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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第309話 一心同体と勇猛果敢1


 その日は、祭日だったため足立と下村、それに火野の3人は、ワーク〇ンで新しいモデルが出たということで、どんな感じか見に行こうというということになり、店の前で集合し、3人集まったところで入店してカートを押して店の中の冒険者コーナーに向かった。


「新しいモデル、今までのモデルより軽い上に丈夫って話だけど、どうかな?」


「予算は十分なんだから、少しでも性能がいいなら買い替えてもいいんじゃない」


「そうだな。お金を惜しんでケガをしたらそれこそ本末転倒だものな。とりあえず、どんなものか見てみようぜ」


 冒険者コーナーにはダンジョンスーツの他、防刃ベスト、ヘルメットや手袋、安全靴などが並んでいる。


 ダンジョンスーツが並んでいる一画に天井から宣伝用の派手なプレートが吊り下げられていた。


「アレじゃないか?」


「ダンジョンスーツ、Zシリーズだな」


「そういえば、あの最強チームの黒一点のリーダーってZって言うらしいぞ」


「その噂、俺も聞いたことがある」


「後ろにいた、高校生ぐらいの女の子はSって言うそうよ」


「なんだか、カッコいいな」


「だけど、あの最強チームあれ以来姿を現さないな」


「そうだけど、カメラに映っていないだけで、どっかで活躍してるだろ」


「あのときいた白い防具の子、覚えてる?」


「もちろんだ。顔ははっきり見えなかったけど、雰囲気はそうとうな美少女だったよな」


「黒い防具の二人も相当な美少女に思えたぞ」


「リーダーはおっさんに見えたけど、実は若いのかな?」


「そうなんじゃない。結構なおっさんだったら完全なロリコンだもの。おっさんのくせに名まえがZじゃかなり危いよ」


「そうかな、俺はカッコいいと思うけどな」


「ロリコンはロリコンなんだろうけど、メンバーは実力で選んだんじゃないか? その結果みんな美少女だったっていう、うらやまけしからん結果になっただけで」


「そうかなー。まっ、どうでもいいけどね。

 わたし、あの白い防具の女の子を真似て白で統一しようかしら?」


「白は見た目はいいけど、汚れが目立つぞ」


「やっぱり白は止めたほうが無難かな?」


「やっぱ、そうじゃないか。

 こっちのこの黒いので、俺たち揃えたらどうだろう?」


「じゃあ、これだね」


 火野がハンガーにかかった黒いダンジョンスーツに手を伸ばそうとしたら、横から隣のハンガーに手が伸びてきて、その人物と火野の目が合った。


「あっ!」


 先ほど話していた、Zの雰囲気によく似た男だったので火野は思わず声を出してしまった。


 火野が目を逸らせた先には高校生くらいに見える美少女と、中学生くらいに見える外国人の美少女が2人いた。


「あーーー!?」


 今話していた最強チームに間違いない!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ワーク〇ンの駐車場に転移で現れた俺たちは、表に回って店の中に入っていった。カートをカート置き場から抜き出して店の中を見回したら、冒険者コーナーなるものがフロアの3分の1くらいを占めていて目を引いた。


 第2ピラミッド=ダンジョンに近いワーク〇ンだけのことはある。今日は確か祭日だったはずなので、人も多いようだ。


 カートを押した俺はみんなを引き連れダンジョンコーナーに移動していった。


 20代から30代くらいの客が多い中、高校生くらいに見える3人組が、ダンジョンスーツを見ているところが目に入った。男子2人に女子1人の3人組だ。


 その3人が品物を選びながらの話し声が聞こえてきた。


 ……。


『そういえば、あの最強チーム、あれ以来姿を現さないな』


『そうだな。カメラに映っていないだけで、どっかで活躍してるんだろうけどな』


『あのときいた白い防具の子、覚えてる?』


『もちろんだ。顔ははっきり見えなかったけど、雰囲気はそうとうな美少女だったよな』


『黒い防具の二人も相当な美少女に思えるぞ』


 どうやら俺たちのことを話しているようだ。


『リーダーはおっさんに見えたけど、実は若いのかな?』


『そうなんじゃない。結構なおっさんだったら完全なロリコンだもの。おっさんのくせに名まえがZじゃかなり危なくない?』


『そうかな、俺はカッコいいと思うけどな』


『ロリコンはロリコンなんだろうけど、メンバーは実力で選んだんじゃないか? その結果みんな美少女だったっていう、うらやまけしからん結果になっただけで』


 ……。


 ロリコン疑惑というか断定は否定したいが、3人が美少女だということと、うらやまけしからん結果というところは認めよう。


 華ちゃんの横顔を盗み見たら、笑いをこらえていた。


 キリアは、そもそも3人の会話が耳に入っていなかったようで、そこらの商品を手に取って眺めている。


 アキナちゃんはまたニマニマ笑いをしていた。


「このダンジョンスーツのZシリーズっていうのがいいんじゃないか?」


「良さそうですね」


「アスカ用だから色はやっぱり派手な赤が欲しいけど、さすがにダンジョンで真っ赤はないし、そもそも売っていないな。白だとすぐ汚れるから、無難に俺たちと一緒で上から下まで黒で統一しておくか。

 アスカは華ちゃんと同じサイズだろうから、女性用のこのサイズでいいのかな?」


「そうですね」


 錬金工房で一度コピーしてしまえばサイズはどうとでもなるけど、手をかけないに越したことはないので、俺はハンガーにかかった華ちゃんのサイズの黒いダンジョンスーツZを取ろうと手を伸ばした。そしたら、3人のうちの女子が隣のダンジョンスーツに手を伸ばしてきて、俺と目が合った。


「あっ!」


 その女子が俺を見て驚いたような声を上げた。その後、俺の後ろに立っていた華ちゃん以下3人を見てさらに、


「あーーー!?」


 大口を開けて発声練習を始めてしまった。


 発声練習を始めた仲間を見た残りの二人が、俺たちを見て、同じように、


「「あーーー!?」」と、発声練習を始めてしまった。


 最初の女子が慌てて、


「済みませんでした」と、俺に謝って、続けて、


「もしかして、最強チームの」


 ここでロリコンZですと自己紹介すれば面白かったかもしれないが、この3人の他にもたくさん客がいたので、俺はとぼけることにした。


「ダレノコトカナ?」


 そこで状況を把握していない若干一名が首を突っ込んできた。


「ゼンちゃん、わらわもダンジョンスーツZが欲しいのじゃが?」


「のじゃロリ、キターーー!」


「「ハア、ハア。済みませんでしたー」」


 なんだかおもしろい連中だ。俺はこれ以上周囲の注目を集めたくなかったので、カートに入れていたダンジョンスーツZを置いたまま転移で逃げ出そうと3人に目配せしたはずだったのだが、アキナちゃんがその3人に向かって、


「わらわたちに何か用なのか?」と、話しかけてしまった。


 3人は見た目お人形さんのアキナちゃんに直接話しかけられたせいか何も言えず固まってしまった。


 混とんとした状況の中で、俺は局面を打開しようと3人に向かって、


「俺たちと一緒にお茶でもしないか? おごるから」と、次善の策として誘ってみた。


「「は、はい。ぜひ!」」




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