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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第363話 善次郎のクリスマスイブ2


 クリスマスプレゼントのお返しのプレゼントが『いかめし弁当』と『かにめし弁当』と『身欠きにしん弁当』しかないのだが。3つ揃えて渡してもすぐに食べきれるものでもないので、どれか一つだよな。とか考えていたら、華ちゃんの次にはるかさんから紙袋を渡された。


「開けてみてください」


 紙袋を開けてみると中から毛糸の帽子が出てきた。


 はるかさんは、以前子どもたちに名まえを刺繍したハンカチを渡していたから手芸が得意なんだ。


 体は寒暖に対しても抵抗力があるため冬でもそれほど寒くはないのだが、なぜか頭部だけ夏は熱いし冬は冷たいと感じてたんだよな。ヘルメットをかぶれば気にならないのだが街中でミスリルのヘルメットをかぶるわけにはいかないのでこれはありがたい。しかし、ピンポイントで帽子ということは、……。とにかく、


「はるかさん、ありがとう」


 アイテムボックスに毛糸の帽子をしまったところで、リサが大き目の平たい箱を渡してくれた。


「ゼンジロウさん、どうぞ」


「開けてみるな」


「チョコレートを作ってみました」


 箱の中には、きれいに並べられたチョコが入っていた。何種類かのチョコレートは木の実が乗っていたりして、食べるのがもったいない気もする。たいていの贈り物はコピーしない方がいいと思っているが、こういった食べ物はコピーしておきたい。


「きれいだし、おいしそうだ。ありがとう」


 次に、オリヴィアが、


「お父さんのためにピアノ曲を作りました。あとでみんなで居間にいくのでそのとき聞いてください」


「うん」


 イオナが渡してくれたのは俺が防具を付けて如意棒を構えている姿の油絵、背景などを見るとこの前の成王の試合だ。これは宮殿の俺の執務室に飾ってやろう。


 そのあと、エヴァとキリアが、


「わたしたちには、オリヴィアやイオナのような特技はないので、二人で選びました」


 エヴァとキリアから手渡されたのは、黒革のシステム手帳だった。


 王さまにもなって、秘書のローゼットさんもいればアスカたちもいるとはいえ、失念したでは済まされなくなるから気を使ってくれたのだろう。俺の物覚えの悪さをエヴァたちが気付いてしまったのだろうか? それはそれとして、プレゼントはありがたくいただいておいた。


「二人ともありがとう。大事に使うよ」



 そして最後にアキナちゃん。


 アキナちゃんは「メリークリスマス」と言って、


「ゼンちゃんへのプレゼントは何がいいか考えたのじゃが、なかなか思いつかなかったので、わらわのプレゼントはこれじゃ」


 そう言って、俺の首に両手を回して、背伸びをするように俺の額にキスしてくれた。少しアキナちゃんの顔に赤みがさしたような、そうでもないような。


「アキナちゃんありがとう」


 アキナちゃんにキスされたあと、何だか俺の周りにあの山吹色の渦が巻いている。それもところどころでキラキラ輝いているような?


「ゼンちゃん、今のはわらわの加護じゃ。

 祝福と似たようなものじゃが、ゼンちゃんが死ぬまでわらわの加護は続くのじゃ」


 特別な意味があったわけではなかったというか、逆に特別な意味があったというべきか。


「そんなの貰っていいのか?」


「ゼンちゃんだからこそわらわの加護を与えたのじゃからな」


 自分を人物鑑定してみたところ、


 名前:ゼンジロウ・イワナガ

 年齢:28歳

 職業:錬金術師、転移術師

 スキル:錬金術LvMax、アイテムボックスLvMax、転移術LvMax、杖術LvMax、人物鑑定、第2職業選択、オートマッピング、両手武器Lv4

 加護:アキナ神の加護


 アキナ神の加護がちゃんと付いていた。効果はおそらくアキナちゃんの祝福のようなものだろう。アキナちゃんは俺を生き返らせてくれたわけだから、神さまであることを疑っているわけではないが、こうしてみると実感が湧くな。



 そうやって結果的に一方通行になってしまったクリスマスのプレゼント交換をした後、夕食をとった。


「「いただきます」」


 今日の夕食は、ラシイ料理で、おそらく七面鳥のロースト、ローストビーフ、スモークサーモン、そしてクリームシチューにおそらくミートパイ。ポテトサラダの乗っかった野菜サラダ。それにレーズンパンとクルミパンだった。


 飲み物も、おとなにはワイン系発泡酒。華ちゃん以下は炭酸水やコーラやジュース。


 さすがに腹いっぱいになってしまって、完食からは程遠かった。



 みんなにヒールポーションを渡して、俺も後片付けを手伝った。後片付けを終えてみんなで居間に移動した。


 居間のコタツの上には大きなデコレーションケーキが置いてあった。イチゴのショートケーキ のホールだ。誕生日ではないが、ろうそくも立っていた。取り皿なども置かれている。アスカたちが用意してくれたものだ。そして、そのアスカ1号、2号、3号はそれぞれ赤いラシイ服を着て立っていた。こうなってしまうと1号と2号の区別はつかない。



 オリヴィアがグランドピアノに向かって、曲を弾いてくれた。最初の辺りだいぶ軽快で中ごろで転調して低音に主旋律が移ってき、最終的に元の調子に戻っていった。主旋律とか転調とかちょっと知ったかぶっただけで実際どうだったかはもちろんわかんないけどな。


 なんであれ5分ほどの曲だったが素晴らしかったし、それになにより嬉しかった。


「オリヴィア、素晴らしかった。ありがとう」


 オリヴィアのピアノ曲の後、ケーキが切り分けられ、お茶が運ばれてきた。


 ケーキを食べる前に、


「みんな、立派なクリスマスプレゼント、本当にありがとう。

 俺もみんなにプレゼントを用意しようとデパートにいったんだけど、なかなかいいものが見つからなくって、結局、北海道の駅弁を3種類人数分買ってきただけなんだ。済まない。

 夕食を食べた後だし、ケーキに駅弁はあわないと思うけど、駅弁食べたい人は言ってくれ。

 種類は『いかめし弁当』と『かにめし弁当』と『身欠きにしん弁当』だ」


 俺は3種類の駅弁をサンプルとしてコタツの上に並べて、頭を下げておいた。


 アキナちゃんだけ『いかめし弁当』を広げてケーキと一緒に食べてくれた。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] やはり!食いしん坊アキナ神
[一言] やはりプレゼントは気持ちが一番ですよね
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