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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第280話 イワナガ運送。足立と下村と火野2


 6月に入った。俺の方は、その間にスキルポイントが1増えて31になっていた。


 5月中に日本に跳んだ時、華ちゃんがオリヴィアのピアノコンクールの申し込みをしてくれた。地方大会が8月初めに開かれる。それに合格すれば、10月のブロック大会、そして12月の全国大会へ続く。


 オリヴィアは15歳なので中学生としてエントリーできるはずだったが、中学校名とか書かなければならず、やむなく一般でエントリーしている。入賞するなら一般の方が箔が付きそうだがどんなものだろう。


 全国大会までの演奏曲を二人で選んで、これからはその練習を少しずつしていくと華ちゃんが言っていた。


 オリヴィアに要らぬプレッシャーをかけるわけにはいかないので、頑張れよとか、本人に言ってはいないが、アキナちゃんがニマニマ笑いながら「オリヴィアなら間違いない」と言っていたので、勝算は十二分だ。



 イオナについては俺の実家を住所として応募要項を美術コンクール事務局に送ったところ、翌週日本に跳んだとき、スマホに親父から電話が入っていた。折り返し電話したらイオナ宛に郵便物が届いたそうで、俺がすぐに出向いて受け取っている。郵便物はコンクールの開催要綱と出品申込書だった。


 作品の応募は、送られてきた書類に必要事項を記入して手数料と一緒に絵を持って会場の美術館に納入すればいいだけのようだ。



 6月中旬にはイワナガ運送の宿舎は予定通り完成し引き渡された。


 引き渡された宿舎には、これまでダンジョン近くの冒険者用の安宿からイワナガ運送の従業員10名が引っ越してきており、他にエヴァが奴隷商館から買ってきた孤児奴隷が4名と2名のまかないの女性。いまのところ合計で16名が宿舎で生活している。4人の孤児奴隷たちの衣料や日用品などは、もちろんエヴァがお金を出して買い揃えてやっている。


 4人の孤児奴隷は5階層の荷物係4チームに一人ずつ入れているので荷物係は1チーム3名となっている。荷物係はチームごとに一部屋ずつ使っており、それに現金輸送2名で一部屋、賄2名で一部屋、宿舎の10部屋のうち全部で6部屋使っている。


 今度第10階層でも運送を始めるので、荷物係が4チーム必要になる。これも1チームで一部屋使うので、ちょうど10部屋全部埋まることになる。今後さらに事業拡大するためには、宿舎を建て増す必要がある。



 6月下旬に入り、第10階層からの荷物運搬のための人員8名が揃ったそうだ。孤児奴隷はまだ揃わなかったらしい。その孤児奴隷にも第5階層のチームに配属した孤児奴隷たちと同じように金銭管理を任せる予定なので、第10階層のチームへの孤児奴隷の方はおいおいだな。第10階層の荷物運びは第5階層と比べ客数が少ないはずなので、2人で作業しながらお金の管理をしても、最初のうちはそれほど負担にはならないだろう。



 第10階層の荷物運びサービス開始時期は冒険者ギルドに伝えているし前回同様看板も作って冒険者ギルドの壁に貼っている。値段は重さ10キロあたり銅貨10枚。



 イオナが描いてくれた新サービスの看板ポスターを貼ろうとギルドにいったとき受付嬢に聞いたのだが、バレンダンジョンは稼げるダンジョンだということで、各所のダンジョンからバレンに越してくる冒険者が増えているのだそうだ。イワナガ運送は盤石なんじゃないか?


 移動用のゴーレム白馬については、第10階層でのサービスが始まれば、5階層に3頭、10階層に2頭。第1階層の出入り口の空洞には交代の作業員用5頭、現金輸送用2頭の計7頭が待機することになる。第1階層側には今のところイワナガ運送の作業員はいないが、ゴーレム白馬は決められた人間の命令しか聞かないので盗まれることはない。



 そして7月に入り、第10階層での荷物の運搬サービスがスタートした。たいていの冒険者たちは第5階層でゴーレムによる荷物運搬を利用しているので、第10階層からの荷物の運搬サービスもとどこおりなく開始された。運賃は10キロ当たり銅貨10枚なので安くはないのだが、第10階層より下で活動するようなある程度上位の冒険者たちでイワナガ運送を利用しない者はいないようだ。



 ゴーレム列車の運行についてエヴァと話したのだが、


 第1階層から第5階層まではゆっくり歩いても1時間半程度なのでおそらくニーズは少ないだろうということで、第1階層から第10階層へのシャトル便として運行することになった。


