第308話 アスカ1、性能試験
俺たち一心同体は、俺の死亡という尊い犠牲を払いながらも、ほんの数日で結果的に日本の全ダンジョンを攻略してしまった。俺たち当事者たち以外では全く理解不能な言葉だと思うが事実だ。
その翌日。
超高性能美少女ゴーレムが期待通り超高性能なのかその性能を試すため、俺たちは南のダンジョンに跳んだ。楽園オウムに戻って、屋敷で弱るかもしれないと心配したピョンちゃんは玄関ホールでいたって元気だったので、今日はおいてきている。
まず、フィギュアメーカーの部屋に跳んで、アニメ顔の方の美少女ゴーレムを30センチほどに縮めたゴーレムを錬金工房で作り、それをフィギュア化してやった。
でき上った3センチほどの銀色の美少女フィギュアを床に投げ出したら、青い光とともに、ちゃんと身長30センチのメタル美少女に戻った。
「これなら可愛い」
「ほう。なかなか良いのじゃ」
「さすがはお父さん」
今回は誰もが納得できるフィギュアができ上った。
メタル美少女フィギュアへの最初の命令として、そこで適当に踊ってみろと言ったら、本当に適当に手足バラバラに踊っていた。メタル美少女のタコ踊りを見ていたら、無駄に美少女なのがあだとなり、なにかやるせなさを感じてしまった。華ちゃん以下3名の目も笑っていない。
リズム感の欠如と、手足の動きがバラバラなところは、戻した俺のダンス能力を受け継いだのだろう。逆に言えば、本人のダンス能力が高ければ、メタル美少女はうまく踊れそうだ。戻した本人次第ということは差別化できるわけで商品性は高まるかもしれない。ただ、今回のキャラクターは登録キャラクターのハズだから日本での商品化は難しいと思う。
それでも、いつでも増産できるように、コピーだけはしておいた。
次に跳んだ先は楽園の中央広場。本命の超高性能美少女ゴーレムの性能試験だ。
「出でよ、超高性能美少女ゴーレム、アスカ!」
アイテムボックスの中から実写版アスカを広場の真ん中に排出した。
「美少女ゴーレムの名まえはアスカですか?」
「美少女ゴーレムというとちょっと変だし、元がア〇カ・ラングレーだから、覚えやすいだろ? 某web小説のヒロインもアスカだったし」
「別にいいですけど」
「まずは走行性能だ」
中央広場はせいぜい直径30メートルくらいの丸い広場なので、走行性能試験には本来適さない。仕方ないので、如意棒で広場に20メートル幅で平行線を引いて、20メートルシャトルランをさせることにした。
「アスカ、こっち側の線の上に立ってみろ」
俺の命令通りアスカは俺たちが立っているところに近い方の線の上に立った。
「俺が『始め』と、合図したら、ここと向こうの線の間を5往復しろ。
それじゃあ、始め!」
華ちゃんはじめキリアとアキナちゃんが見守る中、アスカは俺の指示通り2本の線の間を往復したのだが、1往復で止めさせた。
アスカの脚力に対して地面が柔らかすぎて、盛大に土を巻き上げて、俺たちのところまでその土が降ってきた。そのせいで出だしで足が滑ったアスカは前のめりになって転びそうになったものの、転ぶことなく超前傾姿勢で20メートル走り、そこでも盛大に土をまき散らしてUターンした。こっちに戻ってきてUターンさせると、また土を被ってしまうので急遽20メートルシャトルランは取りやめた。
「スピード自体はかなりのものだったと思うが、どう思う?」
「やはり、靴の素材に問題があるのでは?」
「確かに、美少女フィギュアのプラグスーツ一体型のブーツだからな。
そのうち、ワーク〇ンでブーツを買ってこよう」
「プラグスーツはカッコいいですが、どう見ても防御力が弱そうですから、この際、プラグスーツは止めて、全部ワーク〇ンで揃えませんか?」
「それだと、せっかくの実写版ア〇カ・ラングレーが映えないんじゃないか?」
「ゼンちゃん、うちの神殿の巫女服はどうじゃ? 見ようによってはなかなかのもんじゃぞ」
「確かにアレもいいかもしれないが、動きにくそうだし、さっきみたいな高速機動をしたら、それこそ着ているものがどっかに飛んでいってしまうぞ」
「確かに」
「アスカの装備はそのうちということで、試験を続けよう。
試験と言っても、結局は戦闘力がどれくらいあるかが大切だから、メタルゴーレムと戦わせてみよう」
「それは、面白そうですね」
「おもしろそう」
「ゼンちゃん、どちらが勝つかわらわと賭けをせぬか?」
「アキナちゃんは何を賭ける?」
「わらわは金貨1枚をアスカに賭けるのじゃ」
「俺もアスカに賭けようと思っていたけど、アキナちゃんがアスカに賭けるなら、ゴーレムでいいぞ」
「では、賭けは成立じゃな」
「ああ。
まずは、メタルゴーレム1型だ!」
アスカの正面にメタルゴーレム1型を出してやった。
「メタルゴーレム1型とアスカ、俺が『始め!』と、合図したら戦ってみろ!
それじゃあ、始め!」
始め! と、俺が口にした瞬間に、メタルゴーレムの下半身が爆散して破片が飛び散った。
もちろん俺たちのところにも破片が降ってきた。アスカが飛び出して足で抉った土は、後ろの方に飛んでいったので俺たちに被害はなかった。
アスカ自身は、最初立っていたところから、メタルゴーレムを通り過ぎて反対側に立っていた。もちろんそこでも地面が抉れていた。
下半身が無くなり上半身だけになったメタルゴーレムは、自重で地面に落っこちて転がりそのまま目の光が消えて動かなくなって、そのうち元のフィギュアの残骸になってしまった。
「アキナちゃん、約束の金貨だ」
金貨を1枚ニコニコ顔のアキナちゃんに渡してやった。金貨を受け取ったアキナちゃんはその金貨をベルトの小物入れにしまった。
「ゼンちゃん、すまんな。
しっかし、アスカはすごかったのう」
「思った以上の強さだな。今の感じだと、メタルバジリスクも目じゃないな」
「そんな感じですね」
「1対1ではどうあがいてもアスカに勝てるメタルモンスターはいそうにないから、101匹蜘蛛ちゃん大行進と戦わせて1対多でどの程度戦えるか見てみないか?」
「止めておきましょう」
「はい」
華ちゃんはどうも101匹蜘蛛ちゃん大行進が嫌いなようだ。結局、アスカの性能試験はそれだけで終わってしまった。
アスカの背丈は華ちゃんと変わらないし、華ちゃんの装備はコピーでいつでも作ることができるのだが、ワーク〇ンにも新商品が入っているだろうということで、性能試験を終えて時間が余った俺たちはワーク〇ンにアスカ用の防具というか装備を買いに出かけることになった。
アスカをアイテムボックスに収納して、屋敷に戻って日本用の普段着に着替えた俺たちはワーク〇ンの駐車場に跳んだ。




