第306話 ダンジョン・コア8、美少女ゴーレム1
一度死んでしまった俺だがアキナちゃんの5年分の命を対価に生き返ることができた。こともなげにアキナちゃんは5年歳をとっただけだと言っていたが、子どもの5年は老人の5年とはまるで違う。俺は何も言えないが、大きな借りができてしまった。
「ゼンちゃん、アイスで手を打ってやるぞ」
だそうだ。
「とにかくアキナちゃんありがとう。
体調はバッチリと思うけど、念のためにスタミナポーションを飲んでおこう」
俺はスタミナポーションを1本作って飲んでおいた。死んでしまって生き返ったことを病後とは言わないだろうが、いちおう病後にはスタミナポーションだからな。
「よーし、これで大丈夫だ。
ドラゴンを斃した後、何度か試してみたけど、転移も転送もできないままだ」
ドラゴンが死んだと同時にせり上がってきたという台座はいつもの台座そっくりの台座だ。
ということは、この台座も上に大金貨を置けば何かが起こると思っていいだろう。少なくとも、転移も転送も可能になるんじゃないか。
「台座に大金貨を置いてみる。
何か変化が起こると思うから、みんな周りを注意しておいてくれ」
「「はい」」「了解なのじゃ」
先に、にっくきドラゴンの頭をアイテムボックスの中に収納してから、大金貨を1枚取り出して台座の上に置いたところ、台座がゆっくりと床に沈み始めた。そしてそのまま床の中に消えてしまった。
「あれ?
これだけ?」
それでも転移と転送を試みたところ、こっちは元通り使えるようになっていた。転移と転送が復活したことは大いに喜ばしいのだが、何か肩透かしを食わされたような気がする。
と、思っていたら、床からさっきの台座がゆっくりとせり上がってきた。台座の上には白く輝くサッカーボールほどの玉が乗っかっている。その玉は台座から宙に浮いていた。
ラシイのが出てきたぞ。こいつこそ、ダンジョン・コアに違いない。
華ちゃんとキリアがビックリして玉を見ている。アキナちゃんは宙に浮いている玉の下に手を入れてその手を動かして何も仕掛けがないこと確認したようだ。
「おそらく、こいつがダンジョン・コアだ」
「ダンジョン・コア?」
「ダンジョン・コアとは、ダンジョン中のすべてを管理している中枢だ。こいつに命令すればダンジョン内のことなら何でも可能になる」
「何でもというと、何でも?」
「アキナちゃんじゃないから、さすがに死人を生き返らすことはできないだろうが、それ以外何でもだな。ダンジョンを作り変えたりとか、新しいモンスターを作ったりとか」
「どうやって命令すればいいんでしょう?」
「俺のラノベとゲーム知識から言って、こいつに手を当てて命令したいことを口に出すか、考えるかすればいいはずだ。
何か試しに命令してやりたいが、何を命令するかな?」
「ゼンちゃん、それなら、美少女ゴーレムはどうじゃ?」
「おっ! それはナイスアイデアだ。
それじゃあ、試してみよう」
俺はダンジョン・コア(仮)に手袋をとった手を乗せた。
そうしたら、頭の中に声が響いた。俺たちのダンジョンでドラゴンが話しかけてきた時と同じ感じだ。
『この迷宮の所有権を獲得しました』
俺がこのダンジョンの所有者になったってことか。半分予想はしていたが、エライことになってしまった。
この迷宮とか言っていたところを見ると、この迷宮には名まえがないのか。オーナーの俺が名まえを付けてやればいいってことだよな。華ちゃんたちの意向を聞いてからじゃないと失敗するかもしれないから、協議の上、名まえを付けるとしよう。
そのあとも俺の頭の中にコアの声が続いた。
『コアを通じて、迷宮内のあらゆる場所の状況を観察可能です』
『コアを通じて、迷宮の設定の変更が可能です。現在はデフォルトです』
『コアを通じて、迷宮内の任意の場所へ転移可能です』
『現在コア守護者が不在です。新たなコア守護者の創造を推奨します』
何を作ればいい?
『守護者の創造は、DP、ダンジョンポイントによって行われます。現在使用可能ダンジョンポイントは、約5千万です。ブロンズドラゴンの創造が可能です。ブロンズドラゴンの創造に必要なダンジョンポイントは2千万、創造に要する時間は50分弱です』
ブロンズというと、どう見てもさっきの金色のドラゴンに劣るよな。
それくらいなら、メタルバジリスクを5、6体そこらに出しておいた方がいいよな。
俺がダンジョン・コアに手を乗せたまましばらく動かずにいたので、華ちゃんが、
「岩永さん、岩永さん」と、心配して俺を呼んでくれた。
俺はいったんコアから手を離し、
「玉に手を置いたら、俺がこのダンジョンの所有者、ダンジョンマスターになってしまった。
驚いてしまって、美少女ゴーレムを作るのを忘れていた。
しかし、そんなもの作って大丈夫かな? よく考えたらアニメ顔が実物大の大きさで歩き回ったらちょっとおかしくないか?」
「確かに」
「ゼンちゃん、気に入らなければそれこそコアに命令して作り直せばいいじゃろう?」
「それもそうだな。
よし」
左手にア〇カ・ラングレーのフィギュアを持って、再度コアの上に右手を置き、
「これと同じ形で、背丈は160センチほどのゴーレムを作ってくれ」
『了解しました。
運動性、攻撃力、防御力などの設定は最高でよろしいですか?』
「できるなら、そうしてくれ」
『現在使用可能なDPを全て使用しますがよろしいですか?』
「さっきのブロンズドラゴンよりDPが高くなるんだ。ということはブロンズドラゴンより高性能ってことか?」
『重さが足りませんので打撃などの物理攻撃力はやや劣りますが、そのほかはすべての面でブロンズドラゴンを凌駕します』
「そいつは楽しみだ。じゃない、その前に、あまり上等でなくていいから見た目だけの美少女ゴーレムを1体作ってくれ」
『了解しました』
コアの、了解しました。の返事と同時に、目の前に等身大のア〇カ・ラングレーが立っていた。
「うぉ!」と、アキナちゃん。
「……」キリアは無言。
そして、
「やはり、アニメ顔ですとちょっと」と、華ちゃん。
確かにスタイル抜群でカッコいいのだが、等身大の人形なのだ。大きくしてしまったのが問題だった。とはいえ、こいつはフィギュア化できるはずだし、コピーしさえすれば、錬金工房で伸縮自在だ。これはこれとしてアイテムボックスの中に取っておこう。
「これはあとでフィギュアにして、その後で小さくすればいいだろう。おそらく、コアでもフィギュア化できるだろうが、説明が面倒だから、俺たちのフィギュアメーカーでフィギュア化しよう。
それはそうと、等身大となると連れ歩きたいし、リアルじゃないとマズいよな」
「そうですね」
「よし、ちょっとコアと相談してみる」
「コア。コアは人間の体の外見は分かるよな」
『はい』
「じゃあ、さっきのゴーレムにそっくりで実物の人間に見える高性能ゴーレムを作ることは可能か?」
『もちろんです』
「さっき見せたフィギュアの表面は服だからな。脱げるようにちゃんとした服にしてくれよ」
『了解です』
「じゃあ、DPを目いっぱい使って超高性能実写版の美少女ゴーレムを作ってくれ」
『それでは、創造開始します。
完成予想は2時間後です』
「コアがリアル超高性能美少女ゴーレムを作り始めた。2時間かかるそうだ。
その間、休憩していよう」




