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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第318話 都へ1

ここより、成王編となります。


 久しぶりに焼肉を食べて大満足だった。初めて焼き肉を食べたアキナちゃんも、みんなで焼き肉を食べるところを大神殿の壁画にしたいと言い始めた。アワビの踊り食いは『いつもの晩餐』だったが、焼き肉は『特別な晩餐』かな。アワビの踊り食いは希少価値があるしいつも食べてるわけではないので、『いつもの晩餐』ではなく『旅の晩餐』とかに変えた方がいいかもな。



 イオナの絵画各賞受賞おめでとう焼肉の翌朝。


 神殿からアキナちゃんに迎えがやってきて、アキナちゃんは馬車に乗って神殿に戻ったのだが、10時過ぎには馬車で戻ってきた。


 そのとき居間にいたのは俺と華ちゃんとオリヴィアで、二人はピアノ練習の休憩中だった。


 コタツに座っていた俺の横に座ったアキナちゃんが、


「ゼンちゃん、困ったことになってしもうた」


「アキナちゃん、神殿で何かあった?」


「都で式典が行なわれるのでアキナ神殿(うち)からも人を出すことになったそうなんじゃが、わらわも出なくてはならなくなったのじゃ。

 わらわは嫌じゃと断ったのじゃが、じいが泣いて頼むものじゃから断り切れんかったのじゃ。

 都まで700キロ。馬車で片道2週間。行き帰りだけで一月ひとつきもかかってしまうのじゃ。

 ゼンちゃん、都までの道はしっかりしとるからこの前の自動車《タートル号》でわらわだけでも連れていってくれんかの?」


「700キロ程度ならタートル号なら何日もかからないだろう。問題は往来の多い道でタートル号を走らせると、馬車や通行人が驚いて騒ぎになるってところだな」


「岩永さん、夜間なら馬車も通行人もおそらく街道を使っていないでしょうから、夜間に走ったらどうでしょう?」と、華ちゃん。


「そうだな。それなら何とかなるか。時速70キロで走れるかどうかは分からないけど、仮に走れたとして10時間。夜間だけ走ったとして二日もかからず着くな。

 ところでアキナちゃん、都にいく道を知ってるのか?」


「このバレンから北に向かう街道を道なりに進むだけで都には到着するハズじゃ」


「それなら簡単だ。今日暗くなったら出かけてくるよ。都に着いたらそこを覚えてくるから。そしたらいつでもアキナちゃんを都に連れていけるからな」


「ありがたや。わらわと一緒に神殿の者も運んでもらいたいのじゃが」


「それくらい簡単だからアキナちゃんと一緒に運んでやるよ。馬車に乗っているなら一度に運べるから簡単だしな。分かった時でいいから、いつ都に到着したいのか聞いておいてくれ」


「ゼンちゃん、ありがとう」


「ところで、都の式典って何の式典なんだ?」


「この国を大きく発展させたエドモンドⅠ世という王さまが即位して100周年の記念式典と言うておった」


「ふーん。そういえば、全く興味がなかったから気にかけたこともなかったけど、この国の名まえは何て言うんだ?」


「生活するには街の名まえを知っておれば十分で、国の名など普段気にかけることなどないものな。

 それで、この国の名はオストラン王国で、都の名まえもオストランじゃ」


「王国だったのか?」


「確か今の王さまはエドモンド4世という名前のはずじゃ。じゃが実権は宰相以下が握っているといううわさじゃ。とはいえ、他国に比べれば税は安いと爺が言うておったし、庶民にとっては良い国なのであろうな」


「そうなんだ」


 そんな話をしていたら、オリヴィアと華ちゃんの休憩が終わったようで、オリヴィアはピアノを弾き始めた。華ちゃんはオリヴィアの隣りに立って楽譜をめくってやっている。



 夜間車を運転することになるから、昼食を食べたら、適当なところで昼寝しておこう。風呂に入ってしまうと出歩きたくなくなるから、今日は風呂に入るのはよして、子どもたち、華ちゃんたちの風呂を用意するだけにしておこう。



 そういうことで、昼食を食べながら、午後からの俺の予定をみんなに伝えておいた。


「岩永さん、一人で自動車を運転するんですか?」


「そのつもりだけど」


「一人で大丈夫ですか?」


「スタミナポーションもあるし大丈夫だろ。道も簡単そうだしな。ラジオは付いていても電波が届かないから、暇ではあるけどな」


「話し相手にわたしも同乗しましょうか?」


「気持ちはありがたいけど、そこまではいいよ」


「そうですか」


「それなら、わらわがついていってやるのじゃ」


「アキナちゃん、夜の12時まで起きてられるのかい?」


「失礼な。わらわは石になって7年間も眠っておったのじゃ。何日であろうと起きていられるのじゃ」


「じゃあ、アキナちゃん頼むよ」


 いつでもアキナちゃんを屋敷に送り返せるからな。




 昼食が終わってみんなにデザートを配ったが、俺はデザートを食べずに二階の自室に戻って、窓を閉めて部屋を暗くしてからベッドに横になった。


 まだ午後1時前だし、全く眠くならない。ここで金でも錬成すれば疲れて眠れるかもしれないが、今度は起きられなくなってしまう。


 とにかく脳を休めるつもりで目を閉じてベッドでじっとしていることにした。


 都というからには、いろんな店があって、見物するにも見どころが沢山あるはずだ。アキナちゃんたちを都に送ったら、みんなで見物にいってもいいな。


 とかなんとか考えていたら、2時間ほど経っていた。まだ3時だが、やることも何もなかったので、結局風呂に入ってしまった。その後子どもたち用に湯舟の湯を入れ替えてやり、服を着替えて居間にいった。



 居間では、オリヴィアと華ちゃんはピアノ。キリアとエヴァとアキナちゃんはコタツでおしゃべりしていた。イオナは絵画部屋で絵を描いているのだろう。


「エヴァたちは、もう少ししたら風呂に入れよ。さっきお湯を入れ替えてやったけど温いようなら熱いお湯を蛇口から出していい温度にしてくれ」


「それじゃあ、早いけどお風呂に入ってきます」


 オリヴィアもピアノを止めてエヴァたちについて居間を出ていった。玄関ホールの方からエヴァがイオナを呼ぶ声がした。


 3人いれば派閥ができるという話を聞くが、うちの子たちにはそんな感じが全くない。奴隷商館での教育が良かったのか、本人たちの資質か分からないけど、じつに仲がいい。




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あとで、テストに出るかも?


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