第26話 料理に挑戦、玉子かけご飯だー!
スーパーでいろいろなものを買ったので、翌日の朝食は俺が監修して和風朝食だ。
と言っても俺にまともな料理などできるわけはないので、温かいご飯の上に生玉子を乗っけて、醤油をかけて食べる玉子かけご飯だ。トッピングに数種類のふりかけもあるし、味付け海苔もある。インスタントの味噌汁があればよかったが、買い忘れてしまった。
その日の夜も、寝る前に金を錬成してぐっすり寝ることができた。金とかお金とかどうこう言う前に、ぐっすり眠れるため非常に有効な手段だ。これなら金の錬成を日課にしても忘れることはないだろう。
翌朝。
朝一で、リサに今日の朝食は俺が用意するから、カゴとスープ皿だけ用意して、あとは朝食に俺が呼ぶまでゆっくりしていろと言っておいた。
各人朝の支度が終わり、みんなが朝食のテーブルに着いたところで、
「今日は俺の国の料理だ。料理ってほど、大したものではないがおいしいぞ」
心なしかみんな緊張して俺を見つめている。
まずは目の前の木のボウルにあったかご飯を山盛りで出してやった。しゃもじは御多分に漏れず買い忘れていたので大型の木のスプーンで代用だ。スープ皿に水を入れて、しゃもじ(仮)を軽く水にくぐらせて、人数分の茶碗にご飯をよそっていく。一杯目は良かったが、2杯目から木のスプーンにご飯が思った以上にくっ付くので、何度もスプーンを水につけ、よそってやった。何とかよそり終わり、各自にご飯を盛った茶碗を置いていく。
しゃもじ代わりのスプーンを水にくぐらせたスープ皿の中はご飯粒だらけになったが、最後に俺が収納して素材ボックスに入れておけば無駄にはならない。まさにゼロエミッションだ。
「器に盛っている白い粒々が『ご飯』だ。噛めば噛むほど甘くなるからな。
そして、その器は『茶碗』という。よーく覚えておけよ」
「「はい!」」
次に生玉子のパックをアイテムボックスから出してやり、テーブルの上に用意させた籠に移し替えてやった。プラスチックのパックはプラスチックの材料になるはずなので錬金工房の素材ボックスに入れておいた。
「これがニワトリの玉子だ。そこらに売っているかもしれないが、この玉子は生でも食べられる」
子供たちは俺の言葉を疑っていないようだが、リサは何か言いたそうだ。
「腹を壊すことはない。俺が保証する。万が一腹を壊したとしても、ポーションがあるから大丈夫だ」
直ぐに治ると分かっていても、万が一だろうと、腹は壊したくないよな。
全員の前に箸をアイテムボックスから直接置いていき、
「お前たちの前に今置いた2本の棒が『箸』と呼ばれるもので、フォークの代わりのようなものだ。
こうやって使う。使い方に慣れるまでは大変だがな」
そう言って俺は箸を右手で持ってパチパチ動かして見せた。
「こういうふうに箸を動かして食べ物をつまむわけだ」
今度は俺の前に置いてある茶碗の上のご飯を一粒つまんで見せてやった。
「ご主人さまは指先まで器用なんですね」
「凄い、さすがはご主人さま」
「納得の動きです」
俺は箸を動かしただけで、3人の子どもたちの尊敬を勝ち取ってしまった。イオナとリサは黙って箸を握ってぎこちなく動かしていた。
「大切なのは箸の持ち方だ。2本の棒を1本ずつ人差し指と中指、中指と薬指の間に入れて親指で同時に挟むんだ。
こうだ」
俺は持った箸を大げさに動かして、箸の先で再度パチパチと音を立ててやった。
「まだ慣れないから適当でいいからな。
次はカゴの中に入っている玉子をみんなひとつずつ取る。
その前に、茶碗の中のご飯の真ん中あたりをこうやって少し凹ませておく」
箸で茶碗の中のご飯の真ん中あたりを凹ませて、
「玉子を割ってこの凹みに落とす。ちゃんと玉子を割るんだぞ。
ビクビクするな。テーブルの角にぶつけても茶碗の角にぶつけてもいいぞ」
ガシャン! まっ、初めての玉子だ。こういうこともある。
「失敗は仕方がないが、失敗した玉子はちゃんと拭き取っておけよ。乾くとカチカチになるからな」
なんのかんので全員玉子をご飯の上に乗っけることができた。勝率は6割7分ほどだったがな。
「今度は醤油だ。この透き通った入れ物に入っているのが醤油だ。これそのものは塩辛いし飲めるようなものなじゃないが、いちおうソースと思ってくれ。これをこんな感じで、これくらい生玉子の上に垂らす」
醤油差しをご多分に漏れずに買っていなかったので、パックから直接かけることになるが、両手でしっかり持ってゆっくり注げば子どもたちでもうまく垂らせる。ハズだ。
みんな恐る恐るだがなんとか醤油を生玉子の上に垂らしたので、
「次は、生玉子とご飯を混ぜる。こんな具合だ。
あんまり強くかき混ぜると飛び散るからな」
箸を普通に持ったままでも問題ないが、俺は箸をグーで握り直して、茶碗の中をかき混ぜた。
「これで出来上がり。
できたら、みんな食べてみろ。
箸の使い方はこんな感じだが、難しいようならスプーンを使ってもいいぞ」
「おっと、忘れていたが、茶碗をテーブルの上に置いたまま食べるのはみっともないと言われているから、こんな具合に左手で持って、箸を使って食べるんだ」
俺が左手で茶碗を持って見せた。
スプーンの使用許可を出したがみんな箸で食べるようだ。不器用な動きだが、この調子ならリサを含めてすぐにうまく箸が使えるようになりそうだ。
「どうだ、美味いだろ?」
俺の質問にみんな答えてくれない。「あれ?」
「どうだ、うまいだろ?」
「「は、はい。おいしいです」」
俺の味覚とみんなの味覚が共通していたということは僥倖だ。
「あと、味が物足りないようなら、これを上からかけてもいいぞ」
そう言って、ふりかけを数種類だしてやった。
封を切って、ジップを開き、玉子かけご飯の上にカツオのふりかけをサッサッサとかけてやった。
「この袋の上のこの部分がくっついて封ができるようになっているから、使ったらくっつけて封をしておけよ。封は食べ終わったときでいいけどな」
みんなが恐る恐る、ふりかけを玉子かけご飯にふりかけた。
「おいしい」
今度は催促しなくても『おいしい』が聞けた。




