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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第351話 スペキュレーターA2


 屋根裏部屋にストーブでも入れるかとか考えていたら、アキナちゃんが、キーボードをパチパチパッチーン! と、叩いた。


 そして、ニマニマ笑いながら、小声で何かつぶやいていた。よく聞いてみると、


「そうそう」「フフ」「よいよい」


「よーし」


 そこで、パチパチパッチーン!


「これで、7銭抜いたのじゃ、出来値はばらけたが、出来上がり5銭は抜けたじゃろう。これで1億5千万」


「おっ! そろそろ行くか」


 そして、パチパチパッチーン!


 再度、「そうそう」「フフ」「よいよい」


「よーし」


 そして、パチパチパッチーン!


「今度は渋かったな。でき上がり3銭しか取れなんだ」


 そこからしばらく動きも小声もないままで10分ほど経過した。アキナちゃんはその間左右のモニターも含めて真剣な目でモニターを睨んでいる。


「これは来るな」


 パチパチパッチーン!


「おおーー。ビッグウェーブが来たのじゃー! わらわは先に波に乗っておったのじゃ! いっけー! いくのじゃー!」


 そこでしばらくおとなしくなったのだが、いきなり、


 パチパチパッチーン! がきた。


「やったのじゃー! 30銭ぬいたのじゃー、これだけ9億なのじゃー」


「あと相場は1時間ちょっと」


「ここは為替もやってみるか」


「為替相場を動かしたら債券相場も動くじゃろ」


「じゃが、為替だとレバレッジ20倍、100億で2000億しか使えんのじゃ、これではあまりインパクトがなさそうじゃからもう少し金を集めてからじゃな。為替相場はルール無用じゃから金さえあればヤリ放題なのじゃ」


 アキナちゃんは何やら物騒なことをつぶやいているが、大丈夫なのだろうか?



「アキナちゃん、調子がいいようだけど、いくらくらい儲けたんだ?」


「いまの口座残高がここに出てる数字じゃ」


 アキナちゃんがマウスで指す場所の数字は、えーと110……。桁数が多くて、百万、千万、1億、10億、100億。


「110億ちょっとじゃな。これから元手の100億を引くと10億ちょっとの儲けじゃ。

 わらわにかかればチョチョイのチョイと思うておったが、なかなか相場は難しいのじゃ。

 これから引けにかけて3000枚建てておくのじゃ。寝ておる間に相場が1円動いておれば30億の儲けじゃな。ファッファッファッファ。

 100億儲けたらゼンちゃんに借りたお金はキッチリ返すからな」


 そこから相場はあまり動かなかったようで、最後にアキナちゃんが、


「今日はこれくらいにして、あしたの朝のお楽しみなのじゃ」


 といって、モニターのスイッチを切ってしまった。その代わりパソコンは動いたままだった。





 そして翌朝。


「新しい朝が来た、希望の朝なのじゃ。相場なのじゃ、一晩寝かせた相場がどうなったか楽しみなのじゃ」


 そう言ってアキナちゃんは朝食の後片付けを手伝って屋根裏部屋に上っていった。


『ヒャッヒャッヒャ』


 なんだか妙な高笑いが上の方から聞こえてきた。


 大儲けしたことで高笑いしているのだろうと思って屋根裏部屋に上がったら、


「寝ているあいだに1円ちょっと相場が動いておったのじゃ。これで35億儲けたのじゃ。ヒャッヒャッヒャ。

 うーむ。これで手元は146億。100億ゼンちゃんに返すのは後回しにして、為替にそろそろ打って出るか? まだ早いか? いや、『まだ』は『もう』なり。為替に打って出るのじゃ!」


「あれ? 注文を受け付けてくれんぞ? 何々、額が大きいだと!? 高々2900億の注文も受け付けんのか!」


 金額が大きすぎたようだ。確かに2900億円をネット証券会社に為替の注文をだすのはきついかもしれない。昨日はるかさんに聞いたのだが、債券先物の3000枚といったら額面は3000億円になるそうだ。そっちは昨日注文できたようだが為替は無理だったか。


「しかたない、今日も国債の先物じゃな。

 あれ? 今日は1000枚までしか発注できんぞ! どうなっておる?

