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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第371話 年末温泉旅行1


 焼肉を食べて腹いっぱいになった俺たちは、そのまま屋敷に引き上げた。


 何も用事はないので、少なくとも俺は部屋に戻って明日の温泉旅行に備えてそのままぐっすり寝てしまった。



 今日は週初だが、官公庁の仕事納めの日なので防衛省での会議も納品もない。次の会議は年が明けて12日(火)となる。


 翌朝、早く目が覚めた。朝の支度を済ませ、居間のコタツに入っていたらリサがやってきた。


「おはようございます」


「おはよう」


 リサはいつも朝早いな。リサは俺にあいさつだけして居間から出ていった。



 俺が、何もすることなくコタツに座っていたら、今度はアスカたちがやってきた。


 3人を代表してアスカ2号が、報告してくれた。


「マスター、学校への照明設備の設置は完了しました」


「ご苦労」


「それじゃあ、どんな感じになったか見てこよう」


「「はい」」


 コタツから出て靴を履いた俺は、アスカたちの後について屋敷を出て学校の方に歩いていった。


 学校は休み中なのだが、アスカたちが作業するので昨日はるかさんが学校の玄関の鍵をアスカたちに渡している。


 学校の玄関の扉を開けると、中に照明が点いていた。かなり明るい。


「照明のスイッチはそこにあります」


 扉の脇の壁にスイッチが付いていた。コードは目立たないよう木目調のモールの中に入っているようだった。


「いいじゃないか」


 廊下にもちゃんと照明が取り付けられて、教室なども十分な明るさがあった。


 見れば各所にコンセントも取り付けられていた。


「コンセントも付いてるじゃないか、なかなかいいぞ」


 分電盤は1階の階段の横に取り付けられていた。蓋を開けると、大きなブレーカーが1つと小さなブレーカーが部屋の数だけついていた。


「ごくろうさん」


「「はい」」


 ゆっくり休んでくれと言っても仕方がないので、ひとことだけ言って、俺は屋敷に帰った。


 アスカたちは、建物内の消灯してから帰るのだろう。



 玄関の内側に、錬金術師ギルドと冒険者ギルドに卸すためのポーションを箱に入れて置いていて、朝早くやってきてリサに扉を開けてもらい持っていくのだが、昨日からどちらも年末の連休中なので、うちに取りに来ない。



 居間に入ってまたコタツに入っていたら、はるかさんから順に居間にやってきた。


「はるかさん、学校の照明は付け終わったようです。いろんなところにコンセントが置いてあるから電気製品も使えますね」


「分電盤は階段脇に付いてます。照明スイッチはたいてい扉の脇ですから簡単に見つかるでしょう」


「わたし、ちょっと見てきます」


 そう言ってはるかさんはコタツから出ていった。


 子どもたちもしばらくコタツに入ってから朝食の手伝いをすると言ってコタツから出ていった。


 しばらくコタツにぼーと座っていたら、朝食の準備ができたとエヴァが知らせにきたので、一緒にコタツに入っていた華ちゃんと食堂に移動した。


 学校に行っていたはるかさんもすぐに食堂に入って席に着いたので、


「「いただきます」」


 今日の朝食は、白飯に豆腐とネギの味噌汁、焼いた鮭の切り身に厚焼き玉子、それに切り干し大根と納豆だった。納豆はパック納豆で、薬味として刻みネギ、大根おろしがテーブルの上に置いてあるので好みで自分のパック納豆にトッピングする。パックに付いている出汁をかけてもいいし醤油をかけてもいい。カラシはパックに付いているものを好みでかけるが、俺以外誰もカラシは使わないようだ。


 ご飯はおひつに入ってテーブル近くのワゴンの上に置かれているのでお替わりの人は自分でよそうことになる。


 納豆は好き嫌いのある食べ物とは思うが、俺も含め、はるかさん、華ちゃんの日本組はもとより、リサ以下アキナちゃんまで熱々ご飯の上に自分でマゼマゼした納豆をかけておいしそうに食べている。納豆のパックは冷蔵庫の中に入っているので、足りないようなら取ってくるだけでいい。


 納豆いるひと? と聞くと、はい! と、みんな答えるので、最近は納豆パックをボウルに入れてワゴンの上に置いている。これもセルフサービスにしている。


 食事がだいぶ進んだところで、リサが緑茶を淹れてくれた。ポットは電気ポットなのでコードの関係で壁際の台の上に置いている。急須と湯呑は台の上に置いたお盆の上だ。ポットのお湯は90度以上なので、いったん急須に入れてある程度冷ましてからお茶ッ葉を入れる。


 以前は俺が寿司屋で買ってきた緑茶バッグを湯のみに入れて適当に熱湯をかけただけのお茶で十分満足していたのだが、今のお茶はアレに比べれば格段においしいと俺でも分かる。リサに聞いたところお茶ッ葉はそれほど高級ではないそうだ。結局は淹れ方だよな。俺みたいに人間がぞんざいだと進歩しないということだ。


