第396話 王さまらしさ2。スキルポイント
王さまらしさというものを演出するためマントをコアに創らせたのだが、俺には似合っていないようだ。
冷たくなったコタツに入っていたら華ちゃんが戻ってきた。ひとこと華ちゃんがオリヴィアに詫びてからオリヴィアが演奏を再開した。
コタツのスイッチを入れて、カゴに入ったミカンを一つ手にして皮をむいていたら、王さまらしさを演出するための重要アイテムが他にもあることに思い至った。そう、ネックレスだ。外国の高貴な人が男女問わず大きなネックレスをしているのをテレビで目にしたことが何度かある。ような気がする。
ここは、超大粒ダイヤモンドを並べたプラチナのネックレスだ!
俺が創れるのは人造ダイヤだが、遠目では人造ダイヤと気付かれることはない。
待てよ。コアに創らせれば、ちゃんとしたダイヤになるんじゃないか? 俺がプラチナを作るとなると金の錬成程度に大変だろうし。
いいことを思いついた俺は、コタツから出て靴を履き再度コアルームに跳んだ。
「コア、こういった感じのネックレスを創ってくれ」
コアに手を当てて頭の中に大粒のダイヤモンドをびっしりと並べたプラチナの幅広ネックレスをイメージした。
「マスター。
できました」
でき上ったネックレスはまたまた足元に置かれた。
「コア、これからこういった物は台の上に乗せて出してくれるとありがたいんだがな」
「以後気を付けます」
コアは素直だよな。
足元から拾い上げたネックレスは俺の想像以上に豪華で、そんなに明るくはないコアルームの中でキラキラを通り越してギラギラ輝いていた。
ネックレスを首にかけたらずっしり重かった。
「これはいい」
これまで宝石などに縁はなかったし興味も全くなかったが、このネックレスの輝きを見ているとうっとりしてくる。宝石を愛する女性の気持ちが少しわかったような気がした。
競売に出せば百億ではきかないだろう。
コピーできればいいが、プラチナの錬金がネックだよな。
そうだ、コアにプラチナのインゴットを作ってもらえばいいだけだ。
「コア、20キロのプラチナのインゴットを1本作ってくれるか?」
「はい、マスター。
できました」
目の前に台座が現れ、その上にピカピカのプラチナのインゴットが1本置かれていた。
片手で持ち上げてみたが思った以上に重たい。そして、思った以上にインゴットは小さかった。プラチナの比重は金より上だったはずだから、インゴットは1リットルくらいしかない。10センチ立方相当だ。
プラチナのインゴットをアイテムボックスに収納した後、素材ボックスに入れておいた。
そこで試しに首にかけていたネックレスを複製ボックスに入れてコピーしたら全く負荷なしてコピーができ上った。ついでだったので、全員分複製してやろうかと思ったが、止めておいた。
今回、ラシサ演出のためにこのネックレスを使ったら、不要だからうちの連中の中で欲しい者がいたらやってもいいな。複数欲しがったらジャンケン。ジャンケンだと最終的にキリアとアキナちゃんが手に入れるだろうな。
よし! ここでの用事は終わった。
今日はイワナガ・コーポレーションの初日だったので会社に顔を出してもよかったが、何の仕事もしていない者が仕事場でフラフラしていても邪魔なだけだと思い直して、屋敷に帰って風呂に入ることにした。
屋敷に帰って早々に風呂の準備をして湯舟に浸かり、プラチナのインゴットのことを考えたら金のサイコロのことを思い出した。アレはかなりの数あるから、コアに頼まなくてもある程度ものが作れるな。純金だから柔らかすぎるのであのままだと使いづらいけど、18金とかの金製品をコピーするなら、それ相応の不純物が混ざってうまくいくだろう。
そういえば、金の錬成も途切れがちだけど続けているし、ポーションも相当数作っている。それなのに、もう長いことピロロンを聞いていないのだがどうなっているんだろうな? ずいぶん前になるけどスキルポイントは30くらい貯まったままでそれから増えてないんだよな。
特にスキル関係で困っていることはないから急いでどうこうしたいわけではないのだが、気になり始めてしまった。
あれって、強く何かしたいと思えばそれに見合ったスキルを取らないか? と、言ってくれていたんだよな。その時スキルを取る取らないは自由だったから、試しに何かスキル的なものを考えてみるか。今欲しいスキルと言えば何かというと? はっきり言ってなにもないんだよな。以前は魔法のスキルをマックスまで取ってやろうと思って貯めていたけど、華ちゃんがいる以上無意味だもんなー。
スキルブックでカバーできるスキルじゃスキルポイントがもったいないし。そうなってくると全然思いつかない。
湯舟から上がって、体と頭を洗って、また湯舟に肩まで浸かりスキルブックのことを再度考え始めた。
さっきはどういったスキルが欲しいかに話がズレてしまったが、今はスキルポイントがどうなったのか確かめようと思っていたんだった。とりあえず、魔法スキルを取ろうとしたら『ピロロン!』と、頭の中に音がして青い半透明のボードが現れるはず。その時保有スキルポイントも分かったはずだ。
こいこいこいこい、魔法スキル!
……。
うん?
何も反応ないな。
魔法スキル、コイ!
……。
やっぱりだめだ。まさか、スキルポイントシステムが俺の中で壊れた?
人物鑑定ではスキルポイントは分からないし、お手上げだ。錬金術なり転移を繰り返していたらそのうちスキルポイントがもらえて保有スキルポイント数も分かると思うのだが、スキルポイントシステムが壊れてしまったのならどうしようもない。スキルポイントシステムが生まれながらの物ならエリクシールでワンチャンあったが、生まれながらじゃないのは明らかだものな。
何かのはずみでスキルポイントシステムが壊れて使えなくなったのなら、また何かのはずみで復活するかもしれないから、気長に待っておくしかないようだ。
風呂から上がって子どもたち用に湯を入れ替えてから服を着て、居間に入って、アップライトピアノを弾いていたキリアに、みんなで風呂に入るように言ったら、「はい」と言って居間から出ていった。しばらくしたら2階からバタバタと子どもたちが階段を急いで下りてくる音がした。
子どもたちが風呂から出て髪を乾かし夕食になったところで、
「エヴァ、あっちの会社の方はどうだった?」と、イワナガ・コーポレーション初日の様子を聞いてみた。
「仕事の環境整備ということで、文房具などを用意しました。あとはパソコンで必要な労務管理用ソフトと会計ソフトを購入しています」
「初日だけだけど順調そうで何より。
はるかさん。はるかさんの友達の受け入れ態勢も整ってきたから、そろそろ連絡してくれてもいいかな」
「わかりました。彼女の都合がつき次第イワナガ・コーポレーションに呼んでみます。
面接しますよね?」
「一応した方がいいかな」
「はるかちゃんの友達じゃから面接は不要だとわらわは思うのじゃ。
あいさつしてくれればいいだけじゃから、マンションからそのまま屋敷に来てもらった方がいいのではないか?」
イワナガ・コーポレーションの特別顧問がそう言っているのだからそうなのだろう。エヴァも頷いているし。
「はるかさん、アキナちゃんがそう言っているから、それでいいです。
オストランのことは国内に公表されているから、ある程度本当のことを伝えてもらってもいいですよ」
「分かりました。彼女の予定を確かめてなるべく早いうちにここに連れてきます。まだ勤めているのでウィークデーだと遅くなりますがそれでもいいですか?」
「もちろんです」




