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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第425話 会議の後


 隠し事をカミングアウトしたことにより、気持ちが少し楽になった。ような気がする。今さらだがこんなことならダンジョンマスターになった時すぐに話しておけばよかった。二度あることは三度あるというが俺にはもう何の秘密もなかったハズ。だよな?



 華ちゃんと一緒に屋敷に帰った俺は特に何もすることがなかったので、部屋に戻って普段着に着替えた後、ロイヤルアルバトロス号の居間に跳んでいった。


 そこではアキナちゃんが一人で大画面を見ていた。広島弁の怒声がスピーカーから響いてくる。この音量だと広島弁の怒声が船内全体に響き渡るんじゃないか?


 俺は何も言わずというより何も言えず、屋敷に退散した。


 屋敷に戻って消耗品を補充して回わったのだが、最近はリサも日本のスーパーに出かけて買い物をしている関係で、ほとんど補充する必要がなかった。


 困ったー。何もすることがない。こうなってくると明日の大空洞の探検が楽しみなのだが、明日は果物島の探検ではなく、コアを目指して海を渡っていく予定だ。海は広いな大きいなだった場合、ただピョンちゃんと一緒にロイヤルアルバトロス号に乗っているだけで終わってしまいそうだ。



 華ちゃんはオリヴィアのピアノを見ているし、イオナは絵画部屋で絵を描いているようだし、キリアはさっきアスカ1号を相手に訓練していた。エヴァはどこかに行って仕事をしているのだろう。


 リサのお手伝いを俺ができるわけもないので、仕方なくまたロイヤルアルバトロス号に跳んで、船内図書館のコミックを読もうとしたのだが、上の方から重低音で広島弁の怒声が聞こえてきてとてもコミックを読める雰囲気ではなかった。仕方ないので、北斗〇拳全27巻をコピーして屋敷の自分の部屋で読むことにした。しかし、アキナちゃんはこういったのが好きなんだ、とあらためて感心した。


 そういえば、アスカ3号に頼んでいる宮殿の図書館用のコミックはいつ届くんだろう? 早く来ないかなー。俺も暇だから、パソコンを用意してユーチュ〇ブをスマホの画面じゃなくて大きなモニターで見ようかな。ユーチュ〇ブを見るくらいなら俺でもパソコンを使えるだろう。

 



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 善次郎たちが防衛省の会議室から転移して帰ったあと、川村局長が会議室にいた3人に前回同様、


「さきほどのダンジョンマスターの話も極秘だ。許可が出るまで決して口外しないように。おそらくあと100年は許可が出ないと思ってくれていい」


「「はい」」



 田中事務官と山本一尉が退出した後、川村局長が会議室に残っていた野辺次長に、


「今回のカミングアウトは、予想していたことでもあったので、それほど驚かなくてよかったな」


「しかしダンジョンの最下層に到達したというあの物言いからすると、最下層はあの大空洞ではなくさらにその先だったということですよね。あの短期間であの広大な空洞を探索して下層へ通じる階段を見つけたということでしょうから、岩永さんの冒険者チームは冒険者としての実力という意味では隔絶していますね。三千院さんも本来はグリーンリーフの面々と同じ高校生だし、残りの岩永さんの義理の娘さん二人は15歳以下だったはずですから」


「そうだなー。まっ、よかったじゃないか。グリーンリーフたちも大空洞より上の階層で活躍していることだし。人気は上々だし」


「そうですね。

 それでどうします?」


「何の件かね?」


「オストラン王国へつながるゲートの位置です」


「そうだなー。ある程度交通の便が良い空き地となるとどこかなー?」


「岩永さんが言っていた山陰の町はどうです?」


「山陰地方の田舎町だと交通の便が悪いんじゃないか?」


「第28ピラミッド=ダンジョンの近くという話ですから、道路は整備されているはずなのでそれほど交通の便が悪いわけじゃありませんし、何より岩永さんも喜ぶんじゃないでしょうか?」


「オストランとの交易が盛んになればなるほど彼の実家のある町が栄えるわけだろうからな。それに交易が盛んになれば高速道路もそこまで延びるだろうし。

 じゃあ、それでいこう。岩永さんの話だとゲートの大きさは任意だそうだから自動車で出入りするつもりで、既存の道路への接続を考えて位置を決めてしまおう。

 野辺次長は省内の土木専門家に『第28ピラミッドの近くに2車線のトンネルに相当する坑道を掘りたいが、周辺の基幹道路から接続しやすい位置を考えてくれ』とでも言って、都合の良い場所を探し出してくれ。来週の会議で岩永さんに図面を渡せるようにな。

 そうそう。あのあたりの山は岩永さんのお父上の持ち物だそうだから、その辺りも考慮してくれ」


「了解しました。

 近い将来、わが国とオストランが実質陸続きとなることについて、外務省に知らせておきますか?」


「それは必要ないだろう」


「そうですね」


「それと、いらぬ詮索をされないうちにゲートはオストランが持つ特別な技術で作られたことにしようじゃないか」


「例のweb小説家にその旨リークしておきましょう」


「頼んだよ」


「はい」


「しかし、彼もいろいろと役に立つな」


「少々いかがわしい見た目が、なぜか若い人たちに受けているようです」


「ほう。となるとわたしにも需要があるかな?」


「ノーコメントです」






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