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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第346話 ワイファイとIT担当。


 俺はアキナちゃんの後について屋敷の居間に作ったゆらぎからマンションの玄関にでた。


「これは便利じゃ」


 アキナちゃんはそう言って、今度は玄関の壁のゆらぎの中に入っていった。


 そして、すぐに戻ってきて、またゆらぎに入って10秒ほどしてキリアと一緒に戻ってきた。


「うわー。すごい」とキリア。


「その先にエヴァたちがいるぞ」


 アキナちゃんたちが居間に向かった後、俺はもう一度屋敷の居間にいってみて壁のゆらぎを見たのだが、ゆらゆらと居間の壁が揺れていてどうも落ち着かない。見ているとそのうち頭が痛くなりそうなので、ゆらぎの位置を玄関ホールに移すことにした。


 コアルームに跳んだ俺は、コアに屋敷のゆらぎの位置修正を頼んで、それから玄関ホールに跳んだ。その時にはゆらぎは玄関ホールにできていた。


 俺はゆらぎを通って、マンションの玄関に現れ、そこで靴を脱いで居間に向かった。


 居間では、エヴァがアスカ3号の指導でパソコンを使っていた。その2人を両脇からアキナちゃんとキリアが眺めていた。


「ほう」「何だかわからないけど、すごい」などとアキナちゃんとキリアが横でブツブツ言っていた。


 華ちゃんはカウンターの椅子に座って、4人を眺めていた。


「うまくいったみたいですね」


「うん。向こうの玄関ホールとここの玄関を繋げてきた」


「ダンジョンの中と外では電波のやり取りはできませんが、ケーブルは通せるから、ここからLANのケーブルを這わせれば、屋敷の中でもパソコンが使えるかも知れませんよ。アキナちゃんもキリアちゃんもパソコンに興味があるみたいだし」


「なるほど。向こうにケーブルを引いて、ワイファイのハブを置けばいいってことか。

 この部屋の中にLANケーブルを這わせて玄関までつなげるのは面倒だから、ケーブル用に小さな出入り口をモデムの脇に付けてやればいいな。

 必要なのは、ワイファイのハブとLANケーブルか。

 秋葉原までちょっといって買ってくる」


 俺は秋葉原駅の駅前広場に現れて、そこから駅の目の前の大きな電気屋のビルに入っていき、エスカレーターでパソコン関連用品売り場に向かった。


 LANケーブルを錬金工房で丸ごとコピーするのは簡単だが、LANケーブルの延長が錬金工房で品質を保ったままうまくいくのか自信がなかったので、念のため3メートル、5メートル、10メートルのLANケーブルを買った。ケーブルにはランクがあったので、値段の高い数字の大きな方を買っている。そのあと、ハブ用にワイファイの親機を買った。


 今回買ったものは、紙の手提げ袋に入れてもらっていたのだが、当然袋ごとコピーしている。


 あとはアスカ3号に任せておけば、屋敷でもパソコンが使えるようになるはずだ。アスカ3号はうちのIT担当者だな。


 無事買い物を終えた俺は、人目のないところで、マンションに跳んだ。



 玄関から居間に入ると、アスカ3号のパソコン教室は終了したようで、エヴァがキリアとアキナちゃんにパソコンを使って見せていた。


「岩永さん、お帰りなさい。

 わたしも、試しに玄関からダンジョン経由で屋敷に戻って、オリヴィアのピアノをみています」


 華ちゃんはそう言って、居間から出て玄関に向かった。




 うちの子たちは、華ちゃんの国語教室のおかげで不自由なく日本語を使えるようだが、これから先パソコンを使ったり、どこかと交渉することも出てくると考えたら、日本語のスキルブックを使わせた方がいいかもしれない。でも、華ちゃんの国語教室での学習はそれはそれで意味がある。このままでいいか。


 俺はアスカ3号を呼んで、


「アスカ3号、LANケーブルとワイファイの親機を買ってきた。モデムにLANケーブルをつなげて、そのLANケーブルをコアルーム経由でニューワールドの屋敷に繋げて、そこでワイファイ親機を置いてあっちでもワイファイが使えるようにしたいんだ。

 俺はこれからちょっと、コアルームにいって、そこの電話台の横と屋敷の壁に孔を空けてもらうから、その間説明書を読んでおいてくれ」


「はい、マスター」


 俺は、何度目か分からないが、またまたコアルームに跳んでマンションと屋敷の壁に孔を空けてもらった。


 今度の孔は直径2センチほどにしてもらった。屋敷の方の孔は居間のコンセントの近くに空けてもらった。


 これでよーし。


 マンションに帰って、説明書を読み終えたらしいアスカ3号に、


「孔はつながったから、後は適当にケーブルを繋げて屋敷にワイファイ親機をセットしてくれ」と、言っておいた。


「はい、マスター」


 すぐにアスカ3号はモデムに一番短いLANケーブルを差し込み、反対側の先端を電話台の脇に空いたゆらぎに突っ込み、それからワイファイ親機を持って玄関のゆらぎからその先の小部屋に入っていった。


 俺は、屋敷の居間に跳んでワイファイ親機を置くための台を小さなゆらぎの脇に置いておいた。そこで壁を見てたら、小さな揺らぎからLANケーブルの頭が出てきた。


 すぐにアスカ3号が居間に入ってきて、俺の用意した台の上にワイファイ親機を置いて、電源コードとLANケーブルをつないだ。


「マスター、これで屋敷でもワイファイが使用できます。

 マスターのスマホをお貸しください」


 アスカ3号にスマホを渡したら、アスカ3号が画面を何度かタップして、


「これでマスターのスマホがワイファイに繋がりました」


 試しにスマホを見たらちゃんとつながっていた。これはいい。


「アスカ3号、ありがとう」


「どういたしまして」



 俺は2階に上がって、はるかさんの部屋の前で、


「はるかさん、便利になりましたよ」


『はい?』


 はるかさんが部屋から出てきたので、マンションの玄関と、ここの玄関ホールを繋げたことと、マンションからLANケーブルを伸ばしてこの屋敷でもワイファイが使えるようになったことを伝えておいた。


「はるかさん、スマホとパソコンをワイファイに繋げてしまっていいですよね?」


「は、はい。もちろんです、お願いします」


「アスカ3号、はるかさんのパソコンとスマホをワイファイに繋げてくれ」


「アスカ3号さん、パソコンとスマホはこっちです」


 はるかさんが部屋の中にアスカ3号を招き入れたので俺は1階に下りて一休みすることにした。


 3分ほどで、はるかさんとアスカ3号が2階から降りてきて居間にやってきた。


「ネットにつながりました。いやー、ビックリです。

 きっとこれってニューワールドの歴史で最初ですよね」


 そう言えばそうだった。ニューワールドの歴史の1ページをめくったわけだ。これから先、どんどんページをめくってしまいそうだけど。


 俺はスマホで十分だが、こうなってくると、全員にパソコンを買ってやらないとな。少なくともアキナちゃんは欲しがりそうだし。


 その前に、アスカ3号にもっとIT知識を覚えてもらわないとな。


「アスカ3号、向こうでパソコンが空いている時間、IT関係の情報をいろいろ集めて、知識とスキルを磨いてくれ。必要なら本も追加で購入してくれ」


「はい、マスター」





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同軸ケーブルも通せばテレビ番組も視聴可能になるね
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