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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第389話 ダレン南ダンジョン大空洞。造船1。イワナガ・コーポレーション1


 翌日。


 俺たちは装備を整え、ピョンちゃんを連れて前回引き返した20階層の大空洞の温泉地帯に跳んだ。


 そこから各人ゴーレム白馬とゴーレム列車に乗り込み、ピョンちゃんが向かう方向に進んでいった。


 2時間ほど進んで小休憩しさらに2時間進んで昼食にした。その間草原の景色はほとんど変わらなかった。


 この日の昼食は、アキナちゃんとキリアはうなぎ肝吸い付きの牛丼、華ちゃんと俺はハンバーガーにした。ピョンちゃんには楽園リンゴを皿に入れて食べさせてやった。アキナちゃんはうな重を食べたいと最初言っていたが、草原でブルーシートを敷いただけの場所でうな重は食べにくいだろ。と、言ったら素直に牛丼にチェンジした。肝吸いだけは譲らなかった。


 気温は25度くらいなので非常に気持ちがいい。


 デザートにアイスを食べて、少し休んでから午後からの探索というか移動を開始した。


 そこから2時間ほど進んだところで、大きな湖があった。向こう岸は全く見えない。岸辺は砂浜で右を見ても左を見てもどこまでも続いていた。迂回しないと進めないがどれだけ迂回しなければいけないのか見当もつかない。ピョンちゃんはいったん華ちゃんの肩の上に止まって休んでいる。


 砂浜に小さく波が打ち寄せている。


 俺はゴーレム白馬から下りて砂浜に立ち、波打ち際まで歩いて水を掬って少しだけ舐めてみたら塩辛かった。


「塩湖の可能性がないわけじゃないが、これは海だな」


「思い出したのじゃ!」


「何を?」


「船を買おうと思っていたのじゃ」


「そういえばそんなこと言ってたな」


「これくらい広いところなら船があった方がいいのじゃ。

 明日は船を買いに行こうではないか」


「アキナちゃん、当てはあるのかい?」


「当てはないのじゃ。

 そうじゃ! ダンジョンの中じゃから、アスカたちに船を作らせたらどうじゃろう?」


「アスカたちなら自分で勉強するし、建造にはコアを協力させるから作れると思うけど、それなりに時間がかかると思うぞ。

 スクリューなんかは外注した方がいいだろうし」


「買ってきたものより作ったもの方が愛着が湧くから良いのじゃ。

 大きさも自由じゃからな」


「作ると言ってもアスカたちだけどな。

 アキナちゃんはどれくらいの大きさの船が欲しいんだ?」


「大きければ大きいほど揺れないということじゃから、できるだけ大きな船を所望する。

 とはいえ限度があるじゃろうから、個室が10室と台所、風呂、トイレ、もろもろ。要するに屋敷と同じ大きさじゃな」


「俺はまたアキナちゃんのことだから世界一大きな船とか言い出すかと思ったけど、それくらいならいいんじゃないか。帰ったらアスカたちに造船の勉強するように言っておくよ」


「頼んだのじゃ」


 時間はかかるのだろうが面白そうだな。



 海?を目の前にしてその日の移動を終了し、俺たちは屋敷に帰った。


 風呂に入る前に、アスカ2号を捉まえて、


「アスカ2号、今度は機械工学と造船について勉強してくれ。

 例によって必要なものはどんどん購入してくれていいからな」


「はい」


「それで、勉強の目的は動力船の建造だ。大きさはこの屋敷くらいのものだな。動力はメタルゴーレムコマを組み込めばいいと思う。必要な大きさを言ってくれればメタルゴーレムコマは俺が作るから。

 建造はコアルームの近くに造船所を作ればいいと思う。

 建造するとなったらコアに頼んで材料はもちろんだが、作業員として高性能ゴーレムを創るのもアリだな」


「了解しました」


 これでいい。


 俺は安心して風呂に入った。



 夕食時にみんなにアキナちゃんの希望通りの船の建造を始めることを伝えておいた。


「アスカたちだけで大丈夫でしょうか?」


「電気工事もうまくいったし任せておいて大丈夫だろう。

 いちおう船の形ができたら海に浮かべて浸水テストするから。そこで沈んでしまえばそれまでだが、まさかそんなことにはならないんじゃないか。それに、ダンジョンの中の海なら大しけとかなさそうだし」


「そうですね」


「善次郎さん。船から話は変わりますが、少し前に学校の教員の件で、友達に電話してみたんです。勤務地については東京近郊で最寄り駅から10分と言っています。マンションは東京近郊だし、駅から10分ですものね。

