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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第369話 電気工事


 オリヴィアがピアノコンクールで部門1位を取り特別賞を貰った。


 オリヴィアなら部門1位を取るだろうなー、とは思っていたのだが、やっぱり取ってくれた。もちろん特別賞は予想していなかったが、高校生部門に出場していたら1位だったで賞の意味合いがあったのかもしれない。


 オリヴィアはあのコンクールでは異例らしい後付けの特別賞を貰ったが、イオナの時と違い取材依頼などはなかった。コンクール的にはそれほど大きなものではなかったのかもしれない。


 華ちゃんが言うには、最終目的はポーランドで開かれるピアノ大会に出て優勝することなのだそうだ。アキナちゃんが太鼓判を押しているので間違いないだろう。



 少し遅れて食堂に入ってきたはるかさん。


「オリヴィアちゃんおめでとう。

 わたしは、全くの素人しろうとだけど、オリヴィアちゃんのピアノ好きだから、逆に玄人くろうと受けしないかもってちょっと心配だったのよね。でも、ちゃんと1位になったってことはわたしって案外音楽の才能があったのかも?」


 とか言っていた。はるかさんは理系女子だから数学も得意なんだろうし、数学のできる人は音楽もできると聞いたことがある。その対偶命題である『音楽のできない人は数学ができない』はここに実例があるので、数学的に間違いない。そう考えると、はるかさんが真面目に音楽を目指していればそれなりの演奏家になっていたかもしれない。


「今日の夕食は、アキナちゃんの要望で叙〇苑の焼肉ですから。

 ダンジョンアニマルも市場に出回ってるはずだから、メニューにあれば頼んでみましょう」


「楽しみです」


「ゼンちゃん、ダンジョン牛とダンジョン豚はちゃんとメニューにあったのじゃ」


「アキナちゃん、メニュー見たの?」


「しかり。パソコンでチェック済みなのじゃ」


 先物の売買はするわ、焼き肉屋のメニューはチェックするわ、さすがは女神さまだ。


 アキナちゃん以外にも神さまはいるんだろうけど、アキナちゃんが10歩くらい先を進んでいるよな。神さまの会合みたいなのがもしあれば、鼻高々で自慢しそうだな。


「明日からは熱海の温泉だから、今日はほどほどにな」


「ゼンちゃんのヒールポーションを飲めば腹がパンパンでもすぐに落ち着くのじゃから、明日のことなど気にしたら負けなのじゃ」


 ヒールポーション前提なのか。まあ、簡単に作れるものだし。



 昼食を食べ終えて、今日は久しぶりに楽園イチゴをデザートで食べた。楽園リンゴと一緒にピョンちゃんの主食なので、ちょっと複雑な気持ちに一瞬なるが、食べればおいしいくてそんなことは忘れてしまう。


 デザートを食べ終えて、少しまったりしていたらアスカ2号が俺を呼びにきた。


 はるかさんにLED照明を学校に取り付けることを知らせ忘れていた。


「はるかさん。言い忘れてたんですが、これからアスカたちがケーブルを学校まで延ばして照明をつけていきます。アスカ2号の話だと明日の朝までには完了するそうです」


「ありがとうございます。授業は午前中だけですが、天気が悪いと教室の中はかなり暗くなるので助かります」


「そういうことなんで、ちょっと手伝ってきます。わたしはケーブルを通すための穴掘りするだけですけどね」



 アスカ2号の後について玄関を出て、発電小屋までいった。


 小屋の前には、太めのケーブルを巻いたものと、埋設用のケーブル保護管が置いてあった。


 そして、小屋の横から2本の線が途中2カ所で直角に曲がって学校のある隣の敷地に向かって引いてあった。


「マスター、線の内側を深さ50センチほどで溝を掘ってください」


「了解」


 この程度の作業なら一瞬だ。


「収納して、はいできあがり。

 あとは、隣に行ってからだな」


 隣の学校の敷地とうちの敷地との間の塀は2メートルほどなので、今の俺の身体能力をもってすれば、飛び越えようと思えば飛び越えられるのではと一瞬だけ思ったのだが、やっぱり無理そうだったので、素直に通用口から通りを回って学校の敷地に入り、線の引かれた個所に溝を掘ってやった。


「ありがとうございます。

 申し訳ありませんが、後で埋め戻しますから、土は穴の横に出していてください」


「なら、ケーブルを埋めたらその上に出してやるよ」


「お願いします」


 うちの敷地に戻ったら、スコップを持ったアスカ1号と3号がやってきた。


 俺が埋め戻すことをアスカ1号、3号も分かっていたようで、すぐにスコップを小屋の壁に立てかけて3人がかりで巻いてあったケーブルをケーブル保護管に通し始めた。


 かなりケーブル保護管は長いのだが、思った以上に簡単にケーブルは管の中を通ったようだ。


 できあがったケーブルの入った保護管を溝の中に這わせ、


「マスター、お願いします」


「あいよ」


 先ほどアイテムボックスに収納した土を溝に被せるように排出してやった。うちの敷地に居ながらにして学校側の様子は俺の転移だかアイテムボックスの能力でなんとなくわかるので、向こう側の穴にもちゃんと土をかけておいた。


 かけた土がだいぶ盛り上がってしまったので、アスカたちはその上を踏み固めていった。転圧は華ちゃんに頼めば魔法で一発だが、あまり強く転圧してしまうとケーブル保護管が潰れてしまうのでアスカたちの体重程度で押し固めた方がいいのかもしれない。アスカたちの踏み固めは思った以上に速いし。


「マスター、ありがとうございました。

 後はわたしたちでやっておきます」


「じゃあな」


 アスカ2号は発電小屋の中に入っていき、1号と3号は転圧のために学校の敷地に向かった。


 アスカたちの作業を見ていてもよかったが、邪魔になっても悪いので、ここはアスカたちに任せておとなしく屋敷の中に帰ることにした。



 屋敷に帰っても仕事とか何もないので、俺は早々に風呂に入って夕食のお出かけに備えることにした。


 今から俺が風呂に入れば、5時までにはみんな風呂に入って着替え終わるだろう。





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