいい結果をもたらすということなのだろうか?


 神さまであるアキナちゃんしか分からない。と、いうことなのだろう。まさに神のみぞ知るだな。


「ここは安全だから、俺と華ちゃんはエレギルを置いて屋敷に帰ろうと思ってたところだが、アキナちゃんは?」


「わらわがエレギルを朝までみておるので心配せずともよいのじゃ」


「アキナちゃん、いいのかい?」


「問題ないなじゃ。わらわは7年間も眠っておったのじゃ。一晩徹夜などたかが知れておるのじゃ」


 以前同じようなセリフを当人から聞いたことがあったような。まっ、いいだろ。


「それじゃあ、アキナちゃん、よろしくな」「アキナちゃん、ありがと」


「任せておくのじゃ」



 俺と華ちゃんは屋敷に戻って、俺は寝支度をしてすぐに眠りについた。



 翌朝。


 早めに起き出し朝の支度を終えた俺は、ロイヤルアルバトロス号のキャビンの居間に跳んだ。


 予想通りアキナちゃんはソファーに横になって寝ていた。寝ながらニマニマ笑っているのだが、何かいい夢でも見ているのだろうか? まだ外は暗いし、朝食までの時間はあるのでアキナちゃんにも毛布を掛けておいてやった。そのあと、ブリッジデッキのテラスに行きそこでメタルゴーレムドラゴン1号、2号をアイテムボックスから空に放ってロイヤルアルバトロス号の護衛を再開させた。


 屋敷の方の居間に戻った俺は照明を点けてソファーに座っていたら、リサがやってきた。


「おはようございます」


「おはよう。

 昨夜いろいろあってエレギルをうちに連れ帰ってきた。エレギルの朝食も頼む」


「はい」


「おそらく、ずーっとこの屋敷に住むことになるだろうからよろしくな」


「はい」


 返事をしてリサは居間から出ていった。




 朝食時にみんなに今と同じことを言わなくちゃいけないな。さて、エレギルの部屋はどこにしようか。子ども部屋に6人だとさすがに狭いし。かといって一人部屋では心配だし。


 これもエレギルの希望を聞いてからだな。それにしても、いよいよこの屋敷も狭くなってきた。




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