表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

322/526

第322話 オストラン大神殿1、聖剣


 銀座のデパートでお買い物をして、中の寿司屋でたらふく寿司を食べた俺たちは屋敷に戻った。


 屋敷に戻ってからは、いつものように俺から順に風呂に入っていった。夕食は終わっているので、風呂に入った順に居間のコタツに入って寛いでいる。オリヴィアだけは、華ちゃんに髪の毛を乾かしてもらったらすぐにピアノに向かっていった。ピアノコンクールの全国大会までもう3週間ほどなので気合が入っているようだ。


 華ちゃんたちが風呂に入り、俺は子どもたちと一緒にオリビアを聴きながら、


「それじゃあ、明日、みんなで都に繰り出すからな」


「「はい」」「楽しみなのじゃ」


 明日は学校の休日なので、はるかさんも一緒に全員で朝から都見物だ。




 翌日。


 みんなで戸締りを確かめたあと、忘れずにピョンちゃんのエサカゴに楽園イチゴと楽園リンゴを補充して出発準備完了だ。みんなは昨日買った余所行よそいきを着ている。俺は新しく余所行きを買っていないので、昨日着ていたのと同じ服装だ。


 せっかくアスカが2体もいるので、アスカ1号を自宅警備員として置いていくことにした。


 不審者が屋敷に侵入したら殺さず捕まえるだけにするよう指示しており、ロープも渡している。アスカ1号はロープの束を肩に掛けているので、カウボーイっぽい。ちなみにアスカ1号の格好は冒険者スタイルだ。真っ黒なダンジョンスーツZの上に着けた鎧だけは最初に華ちゃん用に用意した革鎧のコピーなので赤茶けている。


 アスカ1号の着けた新品の革鎧と、もはやエナメルと見まごうばかりの俺たちの漆黒の革鎧と比べるとその差が歴然。新品の革鎧はちょっとチャチな感じがするが、そもそもアスカはゴーレムなので、革鎧その他の防具などよりよほど本体の方が丈夫なはずだ。そういう意味で冒険者の装備は身に着けているだけの飾りに過ぎない。リアルアスカがマッパじゃ社会問題だしな。


「みんな俺の手を取ってくれ」


 いつものようにみんなが俺の手を取ったところで「転移!」



 都オストランに通じる街道からやや離れた草地の上に俺たちは現れた。街道上には、馬車や通行人が行き交っていたが、いきなり草地に現れた俺たちに、誰も気づいた者はいなかったようだ。都の天気はバレンの街と同じく抜けるような青空だった。


 街道に出た俺たちはそこから都に向かって一列になって歩いていった。俺が先頭で、昨日買った余所行きの服を着たアスカ2号が最後尾を歩いている。


 都の街並みを目指して歩いている俺たちを荷馬車が追い越していくが、御者台の上のおじさんは決まって俺たちを眺めながら追い越していく。美人、美少女が9人も並んで歩いていたら目の保養ではあるな。初めてこの9人を目にしたなら、俺でもじっと眺める自信があるよ。


 都の手前には川というより運河が流れていて、橋を渡った先は大きな門になっていたが、バレンの街と同じく門衛などおらず、出入り自由のようだった。



 門を抜けて市街に入ると、大きな建物が石畳でできた大通りに面して並んでおり、かなりの人口を擁する街のようだ。俺の勘だが100万人は住んでいるんじゃないか?


「ここまできたのはいいが、どこにいけば何があるのかさっぱりわからないな。タウンマップが欲しいところだが、それに類するものがどこかにないかな?」


 俺が歩きながら誰にいうともなく愚痴をこぼしていたら、俺のすぐ後ろを歩いているアキナちゃんが、


「この道をまっすぐ進んでいけばそのうち王宮に出るはずじゃ」


「アキナちゃん、この街知ってたのか?」


「いや、初めてじゃから全然じゃ。タダの勘なのじゃが、わらわの勘は当たるというより、外れないのじゃ」


 なんだかわからないが、勘が外れないというところはすごいな。確かにアキナちゃんが口にしたことはそのまま実現しているような気がする。今まで勘で何か言っていたのかどうかは分からないが、なにせ女神さまだ。信ぴょう性はあるものな。


「このまままっすぐすすんで王宮を見物しよう。

 いくら遠くても1時間もかからないだろ」


 天気もいいのでハイキングのようなものだ。


 彩も鮮やかで、派手な服を着た美女、美少女たちがぞろぞろ通りを歩いていたら、行き交う人に注目されるわけだが、ファッションリーダーのアキナちゃんは、堂々としたもので、たまに手を振ったりしている。子どもたちも似たようなものだが、華ちゃん以下3名はうつむいて歩いていた。ぶしつけな視線はやはり気になるよな。もちろん最後尾を歩くアスカ2号はわれ関せずだ。


