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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第303話 回り階段2


 俺たち4人プラス1羽は大穴に沿った回り階段を300段下りて2つ目の踊り場に到着した。


 踊り場の壁側には最初の踊り場と同じに見える金属扉が付いていた。扉は華ちゃんのデテクトアノマリーに反応していないのだが、さっきからピヨン、ピヨンとピョンちゃんも華ちゃんの肩の上で鳴いている。


 目の前の金属扉の先になにか不穏なものを感じた。


「この扉を開けてみるけど、何か出てくるかも知れないからみんな構えていてくれ」


 俺たちは先ほど華ちゃんのスタミナの魔法と俺のスタミナポーションで全員リフレッシュしている。キリアがフレイムタンを鞘から引き抜き丸盾を構え、華ちゃんも右手を上げて構えた。アキナちゃんは怖くないのか踊り場の手すりに寄りかかっている。


 扉には取っ手が付いていたので、取っ手に手をかけて、一気に引いたら、上の時と全く同じに見える金色の通路があり、そして、ちゃんと真っ黒な触手の塊がいた。


「転送!」


 昨日風呂場で決めた作戦通り太陽に転送してやった。2匹目がいるとは思わなかったが、作戦を決めていたのは、われながら上できだった。


「今のは?」


「あいつを太陽に飛ばしてしまうと、不気味な物体が宇宙に浮かんでいると嫌だと思って昨日は太陽送りは控えてたけれど、今度出てきたら、面倒だから太陽に飛ばしてやろうと決めてたんだ」


「惑星探査機が太陽に近づいて速度を増すとか聞いたことがありますから、もしあんなのが探査機に写真を撮られたりしたら世界中が大騒ぎになりますよね」


「ようわからんが、さすがはゼンちゃんじゃ」


「さすがはお父さんです!」


「チョロい相手だったけど、いちおう上にいたヤツと同じのがいたってことは、この通路の突き当りはまたあの扉だし、階段も300段だったし。もしかしたら、扉の先は上の大空洞並みの大空洞が広がっているかもしれないぞ」


「まさか、それは」


「いや、分からんぞ」


「大空洞があればいいなー」


 金色の通路の中に異常はなく、突き当りの金色の大扉にも異常はなかった。


 ゴーレム1号を出して扉を押させたら簡単に大扉が開き隙間から明るい光が漏れてきた。


「大空洞だ」


 扉の外には草原が広がり遠くに丘が見え、空は青空の広がる空間だった。壁は見えないがどう見ても大空洞の中だ。扉の外に出て振り返ると、後ろに大空洞と同じ金色のピラミッドが建っていた。


「上の階層と全く同じに見える。まさか振りだしに戻ったか?」


 振出しに戻った可能性があるので、通路の踊り場に戻ったら頭上に、ちゃんと上の

踊り場の裏側が見えた。


「どうも上の階層の大洞窟とは違う大洞窟だな。俺たちの足跡も、どこにもないし」


「壁が全然見えないからどれだけの広さがあるかは分かりませんね」


「うん。そうだな。

 どうする? この大空洞を少し探索してみる?」


「先に階段を下りていきませんか?」


「ここじゃどうしようもないからな。

 そうしよう」


 4人揃って踊り場まで戻り、また階段を一段一段下りていき次の踊り場に俺たちは到着した。


 ここにも上同様金色の扉が付いている。


「開けるぞ」


 みんなの準備が終わったところで、俺が扉を開けたら、その先は金色の通路で、突き当りには金色の大扉、その手前にちゃんとあの触手の塊が鎮座していた。


「転送!」


 触手の塊を太陽送りしてやり、ゴーレムを使って金色の大扉を開けたら、上と同じ景色が広がって、少し出てから振り返るとちゃんと金色のピラミッドが聳え立っていた。


「この調子でずーっと続きそうだな」


「ですね」


「確かめないわけにはいかないし、触手の塊は毎回処分したほうがいいから、これからも今まで通りやっていくしかないな」


「そうですね」


「あと何段あるんじゃろうか?」


「ここから見る限り、回り階段は10周や20周じゃなさそうだ。20周としても6000段だな。

 それでも千里の道も一歩から。一歩進めば一歩分ゴールに近づく」


「頑張るのじゃ」


「そう言えば、今回真面目に300段下りたが、次の踊り場がはっきり見えたら、転移してやろう。そうすればかなり楽だぞ。もう少し早く気付けばよかった」


 2つ目の踊り場から10段ほど下りたところで下を覗いたら次の踊り場が良く見えた。


「みんな俺の手を取ってくれ」


 俺の手を3人が取り、俺がピョンちゃんの羽に触って一緒に転移した。


「ほんに転移は便利じゃのう」


 踊り場の壁側の扉に手をかけて、


「開けるぞ。アイツがまたいたら太陽送りするから」


「「はい」」


 扉に手をかけて、一気に開いたら、上の時と同じで金色の通路の真ん中に真っ黒い触手の塊がいた。


「転送!」


 黒い触手の塊がいた通路を進み、突き当りの大扉をゴーレム1型で押し開いた。


 予想通り大扉の先は太陽はないが明るい青空の広がる大空洞だった。


 それから、同じことの繰り返し。


 穴の底もはっきりと見えてきた。穴の底はしっかりした床に見えるから、直接跳んでも行けたが、地道に踊り場ごとにある扉を開け、中にいる触手の塊を太陽送りにして、その先に大空洞があることを確認する。同じことを繰り返したら目が回ってきた。


 最後の踊り場に立ったところで、


「華ちゃん、踊り場何個あった?」


「一番上の踊り場を含めて全部で32個でした」


 32個もあったのか。


 最後の踊り場の先で大空洞を確認し、踊り場まで戻ってきた。穴の底にも、今立っている踊り場の真下に扉が見える。


「下に下りて昼にしようか」


「「はい」」


 穴の底の真ん中に転移し、そこでブルーシートを広げて昼食だ。


 今日はお高い方のハンバーガーだ。


 俺は、ハンバーグハンバーガーを食べながら、


「32個というのが、日本ダンジョンの数と同じなのが意味深だな」


「それぞれのダンジョンと何か関係があるんでしょうか?」と、トマトを挟んだハンバーガーを食べながら華ちゃん。


「32個のピラミッド全部あの大空洞に通じていると最初思ったけれど、そうじゃないような気がするな。

 俺たちは第1ピラミッドから下りてきたから、あの大空洞に出て、それが一番上になってたんだけど、もしも第2ピラミッドから下りてきたら、第2ピラミッドに対応した大空洞が一番上になってたんじゃないかな」


「それは、面白い考えですね。

 でも、同時に第1ピラミッドから下りてきた人と第2ピラミッドから下りてきた人がピラミッドに入って、踊り場に立ったらおかしなことになりませんか?

 それとか、第1ピラミッドからダンジョンに入ったものの、大きく遠回りして第2ダンジョンの方に回って、そのままダンジョンを下っていったりとかしたらどうなるのかも不思議ですし。入ったダンジョンが違うグループが中で合流したりしたらますますわからなくなるような」


「確かに。そうなってくると何が何だか分からなくなるか。やっぱり、20階層の大洞窟に32個のピラミッドから通じていると考えた方がいいみたいだな」




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