第338話 メタルダンジョンガールズ
そして翌日。
華ちゃんを連れて、防衛省の会議室に跳んだ。
防衛省側からは、キャラクターのフィギュアができ上ったということで、俺はそのキャラクターを預かった。
預かったのは、もちろん前回見た画像そのものの頭の上に金色のピラミッドを乗せた美少女3人組フィギュア、ユニット名はダンジョンガールズ。
3人にはそれぞれ名まえがあり、ラーン、シュー、ミーキと名づけられている。もちろん川村局長が名付け親だ。本当は、ユカ、アヤカ、アヤノとしたかったそうだが、現役の名まえを使ってはマズいだろうということで、往年のアイドルスターの名に近い名を採用したそうだ。
川村局長はユニット名をクッキーズとしたかったようだが、無難にダンジョンガールズにしましょうと、野辺次長以下に説得されそうなったという話だ。いたって平凡なネーミングセンスが自衛隊ラシイと防衛省内では好評とのことだった。
フィギュア化したあとメタルゴーレムに戻した人物の踊りの能力を受け継ぐハズということで、防衛省では、現役の方の3人ユニットに依頼して了承を得たそうだ。彼女たちの能力を受け継ぐならテクノダンスが繰り広げられるはずだ。
「帰ったらすぐゴーレム化してフィギュア化しますから、午後にでもここにお届けします」
「よろしくお願いします」
「わたしの方の報告なんですが、ダンジョンの大空洞の探索は進んでいません。
その代わりというわけではないんですが、
まず一点、
ゴーレムコマを作ることができました」
「ゴーレムでコマ? コマってクルクル回るコマですよね?」
「はい。見た目の動力はありませんが、命令すれば回転を始め高速で回転し続けます。
試しに作ったものですから、大きなものではありませんし、ゴーレムなのでダンジョンの中でしか回ることはできません。
高速で回っている状態のままアイテムボックスの中に収納しているので、お見せしましょう。
テーブルの上だとテーブルが傷つくから、そこの床に出します」
D関連局面々が会議室の後ろに集まったところで、床の上に高速回転中のゴーレムコマをアイテムボックスから出してやった。
シーーーー。
床はプラスチック製だった関係であまり大きな音はしないが、相当高速で回転していることは分かってもらえたはずだ。
しばらく回してゴーレムコマを収納しておいた。
「ダンジョンの中で今のスピードで回り続けるということですか?」
「もう少し速く回るかもしれませんがいつまででも回っていると思います。フィギュアモンスターも同じですが、ダンジョンには何らかのエネルギーがあってそういった物たちはそのダンジョンのエネルギー、いわばダンジョンエネルギーを使っているんだとわたしは考えています」
「ダンジョンエネルギーが回転エネルギーに。このゴーレムコマを組み込めば発電も容易ということですね」
「はい。そう思っています」
俺はそこで、直径10センチ、20センチ、30センチのゴーレムコマを錬金工房で作ってテーブルの真ん中に置いた。
「サンプルとして差し上げますので、発電機ができるものかお試しください。
通常のゴーレムは作った者の命令しか聞かないんですが、このコマは『回転、停止』だけは誰の命令でも聞くようにしています」
「ありがとうございます。さっそくテストいたします」
「ゴーレムコマのあと、もう一点。
木内さんのレポートにもあったんじゃないかと思いますが、わたしたちはニューワールドでオストラン王国という国に住んでいます。それでですね、わたしはそこの政府の高位の人物と懇意にしているんですが、彼らは将来的に日本との国交を望んでるんですよ」
ここまで話して横目で華ちゃんを見たら、口をへの字にして顔を赤らめていた。これは何を意味するんだ?