 それで、本人は興味があると言ってくれました。今の給料よりも給料が下がるのは困るけど、同程度なら十分だって」と、はるかさん。


「それは、ありがたいですね。

 今の給料はどの程度なのかな?」


「たしか額面で年収400万いくかいかないか、とか言ってたような」


「ならはるかさんと同じでいいですね。日本での利便性を考えると、わたしたちみたいに防衛省の職員という形にしてあげたいところだけど。それか、どこかの企業からの出向」


「そうですよねー。向こうに家があればなおさらですよね」


「お父さん、どうせだから日本に会社を作りませんか?」とエヴァ。


「うん?」


「こういった形で人を雇って給与や税金を処理するとなると素人だと大変だから、会社を作って労務と経理関係の専門家を雇えばいいと思います。それに、オストランから日本に留学生を送るとなると何かにつけてサポートする必要がありそうだし」


「なるほど。でも会社を作るって大変じゃないのか?」


「ちょっとだけ調べてみたんですが、お金さえ払えば会社を立ち上げる専門の業者が1から10までやってくれるそうです」


「まあ、失敗したところで大したことないから、やってみるか?

 エヴァに任せておいて大丈夫か?」


「大丈夫です」


「必要なお金はアスカ3号に言ってもらってくれ」


「はい。

 会社の名まえはどうします?」


「そうだなー、株式会社イワナガかな?」


「将来的には大きな会社になると思うので、イワナガ・コーポレーションにしませんか?」


「エヴァがそう思うならそれでいいよ」


「会社が大きく成れば、ビルを建てますが、最初はあのマンションの近くのマンションを借りてみます」


「エヴァ、中古でよいならわらわがマンションを何部屋か見繕っておるぞ。あの辺りにあれば便利だろうと思ってな」


「はっ?」


 俺はアキナちゃんの発言に思わず変な声を出してしまった。


「中古マンションじゃがあのマンションの近くで売りに出ていたマンションを10戸ほど見繕ってみたのじゃ。不動産屋に、契約には親の署名がいると言われたのでまだ正式に買ってはおらぬのじゃ。明日の朝には不動産屋が契約書を届けにマンションにやってくるハズじゃから、そのときはゼンちゃん署名を頼むのじゃ」


「あ、ああ」


「契約が済めばわらわの物じゃからエヴァが好きなところを使ってよいぞ」


「ありがとう、アキナちゃん」


「不動産屋がやってきて書類にサインするとなると、マンションに入れないわけにもいかないが、そうなると玄関のゆらぎがマズいな」


「あのゆらぎはシーツを張って隠しておくのじゃ」


「その手があったか。ならいいな。

 あとは、会社ができたら会社の口座からアキナちゃんの口座に家賃を振り込まないといけないな。

 経理担当者を雇えばそれもやらせればいいだろう」


「別に大したものではないから家賃は要らぬが、きっちりした方がいいだろうから貰っておくのじゃ。

 税金もそのうち取られるのじゃろうが、そこらはアスカ3号に任せておる」


 すでにアスカ3号はアキナちゃんの個人秘書になってしまったようだ。


「会社ができたら、アキナちゃんのマンションで事業スタートだな。

 そこで労務管理できるならはるかさんの友達も年金やら税金やら気にしなくて済むからな。

 会社の体裁はいい方がいいから、とりあえず資本金は100億としておくか。会社の口座ができたら言ってくれ、アスカ3号に言って俺の口座から振り込ませるから。あと設立関係で必要になる費用もアスカ3号からもらってくれ」


 アスカ3号、俺の依頼も聞いてくれるよな。


「はい」


「それとエヴァ、会社ができたら会社概要があったほうがいいな。人集めにも必要だろ?」


「はい。用意します」


「はるかさん。そういうことなんで、イワナガ・コーポレーションができ上ったら友達に連絡してください」


「分かりました」


「エヴァちゃん、それで将来的にはイワナガ・コーポレーションはどういった会社にするつもりなの?」と、華ちゃん。華ちゃんの顔は笑っている。


「お父さんはオストランを発展させるため、日本とオストランを必ず繋げてしまうと思うので、両国間の物流から人流そしてお金まですべてを扱う会社にしたいと思っています」


「さすがは、エヴァちゃんね。大したことはできないけど応援するから」


「ハナお姉さん、ありがとう」


 俺はイワナガ・コーポレーションに便宜を図れる立場だしその力があるからな。いいところに目を付けたものだ。


 アキナちゃんは半年も経たないうちに無敗のトレーダーとして世界から注目を集めるのだろうが、エヴァは会社を大きくして世界から注目を集めそうだ。



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― 新着の感想 ―
[一言] ブルーシートのうえでうな重が食べにくくて牛丼が食べやすい?のが理解できないは。(笑)
[気になる点] なんか、エヴァとアキナが猛追してきてる感、華ちゃん、危うし、
[一言] スクリューより「紺碧の艦隊」使われているで 電磁推進が良いと思います。
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