 しばらく歩いていたら、右手前方に立派な鐘楼のある大きな建物が見えてきた。


「なんだろうな?」


「あれは、おそらくオストラン神殿じゃ」


「オストラン神殿ということは、アキナちゃんのところのアキナ神殿とは別なのか?」


「オストラン神殿はこの国の名がついていることからも分かるように、国の重要な儀式はここで執り行われるのじゃ」


「ほう。格式がある神殿ってわけだな」


「その通り。そして、オストラン神殿の裏庭には成王の剣と呼ばれる聖剣が石に刺さったまま眠っているそうじゃ。

 今回即位100周年記念式典が行なわれるエドモンドⅠ世が100年前その聖剣を引き抜いて王となったという話じゃ。エドモンドⅠ世亡き後、聖剣は自ら石の中に剣身を埋めて、次の王たるべき者が現れて自分を石から引き抜くことを待っているそうな」


「どっかで聞いたような話だな」


「おとぎ話のような話じゃが、本当の話なのじゃ」


「試しに、その聖剣を抜かせてもらえないかな?」


「わらわが頼めば、良しなに取りはからってくれよう」


「じゃあ、アキナちゃん、頼むよ」


「任せておれ。

 しかし、ゼンちゃん。本当に聖剣を引っこ抜いたらどうするのじゃ?」


「それこそ、杞憂っていうもんだ。引っこ抜けないから埋まってるんだろ。何十年も埋まっていたら剣も錆びついて、それこそ抜けるはずないから」


「そうじゃろか?」


 アキナちゃんは、都は初めてと言っていたので、勝手知ったるってことはないはずだが、何が嬉しいのか分からないがニマニマ笑いながら、オストラン神殿の正面の石段をスタスタと上って、石柱の先の大ホールに入っていった。


 慌てて俺たちもアキナちゃんを追って大ホールの中に入っていった。


 アキナちゃんはちょうど向こうからやってきた青い巫女服を着た30歳くらいの女性に話しかけた。その女性は後ろに数名の色違いの巫女服を着た女性を従えていたので結構偉い人かもしれない。


「わらわは、アキナ神殿のアキナというものじゃが、この神殿の裏庭にあるという聖剣を見せてもらいたいのじゃ。どうであろう?」


「アキナ神殿というと、バレンに大神殿を置く。

 たしか神の生まれ変わりと言われていた御子が邪悪な者の呪いでに石にされていたところをエリクシールにより蘇ったという」


「まさにその御子がわらわじゃ。そして、その時わらわをエリクシールで蘇らせてくれたのがそこにおる大錬金術師でAAランク冒険者のゼンジロウ・イワナガなのじゃ!」


 紹介された以上、知らんふりもできないので、「ゼンジロウ・イワナガです」と言って、青服の巫女さんに軽く頭を下げておいた。


「ほう。それはそれは。

 アキナさま。わたくしはこの神殿を預かる継世の巫女、ブラウです」


「ブラウ殿、わらわのことをアキナ神殿のアキナと信じるのか?」


「もちろんです。

 先ほどただならぬ気配を感じて何事かとホールに出てきたところ、アキナさまたち一行を見つけたものですから安心しました。

 わたくしも継世の巫女の名を賜っておりますので、アキナさまの瞳を見ればアキナさまが神の生まれ変わりということくらい一目瞭然です。

 まずは、成王の剣をお見せしましょう。こちらです」


 俺たちは継世の巫女さんとお付きの巫女さんたちの後についてホールを横切り奥の廊下に入って、そこからしばらく進んだ先で、通用口のようなところから裏庭に出た。


 裏庭の真ん中には四阿あずまやが建っていて、その屋根の下にそれなりの大きさの平たい石が地面から頭をのぞかせていた。そして、その石の真ん中には剣の柄だけが突っ立っていた。握りの部分には本来革かなにかが巻かれていたのかもしれないが、銀色に光る金属だけになっていた。


「あれこそが、成王のつるぎ、聖剣ジルベルネ・スローンです」と、青い巫女服を着たブラウさんが教えてくれた。


 剣の柄の長さは30センチほど。石の前には銘板が取り付けられた御影石の台が置かれている。近寄って銘板をみると、


              聖剣

          ジルベルネ・スローン

         われを石より引き抜きし者

            王とならん


 と、刻まれていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おk、綺麗に読めます
[気になる点]                    聖剣                ジルベルネ・スローン               われを石より引き抜きし者                  …
[気になる点] 携帯で読んでますが、少々ズレてますね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