 今日は朝からお腹いっぱいになってしまった。


「みんな、今日の昼食は、熱海で食べるから。集合は11時に玄関ホール。2泊3日分の荷物も忘れるなよ」


「「はい」」



 朝食の後、俺はアスカたちに、午前11時からから2泊3日で旅行に行くので留守を頼んでおいた。


「そういうことだから、よろしく頼む」


「「はい、マスター」」


「屋敷のことで、こうした方がいいと思ったことがあったら、好きに改造して構わないからな」


「はい。できるところを少しずつ手をかけていきます」


「うん。3人に任せた」




 俺自身はアイテムボックスの中に生活用品が揃っているので旅行の準備などなにもない。屋敷の周りを回ってプロパンガスのボンベにガスを補充したりして時間をつぶした。


 ちょっと早かったが11時10分前に親父が待つ実家に跳んだ。


 予想通り、親父は玄関の土間で俺を待っていてくれた。親父は背広らしき服の上にコートを羽織っていた。どうせ旅館に入ってしまえば浴衣と半纏はんてんで済むんだから背広は無用と思ったが、親父の場合、余所行きの服は背広しか持っていない可能性もある。体格は俺と変わらないので、俺の普段着を親父にそのうち渡してやろう。


 親父の荷物は革のバッグが1つに紙の手提げ袋が1つ。


「おう、来たか」


「ああ。

 それじゃあ、いったん俺のところに跳んでそこから熱海に直行するから」


「分かった」


 親父の荷物を預かり、親父が俺の手を取ったところで、屋敷の玄関ホールに跳んだ。


 玄関ホールには、みんな旅行の用意を済ませて集合していた。


「お爺さん、こんにちは」「「こんにちは」」


「おう、みんな元気そうでなによりじゃ。

 善次郎、紙の手提げ袋の中身はみんなへのお土産だけん、おえなおえな旅行に持っていかんでもええんだけんな」


「お土産ならいま親父からみんなに渡すか?」


「邪魔になーものじゃなえけん今渡そうの」


 親父に預かっていた紙の手提げ袋を手渡した。


「それじゃあ、はるかさんから」


 手提げの中から、親父が小箱を取り出してはるかさんに渡した。


「わたしまで。ありがとうございます」


「うん。

 つぎは、リサちゃん」


「ありがとうございます」


「それで次は華ちゃん」


「どうもありがとうございます」


「エヴァちゃん」


「お爺さん、ありがとうございます」


「うん」


「キリアちゃん」


「お爺さん、ありがとうございます」


「イオナちゃん」


「お爺さん、ありがとうございます」


「オリヴィアちゃん。

 ピアノコンクール、おめでとう」


 親父に知らせるのを忘れてたのに。どうして知ったのか、そこは謎だな。


「お爺さん、ありがとうございます」


「親父、オリヴィアがピアノコンクールで一等賞とか取ったことを知らせるのをすっかり忘れてたんだけど、どうやって知った? 地方紙に載ってたのかな?」


「うんにゃ。アスカちゃんから電話がかかってきて知らしぇてもろうた」


「えっ! アスカが知らせた?」


「うん。それでアスカちゃんはどこじゃ?」


「親父、アスカのこと知ってるの?」


「何度か電話を貰ーちょーけん、声だけは知っちょーよ」


 アスカ恐るべし。おそらくアスカ3号なのだろう。俺の実家の電話番号をどうやって調べたのか分からないが、さすがは俺の秘書だ。


「で、アスカちゃんは?」


「アスカは留守番だ」


「そらぁかわえそうがね」


「まあ、そう見えるだろうが、実はアスカは、いわばロボットなんだ。

 そういうことなんで、旅行中留守番してもらうことにしている」


「なんと! われが嘘を吐くとも思えんけんなー。

 じゃあ、われが儂に代わってこれを渡えちょいてごしぇ」


 親父から小箱を一つ預かった。アスカは今現在3人いるのだが、親父にわざわざ教える必要はないな。混乱するだろうし。預かった小箱は、旅行から帰ってきたら3つにしてアスカたちに親父からだと言って渡してやろう。


「最後になったども、アキナちゃん」


「爺、気を使わせてしもうてすまんな」


「いやいや、こげなものを探えて買ーのも楽しえもんじゃからな」


「世の中には、駅弁で済ます男もおるのじゃが、爺は男の中の男なのじゃ」


 アキナちゃんはアレを根に持っていたのか!? 非は我に在り。全く言い返せない。


「で、親父何をみんなに持ってきたんだ」


「みんなに似合いそうな、髪飾りとかそげなもんじゃ」


 みんな嬉しそうな顔をしている。親父は無意識かもしれないが俺の心を折りにきているな。


 どうせ俺は駅弁男だ。ちぇっ!


「善次郎、壁がゆらえで見えーのだが、儂の目がおかしんなったのか?」


「大丈夫。そこにちゃんとゆらぎがあるんだよ。

 親父もダンジョンの入り口のゆらぎのことは聞いたことがあるだろ?」


「なに! そのゆらぎの先はダンジョンなのか?」


「そうなんだが、中に入って右手に進めばマンションに出る」


「ああ?」


「そうなんだよ。そのうち連れていくから、いまはそうだと思っておいてくれ。

 それじゃあ、そろそろ熱海にいくか」


「お、おう」「「はい」」「楽しみなのじゃ」


 ピョンちゃんのエサカゴの中に楽園イチゴと楽園リンゴを大盛にし、それからみんなの荷物をアイテムボックスの中に収納したところで、みんなが俺の手を取った。


 転移。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 親父さんの方言が何とも心地良いですねぇ。
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