 なんであれ、料金の徴収、発車時刻の調整などあるので、第1階層に新たに作業員を配置する必要がある。列車の運行は終日かつ無休である必要はないので、午前7時から午後23時までとし、1チーム2名、2直2交代、週に1日休日としようと考えたが、結局、他の作業場と同じく、1チーム3名、4直3交代となった。第1階層での作業は負荷は低いので、他の2カ所の作業場とローテーションを行なうようにするらしい。


 ということで、エヴァは人集めを始めたようだ。孤児奴隷がらみの伝手も底をついたらしく、人集めのため冒険者ギルドに相談しようということになった。それと一緒に、宿舎の建築を発注した。現在の宿舎と同じ形の宿舎をもう一棟建てるという。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 こちらは足立と下村と火野。


 一学期の終業式のあと、夏休みの心得的なホームルームが終わり解散となった。カラオケに行く連中などもいたが、足立と下村と火野の3人はそそくさと教室を後にして、火野の装備を整えるためワー○マンに向かった。


「火野、予算はいくらくらいあるんだ?」


「武器も含めて10万円持ってきた」


「ほう。火野のうちはお金持ちなのか?」


「そんなことないけど、お小遣い使うことなかったから今までずーっと貯めてたの」


「偉いな。俺たちは思い立ってからバイトで何とか金を貯めたんだけどな」


「アルバイトで貯める方が偉いんじゃない?」


「どっちもどっちということでいいだろ」


 そんな話をしながら、3人はワー○マンに入っていった。



 3人で冒険者コーナーを見て回り、ヘルメット、ベルトと防護手袋と安全靴、それにニーパッドとエルボーパッドを揃えた。それだけで5万ほどになった。ダンジョンスーツだけは高額だったため諦め、明日の火野にとっての初めてのダンジョンでは、足立と下村が最初にダンジョンに入った時と同じくジャージに厚手のジャンパーを着ることにした。


「俺たちはダンジョンスーツを着てるが、火野は後衛でいる分には問題ないだろう。俺たちも最初はジャージとジャンパーだったしな」


「それじゃあ、武器屋にいこうぜ」


「うん」



 ワーク○ンから第2ピラミッド=ダンジョンのある公園まで歩いていき、その中の武器販売所ぶきやに3人で入っていった。


 武器屋の入り口には改札があり、ダンジョン免許証をかざす必要がある。


「なんだか、物々しいね」


「ここに置いてるものはどれも凶器だからな」


「そういう意味ではちょっと怖いわよね」


「怖いくらいじゃないとな」


「さて、軽い武器となると、ナイフとか短剣だけど、刃物は傷みが早い上に、ナイフや短剣じゃ間合いが短すぎて素人では扱いにくいと思うぞ」


「わたしも、ナイフとかはダメ」


「そうなると、杖かな。長物だと結構重いけど、短い杖もあるからな。

 グリーンリーフの斎藤一郎と鈴木茜も使っているし、そこそこ役に立つんじゃないか? 確か値段もそんなに高くなかったはずだ」


「杖? ちょっとピンとこないなー」


 3人は、混みあっているわけではないがそこそこ客がいる店内で武器を見て回っていた。


「ねえねえ、そこにあるクロスボウってどうかな? 弓は素人じゃ無理っぽいけど、クロスボウならいけるんじゃないかな?」


「小型のものなら値段はそれほど高くないし、少し練習するだけで、使えるようになるらしいけど、矢が消耗品だから結構高くつくぞ」


「それくらい稼いでみせるから大丈夫。

 そこのピストルクロスボウはどうかな?」


「火野に向いていると言えば向いてるな。威力はあまりないけど、当たればそれでも相手はひるむ。実は俺たち、遠距離攻撃できる仲間が欲しかったところもあるからな」


「じゃあ、それにする」


 火野はピストルクロスボウを購入した。価格は2万円。ピストルクロスボウ専用ボルトは1本500円だったので20本購入している。


 クロスボウボルトは持ち帰る必要があるが、購入したピストルクロスボウはその場で火野のダンジョン免許証IDが刻印され武器の保管所に保管された。



 ワーク○ンで揃えた防具と、クロスボウボルトを持った火野は公園の出口で足立と下村と別れ自宅に帰っていった。


「火野、嬉しそうだったな」


「そうだな。ちょっとくらい、火野がアレでも仲間にするしかないんじゃないか。少なくともダンジョン免許を持ってはいるんだし」


「遠距離武器も買ってくれたしな」



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