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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第417話 発掘2、黒い6角柱


 果物島の中心と思われる遺跡の中で異常アノマリーを見つけ発掘調査を行なったところ、土の中から金属の塊のようなものが見つかった。色は真っ黒だが、明らかに金属だ。表面はざらついているわけではないがツルツルでもない。刷毛がなかったので雑巾で上面の土を払ってやったら、表面に模様のような文字?が刻み込まれていた。


 こいつはアキナちゃん案件だ。


「アキナちゃん、この文字が読めるかい?」


「いや、わらわでも読めぬ文字じゃ」


 アキナちゃんでもダメだったか。


「土の中から取り出してからよく調べてみよう」


 土の中から転送を使って地面の上に動かそうと思って試したのだが、転送できなかった。


「転送できなかった。この感じだとアイテムボックスにも入らないかもな。

 収納」


 やはりアイテムボックスに収納できなかった。特殊な金属が使われているようだ。


 下の方は埋まったままなので、どれくらいの大きさがあるものか、もう少し深く周囲を掘り下げないと分からない。


「そういえばここはダンジョンの中。

 ならば、

 出でよメタルゴーレム2型!」


 人の背丈ほどのゴーレムゴーレムしたゴーレムが目の前に現れた。華ちゃんたちは暇そうにめいめい瓦礫の上に腰を掛けて作業を眺めている。


「メタルゴーレム2型1号。このスコップを使ってその黒い6角の金属の周りを掘り返すのだ! いけ!」


 勝手に1号と呼んだが果たして1号なのか2号なのか、今となっては全く分からない。それでもメタルゴーレム2型1号(仮)(かっこかり)は俺の渡したスコップを受け取って狭い穴の中で6角の金属の周りを掘り返し始めた。


 俺は穴の横から1号(仮)(かっこかり)が掘り返す土砂を収納する係だ。


 メタルゴーレム2型1号は30センチほど周りを掘ったが、6角の金属はまだ下の方が埋まっている。根が深そうだ。


「メタルゴーレム2型1号、周辺もちゃんと掘り下げないと深く掘れないぞ」


 アスカたちと違いメタルゴーレムは廉価版なので細かい指示が必要だ。ちゃんと指示をすれば、ちゃんと指示通り仕事をしてくれる。


 6角の金属の周囲を掘り下げること20分。穴の深さは2メートルほどになった。すでに6角の金属は6角の金属柱だ。


 俺も瓦礫の上に腰を掛けて作業の進み具合を見守っている。


「みんな、アイスでも食べる?」


 各人の要望通りのアイスを配り、俺も抹茶アイスを乗っけたコーンを1つ手に持った。アキナちゃんは、ラムレーズンとナッツの入ったアイスを乗っけたコーンを一つずつ手に持って交互に食べている。


「この柱、まだまだ長そうだな」


「いったい何なんでしょう?」


「「?」」


「これ以上深く掘ると、周りの土の壁が崩れそうだから、すり鉢状になるよう周辺を削ってやるか。みんなちょっと下がってくれるか?」


 みんなを穴から遠ざけて、穴の周辺を瓦礫ごとアイテムボックスの中に収納してすり鉢状にしてやった。


「これなら大丈夫。

 そうだ、華ちゃん。柱を鑑定してみてくれるかい」


「はい。

 鑑定。

 ? 何もわかりませんでした」


「俺のアイテムボックスにも反応しないし、転送もできなかったし。こいつはただものじゃないな。

 しかし何が何だかわからないと、ただものじゃなくても、ただの物になってしまうな」


 面白いことを言ったつもりだったが誰も反応してくれなかった。よくあることだよな。



 そんな中でもメタルゴーレム2型1号(仮)(かっこかり)は穴を掘り続け、6角柱はどんどん長くなっていき、すり鉢をもう一段掘り下げてやった。


「今のところ3メートルはあるな」


「これって、際限がないってことないでしょうか?」


「なにせダンジョンの中だから、可能性はなくはないな。この感じ、少なくともあと3メートルは下に埋まってるんじゃないか?」


 今のところ黒い6角柱は上から下まで赤く点滅している


「岩永さん、岩永さんの収納に反応しないんなら、柱を気にせず下の方まで土砂を収納してしまえば、うまく周りだけ収納できるんじゃないですか?」


「確かに。

 メタルゴーレム2型1号、作業止め」


 俺はメタルゴーレム2型1号(仮)(かっこかり)とスコップをアイテムボックスに収納し、それから柱を中心に直径2メートル、深さ10メートルくらいの円柱形に土砂を収納してやった。


 穴の中を覗いたら、底から柱が突き出ていた。


「底まで柱が続いてるぞ」


 みんなで上から覗いていたら穴の壁が崩れて下の方が埋まってしまった。


「どうする? これ」


「どうしようもないから埋め戻すしかないんじゃないでしょうか」


 崩れた穴の中からのぞいた真っ黒い6角柱は相変わらず上から下まで赤く点滅している。


「華ちゃんの魔法が全体的に効いているってことは魔法を使えば何とかできるんじゃないか?」


「例えばどんな魔法ですか?」


「うーん、そうだなー、例えば重力魔法で、重力を増やすんじゃなくて減らしていけばどうかな? 最終的にはマイナスまで減らしていけば浮くんじゃないか?」


「なるほど、それならできそうです。

 ネガティブグラヴィティー!」


 おそらくマイナスの重力がかかったと思うのだが6角柱は動かなかった。


「今のじゃ弱かったようです。ディスペルマジック。

 今度はさっきより10倍強く魔術をかけてみます。

 ネガティブグラヴィティー!」


 黒い6角柱はゆっくり上に向かって動き始め、それが加速し始めた。6角柱は見上げるほど高く空に向かって真っすぐ上がっていったがまだ6角柱の下端は見えない。


「華ちゃん、止めた方がいい」


「ディスペルマジック」


 黒い6角柱は50メートルほどの高さにまで聳え立っていたが、華ちゃんのディスペルマジックで上方向の重力が消えて、自重で穴の中にまっすぐ落っこちていった。


「どうします?」


「どうするもこうするも、アイテムボックスに入らない以上、取り出したところでどうにもならないから放っておくしかないな。

 残念だが穴を埋め戻しておくか」


 俺はすり鉢も含めて土砂を埋め戻し、膨らんだ土砂を華ちゃんがグラビテーで固めてくれた。




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