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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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409/526

第409話 宮殿電化。


 果物島を探検した翌日。


 この日は週末なのでオストラン神殿で待っていたローゼットさんを連れて宮殿にご出勤した。護衛としてアスカ2号を連れてきている。


 書類仕事が終わって一段落し、ローゼットさんとお茶を飲んでまったりしていたら、ブラウさんが大きな紙束を持ってきた。大きなといっても分厚いという意味ではなく横に広いという意味だ。


「宮殿の図面をお持ちしました」


「ありがとうございます」


 そろそろ宮殿の電化だな。


 俺はブラウさんから受け取った図面をコピーして、原本はブラウさんに返しておいた。


「?」


「コピーを取りましたから」


「は、はあ」


「ブラウさん、これから宮殿に電気を通す作業をしていこうと思います。

 それでできることは、今のところ机の上に電灯を置くくらいですが、少しずつやっていきましょう」



「は、はい」


 そう言って、ブラウさんは帰っていった。今の説明では説明不足だったようだがそこは仕方がない。作業が完了したらどういったことか分かるだろう。



「アスカ2号、この宮殿を電化しようと思う。電化といっても、宮殿内に電線を巡らせて要所にコンセントを付けていくだけだ。今付いているシャンデリアとかの照明を取り外すのは面倒だから、明かりは机の上に置くデスクライトとかで済ませてしまうつもりだ。将来的にはこの宮殿そのものの改築だが、そこは本格的に業者を入れてしまうつもりだ。

 なににせよ、まずは発電所だ。エアコンは今のところ付けないから、そんなに大きな発電機は必要ないだろう」


 宮殿の図面があると、準備も含めていろいろ捗るはずだ。コピーは屋敷に帰ってからアスカ2号に渡しておこう


 発電所側の準備ができたら、アスカたちが自由に行き来できるようにダンジョンとこの宮殿とを繋げてしまおう。勝手にダンジョンに入ってこられてはマズいので、宮殿側はこの近くで鍵のかかる部屋、ダンジョン側には鍵の付いた扉のある部屋を作って発電室などが並ぶ通路に出られるようにしよう。


「ところでアスカ2号。うちの発電機は1台130kWだったと思うが、もしあれをそのまま大きくしたらどうなる?」


「内部の抵抗などすべて変わってきますので、回路を全面的に取り換える必要があります」


「なるほど、新しいものを貰ってくるか、今のものを数揃える必要があるわけか」


「そうなります。照明などの小電力なら多数使用したとしても1000kWも使用しないと思いますので、今のものを8基並列で十分と思います」


「じゃあ、その線で行くか」


「はい」



 俺がアスカ2号と電力関係の話をしているあいだ、ローゼットさんは黙って話を聞いていたが、話が終わった後、


「陛下、この宮殿に本当に電気の火が灯るのですね」


「大規模ってわけにはいかないけど、机の上に個別の照明なんかは使えるようになると思うよ。一週間はかかると思うけれど」


「たったの一週間で」


「アスカ2号は今空いているし、アスカ1号も手伝いに寄こせば作業はかなりの速さで進むから。照明はデスクライトだけど、使い方は簡単だからすぐに覚えられるよ」


「はい」


「将来的に、官僚用の建物は他の場所に建てて、そこは最初から日本仕様のものにしようと思うんだ。そうすれば官僚の仕事の効率も上がるだろうし」


「この国が栄えていくことをまのあたりにすることができるようで本当に楽しみです」


「少しずつでも前に進んでいこう」


「はい」


「それはそうと、この部屋の隣りの小部屋をダンジョンとの出入り口にしようと思うんだ。ダンジョン内に勝手に入り込まれるとマズいから、関係者以外立ち入り禁止にしたいけど手配頼めるかな」


「お任せください」


「部屋の鍵を見つけておいてください。1本あればコピーするので、1本はわたしがもらって、ブラウさんとローゼットさんも1本ずつ渡します」


「はい」




 ローゼットさんと昼食を食べた俺は、隣の小部屋にダンジョンへの入り口を作ったらまた戻って来ると言い残して、まずはアスカ2号を引き連れてコアルームのそばの発電所に跳んだ。



 俺はまず、130kWの発電機を8基コピーして発電所に並べておいた。梱包資材は最初から外している。


「同期装置など仕様を決めて発注してきます」


 アスカ2号は俺に言い残して発電所から出ていった。この関係で俺のできることはもう何もない。アスカたちに丸投げだ。



 次に俺は、コアルームに跳んで宮殿の小部屋の壁を思い描き、コアに手を置いて、


「ここにダンジョンへの出入り口を作ってくれ。ダンジョン側は発電室の向かいに小部屋を作ってそこにしてくれ」


 小部屋にカギを付けようと思ったが、カギをたくさん持たせるのも大変なので、カギは最初からつけないでおくことにした。


「了解しました。

 できました」


「サンキュウ」


 俺は念のため、発電室に跳んでそこから通路に出て向かいに新しくできた扉を開けた。


 正面の壁には黒い板があった。その黒い板を抜けたらちゃんと宮殿の俺の執務室の隣りの小部屋に出た。


 小部屋を出たところに宮殿の警備兵が2名立っていた。俺が部屋の中から出てきたので驚いて直立して敬礼したので、


「ご苦労さん、楽にしてていいから」


 そう言い残して執務室に回るとローゼットさんがいて俺に小部屋の鍵を渡してくれた。


 2本コピーして1本はブラウさん用だと言ってローゼットさんに2本とも渡しておいた。



「ローゼットさん、ゆらぎの先がどうなっているか見せてあげよう」


 警備兵に軽く会釈してローゼットさんを連れて小部屋に入り、ローゼットさんの先に立って俺は揺らぎに入っていった。新しく宮殿への連絡用に作った小部屋で彼女を待っていたらすぐにやってきた。


「ダンジョンの中って金色だったんですね」


「ここだけ特別なんだ。

 向かいが発電室、右に折れて進んだ突き当りの扉を開けると小部屋があって、正面が俺のバレンの屋敷、左が日本にある俺の部屋、右が先日作った船のキャビンにつながってる」


「は、はあ」


「屋敷には一度連れてきたことがあるから、まずは日本に行ってみよう。

 その前に、どこにつながっているのか書いていないと分かんなくなるかもしれないから、プレートを付けておくか。

 コア」


『ハイ、マスター』


「ここの出入り口がどこにつながっているのかプレートに書いて、黒い板の上にくっ付けておいてくれるか。

 あと通路に並んだ扉の上にも」


『了解しました。

 完了しました』


 各所への連絡用の小部屋に入ると、行き先の刻まれたプレートがちゃんと取り付けられていた。


 左手の黒い板の上のプレートには『日本・マンション』と刻まれている。


「コア、サンキュウ」


『どういたしまして』


「陛下。今の声が、ダンジョン・コアの声だったんですか?」


「うん。ここは実際のところコアルームのあるダンジョン最下層なんだよ」


「最下層!?」


「そう」


「……」


「じゃあ、日本に行ってみよう」


 黒い板を抜けてマンションの玄関に出たら、すぐにローゼットさんもゆらぎの中から現れた。


 居間の先にあるアキナちゃんの部屋の方から何やらアキナちゃんの声が聞こえて来たが聞き取れなかった。




 コアルーム脇連絡路(Zダンジョン最下層、コアルームの隣りだが物理的に接触しているわけではない)


  造船所| |

     | |アスカ2号倉庫

     |通|

   宮殿|路|発電室

     | |

     +―+

 RA号 | |マンション

     +―+

      屋

      敷





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