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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第257話 巨大カニ4、一心同体2


 俺たちは第1ピラミッド=ダンジョンに侵入し、地図を見ながら第2階層へ続く階段を目指して歩いていった。階段まで何度かモンスターに遭遇したが、華ちゃんが瞬殺して、俺が収納しているだけなので進む速さは一定で20分ほどで階段にたどり着いた。


 その後も順調で、各階層を平均20分で踏破して、第7階層へ続く階段の下り口に到着した。


「ここで1時間ほど昼休憩にしようか。この調子でいけば午後5時までには目的地に到着できそうだ」


 座り心地の良さそうな地面のでっぱりにみんなで腰を掛け、ハンバーガーを頬張り、飲み物を飲んだ。


「代り映えのしない洞窟じゃな」


「妙なものが出てくるより、いいんじゃないか」


「巨大カニが岩永さんのメタル大蜘蛛やメタルゴーレムを斃したってことですけど、バジリスクだとどうでしょう」と、華ちゃんが面白そうなことを言いだした。


「さすがにフィギュアバジリスクも投げればレベルアップしてメタルバジリスクになるわけだから、カニごときなら楽勝じゃないか?」


「見てみたくありませんか?」


「見てみたいことは見てみたいが、カニがボロボロになってしまうとマズいぞ。それにバジリスクがまかり間違って毒でも吐こうものならカニが食べられなくなるからな」


「そう言えばそうでしたね。わたしたちの目的を忘れるところでした」


「そういうことだ。

 まっ、メタルバジリスクのデビューは、ゴーレムみたいなとても食べられないようなモンスター戦限定だな」


「わたしたちのダンジョンにもカニとかエビがいればいいんですけど」


「カニはいるかもしれないけど、エビはいないんじゃないか。いるとすればザリガニか。

 さーて、そろそろ、いくか」


「「はい」」「おう」


 後片付けをして俺たちは第8階層への階段を下りていった。



 昼食の休憩から3時間半。俺たちは午後4時に第15階層に到着した。


「地図に描いてあったが、ほんとに水場があるんだな。目的地はここから20分もなさそうだが、ここで小休憩しようか」


 ブルーシートをいつものように床に敷いてみんなで輪になって休憩した。


「作戦というほどのこともないが、俺が扉を開けたら、華ちゃんが扉の外からカニをグラビテーで足止めしてファイヤーアローで退治する。ただそれだけだ。もし、ファイヤーアローが効かないようなら、電撃かな」


「はい」


「キリアとアキナちゃんは警戒だけはしておいてくれ」


「はい」「了解じゃ」


「そうだな。カニを回収したら、16階層に下りてみて、そこで屋敷に帰ろう。

 打ち合わせは、そんなところだ。

 水場が途中にあれば水を持ち運ぶ量を減らせるからありがたいよな。こういったところを前進基地にすれば転移がなくても探索がはかどるだろうな」


「物資の運搬専門の人がここと外を行き来して、ここを基地とした探索係が探索を続ければかなり効率が上がりそうですね」


「物資の運搬は防衛省直轄で、それこそメタルゴーレムを大量に使ってもいいしな。ポーションと違って消耗品じゃないから、ダンジョン普及のためにサービスで単価を下げてどんどん作ってやってもいいしな」


「ですね。

 でも、防衛省直轄でなくても、岩永さんが会社を作ってしまえばどうですか?」


「会社なんて面倒だし、そもそも、ダンジョン関連で民間業者を使う訳にはいかないんじゃないか?」


「メタルゴーレムは岩永さんしか作れないわけですし、メタルゴーレムのレンタルといっても一般人には相当な負担になるわけですから、宅配便程度の値段で荷物が運べるのなら逆に喜ばれませんか?」



「うーん」


「こっちのダンジョンで始める前にバレン北ダンジョンで試してもいいかもしれません。

 会社なんかいりませんし、冒険者ギルドにひとこと言うだけで始められると思います」


「華ちゃん、いやに積極的だけど、どうして?」


「先日、エヴァが国語の授業中、会社って何なのかって聞いてきたんです。

 エヴァは、将来お金儲けしたいと言っていましたし、いろいろ考えているようです」


「なるほど。

 それなら、エヴァに任せてみるか。バレン北ダンジョンでの運送事業」


「いいんじゃないでしょうか。

 これが上手くいくようなら、将来的には日本で事業展開できるかもしれませんから」


 キリアは俺と華ちゃんの話を頷きながら聞いていた。アキナちゃんは何を考えているのかは分からなかったが、なぜかまたあのニヨニヨ笑いをしていた。



「よし、そろそろいこうか」


「「はい」」「おう!」


 後片付けをした俺たちは、目的の巨大カニがいる第16階層へ続く階段のある部屋を目指していった。


 忘れてはマズいのでそこからは録画装置の付いたベルトを腰に巻き、ビデオカメラをヘルメットに着けて、コードを録画装置に突っ込んで、撮影を開始した。目線とビデオ映像が合うようにカメラの方向調整もバッチリだ。


 地図通り俺たちは進んでいき、20分ほどで目的の部屋の前に到達した。


「ここだ」


 扉に異常ないことは確認できているので、俺が扉に手をかけ、


「1、2、3で開けるぞ。1、2、3」


 俺が扉を開けると、俺たちの真正面にカニが見えた。そのカニに向かって華ちゃんが、ひとこと「グラヴィティー」


 華ちゃんの声に続いてドーン。と、音がして、巨大ガニの甲羅が床に張り付いてしまった。そのあと、続けて、


「ファイヤーアロー!」


 華ちゃんの右手から細めの光の矢が2発放たれ、カニの2つの目玉を射抜いた。続いてやや太めの光の矢が、巨大カニのハサミの根本に命中。それだけで巨大なハサミをつけたカニの腕だか足だかが甲羅から外れて、床にゴトリと落ちてしまった。


 その後も華ちゃんのファイアーアローは続き、入り口から直接狙える足の付け根に命中していった。あがくカニが方向を変えることで、全ての足にファイヤーアローが命中し、結局巨大カニは甲羅だけになって動けなくなってしまった。


 足をなくしたカニは口から泡を吹き出し始めたが、その泡で何がどうなるわけでもなく、こちらから見える甲羅の側面に向けて華ちゃんが数発細目のファイヤーアローを放ったら、動いている気配が全くなくなってしまった。試しに甲羅を収納してみたら収納できてしまった。


 その後、床に散らばったハサミや他の足もちゃんと回収して、


「思った通り、大したことなかったな。

 うまい具合にカニみそもこぼすことなく斃すことができた。華ちゃんご苦労さん」


「いえいえ」


「よーし、これで今回の仕事は終了した。

 華ちゃん、念のためデテクトアノマリーで部屋の中をみてくれるか?」


「はい。

 ディテクトアノマリー!」


 部屋の中には赤く点滅する場所はどこにもなかった。




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― 新着の感想 ―
コピー素材にするつもりだから脚が外れてもよかったんだろうけど、もったいない倒し方だな ぶっちゃけ目の目の間に1本ぶっ刺せばよかっただけなんだよね
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