第255話 巨大カニ2、D関連局
翌日。グリーンリーフの3人は、D関連局の担当者に、第16階層へ続くと思われる階段への下り口を巨大カニに占拠されていることと、その巨大カニによってメタル大蜘蛛とメタルゴーレムを失ったことを報告した。
担当者は上司に報告し、最終的に局内の幹部を集めた会議が開かれることになった。
「第16階層への階段が塞がれたままというのは問題だが、最精鋭チーム、グリーンリーフの実力でも排除できないとなると」
「局長、小銃や手りゅう弾で排除できるか不明ですので、ここは自衛隊員に重装備させ巨大カニを排除させてはどうでしょう?」
「重装備というと? 戦車かね? 戦車はいくら何でも無理だろう」
「いえ、無反動砲を装備させればどうでしょう? 対戦車兵器ですからいくら巨大カニの殻が厚いといっても戦車の装甲を超えることはないでしょう」
「確かにな」
「局長、もう2カ月で一般開放しようという矢先に、バズーカを抱えた自衛隊員がピラミッドの中に入っていって大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃないだろうな。大型火器を抱えた自衛隊員がピラミッドの中に入っていくところをメディアにスクープされたら大騒ぎだろうからな。
自衛隊員がダメだとすると、どうすればいい?」
「明後日には、Z氏とのミーティングがあります。
いっそのこと、Z氏とそのチームに、巨大カニの排除を頼んでみてはいかがでしょう?」
「そのような依頼を彼が受けてくれるかな?」
「分かりませんが、頼んでみるだけ頼んでみては? その際、Z氏の戦いの様子をビデオで録画させてもらえればこちらのチームの参考になるのでは」
「確かに。
それで、報酬はどうする?」
「ラノベなどですと、指名依頼ということになりますからそれ相応の報酬を支払うことになります」
「Z氏はすでに大金持ちだ。金の問題ではないだろうが体裁は大切だから、1億とでも言っておこう。それと仕留めたカニはお持ち帰りしていただいて結構ということで話をしてみよう。
実際、モンスターの肉は美味という話だから、カニもまた格別かもしれないしな」
Z氏こと岩永善次郎と彼の冒険者パーティー一心同体に巨大カニの討伐を依頼するという結論を得て会議は終了した。
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そして、週明け防衛省での会議。
「ほう、そういったことがあったんですか。メタル大蜘蛛もメタルゴーレムも歯が立たなかったとはかなり強力なモンスターみたいですね。
メタルモンスターがないと不便でしょうから」
そう言って俺は、補充用にフィギュア大蜘蛛とフィギュアゴーレムを一つずつ作ってテーブルに乗せズズズーと川村局長の方に押しやった。
「ありがとうございます。
それで、巨大カニと言ってもさすがに戦車の装甲よりは硬くないでしょうから、自衛隊員によりバズーカを持ちこんで排除しようかと考えたのですが、この時期に重装備の自衛隊員をにわかにダンジョンに派遣することは控えた方が良いと判断しました」
「世間が動揺するでしょうしね」
「そういうことで、防衛省から岩永さんに指名依頼という形でその巨大カニの討伐をお願いしたいんですが。いかがでしょう? 今回の依頼での報酬は1億円。巨大カニはお持ち帰り可ということで」
「ほう。面白そうですね。
華ちゃん、どう?」
「場所さえわかればいいんじゃないですか」
「場所は簡単ですし、ダンジョン内の地図も用意できます」
「でしたら、明日にでもダンジョンに入ってみますか」
「明日9時に代々木の第1ピラミッド=ダンジョン前にお越しください。
その時、地図と小型のビデオカメラをお渡ししますので、面倒でしょうが巨大カニを討伐する時カメラでその模様を撮影してください」
「いいですよ。カメラの使い方はカメラを貰った時に聞けばいいですね」
「それでお願いします。
巨大カニのいる部屋までは、途中十分な休憩を挟んで12時間程度かかるそうです。ですので、いき帰りを考えると、野営の準備を忘れないようお願いします」
「了解しました。遅くなっても明日中に斃して、明後日の9時にこの部屋にカメラなどをお返しします」
「そ、そうですか。分かりました」
簡単に明日代々木公園にいくと言ってしまったが、俺が跳んでいける場所で代々木に一番近いのは新宿だ。鎧姿で新宿から俺たち4人が代々木まで移動するのはそれはそれで厳しいものがある。となると、今日のうちに代々木を確認しておいて、明日は直接代々木に跳んでいけるようにした方がいいな。今日はこの後、はるかさんが撮ったイオナの描いた壁画の写真をポスターにするため印刷屋に寄るつもりだったので、先に印刷屋にいって、それから代々木公園にいくとするか。
そういうことなので、ポーションを卸したあと、俺と華ちゃんは、俺のアパートの近く、第2ピラミッド=ダンジョンのある公園近くに跳んだ。公園近くに印刷屋があることをたまたま覚えていたからだ。
印刷屋がどこにあるのかはっきりとした位置は分からなかったが、スマホで調べたらすぐにわかった。
公園の中はダンジョン関連の施設の建設で立ち入り禁止になっていたので、大回りすることになったが、それほど歩かなくてもよかった。
印刷屋の店に入り、これこれなので、ポスター作ってくださいと言ったら、
「大きさと枚数をお願いします」
「一番大きいので、枚数は1枚」
「このままお持ち帰りですね」
「はい」
「A0サイズ、特急ですので、価格は4400円です。よろしいですか?」
「はい」
「印刷データをお願いします」
写真データの入ったメモリーカードを店の人に渡した。
店の人がメモリーカードを小型の機械に差し込んで、しばらくしたら、その隣のパソコンモニターに画像が1枚だけ映し出されたので、
「これですね?」
「はい。それでお願いします」
すぐに、店の中にあった印刷機が動き出し、しばらく待っていたらポスターができ上った。
でき上ったポスターを確認してOKをだしたところ、店の人がポスターを丸めてくれたのでそれを受け取った。
店を出たところで丸めたポスターをアイテムボックスに収納し、中で丸めたポスターを何とか広げて、その大きさに合うようポスターフレームを拡大しておいた。アイテムボックスの中ではポスターフレームにポスターを入れることはできなかったので、これは帰ってからだ。
ポスターが片付いたので、次は代々木公園だ。俺が知っている代々木公園に一番近い場所は、いつぞやの新宿南口のタクシー乗り場だったので、そこに華ちゃんを連れて転移した。
タクシー乗り場に人は並んでいなかったので、客待ちをしていたタクシーに乗り込み原宿駅の少し先までいってもらった。そこの歩道橋の上に上がって公園の方向を眺めたら、建設中の建物の先にピラミッドが見えたのでだいたいの位置は確認できた。
「明日は、この辺りに9時10分前くらいに転移しよう」
場所の確認も終わったので、俺たちはそのまま屋敷の2階に転移した。俺は余所行きから普段着に着替えて居間に下りていった。子どもたちは昼食の準備らしく居間にはいなかったし、はるかさんもいなかった。はるかさんはおそらく学校の建築工事現場だろう。
華ちゃんが着替えて居間にやってきたところで、明日の作戦を考えることにした。
俺の向かいに座った華ちゃんの隣りに、なぜかピョンちゃんが上向きに寝っ転がった。華ちゃんは寝っ転がって伸ばしたピョンちゃんの足の上にコタツ布団をかけてやった。これでいいのか? 鳳凰