「とはいえ、現状わたしを介さないと行き来できないんですがね。
それでも、日本のダンジョンは願いに敏感だから行き来したいと願い続ければ行き来できるようになるかもしれません。
オストラン王国側は大前提として日本からの技術の導入により社会インフラの整備を考えています。電気と水道が当面の課題でしょう。
最初は視察団を日本に派遣して、そのあとは、日本への留学などを考えているようです」
「分かりました。国交という話になれば外務省マターでしょうから、わたしの方で外務省に話をしておきます」
「お願いします」
会議が終わってポーションとフィギュアを卸した俺は、華ちゃんを連れてコアルームに跳んだ。
コアに頼んでダンジョンガールズをゴーレム化し、それからフィギュア化だ。最初からゴーレムじゃなくフィギュアモンスターが作れないか今回コアに聞いたのだが、それはできないと言われた。俺たちのダレン南ダンジョンにはなにがしかのノウハウがあって、それはダンジョン間では共有されていなかったようだ。ダンジョン界も結構世知辛い。
ダンジョンガールズそっくりのゴーレムをコアに作ってもらった後、ブラウさんとローゼットさん用に日本語のスキルブックを2つ作らせた。
コアルームでの用事が終わり、俺と華ちゃんはフィギュアルームに跳んだ。二人ともヘルメットだけ被っている。
華ちゃんが一連の魔法をかけて何もないことを確かめた後、ゴーレムダンジョンガールズをフィギュア化してやった。ついでにゴーレムコマもフィギュア化しておいた。
最初にフィギュア化してかなり小さくなってしまったフィギュアゴーレムコマをメタルゴーレムコマに戻して、回転してみたところ、石の床に孔が空きそうなエライ勢いで回転した。回転したまま収納してしまうと今度出した時事故が起こりそうなので、止めてから収納しておいた。
次はフィギュアダンジョンガールズを試しに床に投げてメタルダンジョンガールズに戻した。全身が銀色でテクノポップさは出たのだが、頭のピラミッドが金色ではなく銀色なので、ちょっと惜しい感じがした。あとで金色に塗装すればいいか。
試しにダンスさせてもよかったが、俺が戻したメタルゴーレムたちなので、そのまま踊らせてしまうと確実に元ユニットのイメージが崩壊してしまうと思い止めておいた。
最後にメタルダンジョンガールズをフィギュアに戻して収納して作業は終わった。後で気づいたのだが、華ちゃんに頼んでメタルダンジョンガールズに戻してもらっていればちゃんとしたダンスが見られたのかもしれない。超一流の音楽センスを持つ華ちゃんだからまずないだろうが、もしメタルダンジョンガールズのダンスが俺並だったら、そういうことなのだろう。それはそれで、俺は少し安心だ。
これでフィギュアゴーレムコマとフィギュアダンジョンガールズができ上ったので、華ちゃんは屋敷に帰して、俺だけ防衛省に戻ってダンジョンガールズのオリジナルフィギュアと、でき上ったフィギュアダンジョンガールズと一緒に試供品としてメタルに戻すと直径10センチ、20センチ、30センチのメタルゴーレムコマに戻るフィギュアゴーレムコマを置いてきた。会議室にいてフィギュアを受け取ったのは、野辺次長だった。
「そういえば、岩永さん、年末年始のご予定は?」
「あっ! 年末温泉旅行にいこうと思ってたんですが、予約するのを忘れていました」
「予約が取れればいいですね」
「急いで予約してみます。
それじゃあ、失礼します」
旅館を予約するため、俺はマンションの玄関口に跳んで、熱海の温泉旅館の宿泊券を見ながら電話した。
「宿泊券を以前いただいた岩永と申します。予約を取りたいんですが?」
「はい。あっ! 岩永さまですね」
「はい。それで、年末、28、29、30の2泊3日で10名でお願いしたいんですが、取れますでしょうか?」
「二部屋続き部屋をご提供させていただきます。代表者は岩永さまでよろしいですね?」
「はい。それでお願いいたします」
「お待ちしております」
年末混みそうだったが、予約できてラッキーだった。
これで予約できたから、後は親父だな。電話するより直接話した方が早いと思って、実家に跳んで、土間から親父を呼んでやった。
「親父ー、俺だー」
しばらくしてどてらを着た親父がやってきた。
「親父、年末28、29、30で熱海の温泉旅館予約したから来られるだろ?」
「あ、ああ」
「じゃあ、そういうことで。28日の昼前に迎えにいくから。その日の昼は食べないでいてくれよ」
「お、おう」
「じゃあ」
これでよーし。




