第421話 宮殿レベルアップ
結局アキナちゃんたちは夕食後、〇の錬金術師の第3話と第4話を見たようだ。それからアキナちゃんたちははるかさんの算数、今では数学の授業に勉強部屋に駆けていった。どうして俺がアキナちゃんたちが〇の錬金術師の第3話と第4話を見たことを知っているのかというと、俺も一緒に見てたからだ。不思議なことというか当然だと思うが、見終わった後アニメの内容をちゃんと覚えていた。
ということは、俺は重度のラブロマンス拒否症の疑いが強くなってきた。他にも拒否症があると思う。例えばホラーものだ。ぜったい見たくない。洋もののスプラッター系は全然平気と思うのだが、和式のホラー、アレはダメだ。怖すぎる。
見終わった後アキナちゃんに明日も見るのかと聞いたところ、明日からちゃんと1話ずつ見るそうだ。そのかわり、映画を1本予定しているという。
「その映画は何にするんだ?」
「仁義な〇戦いシリーズじゃな。相場の世界には仁義などなにもないのじゃー!」
エライの知ってるなー。しかも『風と共〇去りぬ』のあとのチョイスがこれなのか? いいじゃないか。心配なのは、アキナちゃんが映画に感化されて広島弁を使い始めることだ。広島弁の女神さまは斬新だと思うが、ちょっとな。
翌日。
宮殿用に電気ケトルをホームセンターで買ってきた。俺がアパートで使っていたものがあったが、さすがにそれをコピーして宮殿で使わせるわけにはいかなかったので新品を用意した。
俺は護衛としてアスカ1号を連れてオストラン神殿に跳んだ。出勤日ではなかったがローゼットさんを連れて宮殿へ行くためだ。
神殿の大ホールには当然ローゼットさんはいなかったが、ちょうど巫女さんが通りかかったので呼んでもらった。
「陛下、いかがしました?」
「宮殿内の配線が終わったようだから、デスクライトと電気で湯を沸かす電気ケトルを届けようと思って。ついでに文房具も大量に置いてやりたいから、宮殿の一室を使いたいんですよ。その辺りの手配を頼めないかな」
「はい。かしこまりました」
ローゼットさんを連れてまず俺の執務室に跳び、机の上に子どもたち用に用意したデスクライトと同じものを出して、アスカたちが付けてくれた近くのコンセントにプラグを差し込んだ。
スイッチを押して明かりをつけて、隣のつまみを回して明るさを調節した。
「電気の明かりですね」
「ローゼットさんの机にも」
ローゼットさんの机の上にもデスクライトを置いてやり、プラグをコンセントに差し込んでスイッチを点けてやった。そうしてスイッチを切り、
「まずプラグをコンセントに差し込んで」
一度プラグをコンセントから抜いて、また差し込んでやり、
「このボタンがスイッチで、押せばライトが点いて、もう一度押せば消えます。このつまみが明るさ調整です」
スイッチを押して点灯して、つまみを回して明るさを適当に変えて見せてやった。
その後電気ケトルも同じように実演して見せて、ついでだからマグカップにいつぞやコピーしたスティックカフェオレを入れてお湯を注いで二人で飲んだ。
「少しお待ちください。空き部屋を確かめてきます」
ローゼットさんが執務室を出ていったあとしばらくして侍女がお茶を持ってきてくれた。
カフェオレを飲んだ後だったがせっかくなのでお茶もいただき、飲み終わったころ、ローゼットさんが帰ってきた。
「陛下、陛下の執務室にあまり近くない方がよろしいと思い、ここから少し離れた部屋にしました」
確かに王さまの執務室の近くが文房具置き場だとちょっと不用心かも知れない。アスカたちのうち誰かを連れていれば不用心ではないが、いつも連れ歩いているわけではないし。
ローゼットさんについて、廊下を歩いていきその空き部屋に到着した。
「宮殿の中にどれくらい机があるのかな?」
「200個? くらいでしょうか? 確かめて来ましょうか?」
「いや、多めに用意しておけばいいだけだから。この部屋は結構広いから500個ほど出しておきましょう。電気ケトルは100個もあればいいか」
そういって、箱に入った状態のデスクライトと電気ケトルを部屋の奥の方から積み重ねていった。
「よし、これで500個と100個。あとで各自取りに来させてください。使い方も教えないといけないけれど、そこも任せます。それとお茶関係」
インスタントコーヒー、紅茶、緑茶のティーバッグ、粉ミルク、スティックコーヒー、スティックカフェオレ、角砂糖をそれぞれ段ボールに入れて出しておいた。そしたら、部屋の中が一杯になってしまった。
「後は文房具だけど、ここじゃもう置けないな」
「陛下、隣の部屋も空いています」
ということで、隣の部屋に行った。
「まずはボールペン」
ボールペンを段ボールに詰めて2箱、箱には1000本ずつバラで入れている。
一本取り出して、ノックしてみせた。
「こんな感じで先っちょが出てくるので、これで字を書けばインクを気にせず字が書けます。
使っていると中身がなくなってくるので、新しいのと代えてください。
もう一回ここをこんな風にノックすると芯が中に戻ります」
「次はシャープペン」
これも2箱2000本。替え芯も1箱2000個
シャープペンの使い方と芯の追加の方法を実演して教えた。
そして、消しゴム。これは2箱4000個。シャープペンで段ボールに字を書いて消して見せた。
「今回のボールペンは消しゴムじゃ消えません。シャープペンで書いた字だけ消せますが、カスが出ます」
それとA4の大学ノート。40箱で4000冊。
「これは白い紙を束にしただけのものなので適当に使ってください」
部屋にはまだ十分余裕があったので、ノートはもう20箱2000冊出しておいた。
こんなものでいいか。
後はソロバンがあってもいいな。慣れれば足し算だけなら電卓より早いし何よりアラビア数字を覚えなくて済む。いや、アラビア数字を覚えるくらい大したことはないし、文字盤をニューワールド仕様に替えたものを発注してもいい。エヴァに言ってイワナガ・コーポレーションから発注してもらおう。簡単なソーラー電卓でも1万個くらいならどこかで受注してくれるだろう。1個1000円としても、10万個買ったところでたかが知れているし。
「あとはよろしく。
足りないものがあれば早めに言ってください。いくらでも用意できますから」
「はい。
これもダンジョンマスターの力なのでしょうか?」
「ダンジョン・コアに頼んでも作れると思うけど、これは錬金術とアイテムボックスの力なんだよ」
「錬金術とアイテムボックス?」
「両方極めると、こういったことができるようになるんだ」
「そうおっしゃるということは、陛下はどちらも極めていらっしゃるということですね」
「そういうこと」
「転移術も極められていらっしゃる?」
「よくわかったね」
「なんと。そういえば杖術の方は?」
「それもだった」
「もう何も言いません」
「それじゃあ、よろしくー」
俺はアスカ1号を連れて屋敷に帰って居間に入っていったのだが、誰もいなかった。みんなアキナちゃんと大画面を見に行ってるな。
俺は、何かしなければいけないことがあったことを思い出したのだが、その内容が思い出せない。これからは手帳にちゃんとメモしておかないと。そうだ! 思い出した。電卓だ。ニューワールド語のキー付きのソーラー電卓だ。
忘れないように、メモメモ。
その日の昼食時、メモを見るのを忘れていた関係で電卓の話をエヴァにし忘れたのだが、夕食時にはちゃんと伝えておくことができた。