 あっ! ニュースが流れておる。なになに?

 えーと、個人による大量の委託注文で債券相場が乱高下。

 その注文を受けた証券会社は、発注上限を引き下げ、建玉制限も引き下げた。

 発注画面の下にもニュースが流れておる。

 国債先物の一回の発注上限額、額面100億(100枚)、建玉は売り買いともに1000億(1000枚)。

 何じゃ。これでは満足に売り買いできないのじゃ!」


 かなりご立腹のようである。


「しかたない。

 これ、アスカ3号はおらぬか?」


 アキナちゃんがアスカ3号を呼んだら、15秒ほどでアスカ3号がやってきた。一体どうなっているんだ?


「アスカ3号、わらわの口座からゼンちゃんの口座にとりあえず110億返しておくのじゃ」


「アキナさん、契約書の金利は1年あたり1パーセントにしていましたので、2日分ということで56万円の利息でないと厳密には贈与税がかかります」


「アキナちゃん、それでいいから」


「儲けの半分は渡すつもりじゃったが、ゼンちゃんすまんな。

 いちおう自分の金ができたところで、ここからは45億で地道にいくとするか。

 まずは、証券会社の目ぼしいところに口座を作らないとな。

 アスカ3号、目ぼしいところ3社に新しく口座を作ってほしいのじゃ。証券会社の口座ができたら10億ずつ振り込んでおくのじゃ」


「はい。すぐに口座を開設してお金を振り込みます」


 アスカ3号は屋根裏部屋から下りていったので、俺も「それじゃあ、適当に頑張れよ」そう言って下に下りていった。


 アキナちゃんが相場で損するとは全く思っていなかったが、これほど大儲けするとも思わなかった。そっちも驚いたが、アスカ3号の有能さには呆れたな。まるでAI搭載のロボットだものな。


 アスカ3号は1階まで下りていったので、マンションに帰ってマンションのパソコンから色々手続きをするのだろう。



 俺は屋根裏部屋にストーブでも買ってこようと、ホームセンターに跳んだ。今回は最近使っているホームセンターではなく、ちょっと遠い方のホームセンターだ。こっちの方がホームセンターっぽい。


 店の中に入って、カートを押して、暖房器具を売っていそうなところを探しながら歩いていたら、暖房器具コーナーがちゃんとあった。


 温かいのは石油ストーブなのだろうが、灯油を入れるのが面倒だし、不完全燃焼でも起きればもっと怖い。と言うことで、温風ヒーターを買うことにした。見ると最大で1200ワットと書いてある。1台ならいいが、1台では済まないものな。


 やっぱり石油ファンヒーターにするか? これに吸排気管の付くタイプだとガス中毒の心配もないしな。壁の孔空けだけ俺がやってやれば、設置や配管工事はアスカ3号に任せていいだろう。数があるので灯油の給油は面倒だが、灯油用の大き目のタンクを買ってきてそこに俺が灯油を補充して、自宅警備員のアスカ1号あたりに各部屋を回らせて個別のタンクに給油させてやればいいか。


 ということで、俺は石油ファンヒーターを1台カートに詰め込んだ。200リットル入りの灯油タンクも売っていたので、そいつは石油ファンヒーターと一緒にマンションに運んでもらうことにした。受取人がいると正規で物を買える。いままでコピーで済ませてごめんなさい。と心の中で謝っておいた。


 灯油もそのコピーレシピもアイテムボックスに無かったので、そのあと俺はガソリンスタンドに跳んで、20リットル入りの灯油のポリタンクを買ってその中に灯油を満杯にしてもらって代金を払った。重いタンクを持ち上げてガソリンスタンドから出ていき、誰もみていないところでアイテムボックスの中に収納してそのまま屋敷に転移した。


 アスカ3号が見当たらなかったので、マンションに跳んだら、アスカ3号は窓掃除をしていた。働き者である。


 明日注文した荷物が届くので玄関前にでも置かせて、荷物が来たことを俺に教えるようアスカ3号に言って俺は屋敷に戻った。


 その日の夕食時に、石油ファンヒーターを明日設置すると教えておいた。その際、各部屋に入排気用の孔を空けることも伝えている。



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