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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第25話 QOL(クオリティ・オブ・ライフ)2、女子高生たち3


 発電機の燃料となるガソリンの目途も立った。発電機が到着するまでに他にできることをやっておこう。


 今日の予定として考えてはいなかったが、とりあえず、マヨネーズと化学調味料の定番として味〇素をスーパーで買ってみた。料理に一振り振りかけるだけで、それなりに味が引き立つ。ハズだ。知らんけど。あと、ちょっとお高いドレッシングを何本か買っておいた。このドレッシングは舌が全く肥えていない俺でも野菜サラダにかけるとおいしいと感じる。


 それとカレーのルーを買ってみた。子どもが4人に大人が2人。初めてのカレーとなると辛口は厳しいだろうから中辛だな。甘口はさすがに俺が食べられない。和食を作るわけではないのでカツオ風味の本〇しは買わなかった。


 後は米だ。米があっても向こうの世界には炊飯器がない。いや、鍋でも米が炊けるとどこかで聞いたか読んだかした覚えがある。俺にはそんな器用なことはできないのでリサに研究させれば何とかなるかもしれない。


 待て待て、そもそも、ご飯は米に水と熱を加えて化学変化させたものだ。ということは、米と水から錬金工房内で簡単にご飯が作れるはず。


 ならば試してみよう。


 ということで、総菜売り場に回った俺はご飯の入ったパックを1つ購入し、お米売り場にいって10キロ入りのお米を一袋買った。水はアパートに帰って水道水をアイテムボックスに収納しておけばいいだろう。そのうち綺麗な南の島にでも行って海水を大量に仕込んでもいいかもしれない。塩が簡単に手に入るわけだし、海水中に含まれる微量元素も手に入る。海水は何かにつけてお得だと思う。



 レジを済ませた俺は、荷物を人目に付かないようにアイテムボックスに収納して、そのまま、俺のアパートの上がり口に転移した。


 その後、ユニットバスの湯舟に栓をして蛇口を開いて湯舟に水を溜め、一杯になったところでアイテムボックスに水だけ収納して今日買った米と一緒に素材ボックスに移動しておいた。いよいよ炊飯だ!


 パックに入ったご飯を中身だけ複製ボックスに移動して、同じものを作る(ふくせいする)


 一瞬にしてご飯ができた。このままだと冷たいご飯なので、ある程度温かくして、一口分、手のひらの上に出してみて、食べてみた。


「うまい! ご飯そのものだ!」


 こうなると、漬物やお茶漬け、生玉子にふりかけといったご飯のお供が欲しくなってきた。


 ということで再度スーパーに。転移した場所は、前回も使った人気ひとけの少ない場所だ。


 幸い周囲に誰もいなかったと言いたいところだが、爺さんが一人近くに立っていた。


 俺が急に目の前に現れたものだからびっくりしたようだが、俺が何食わぬ顔をして売り場の方に歩いていったら、後ろの方で、


『アレー? あの男、今急に現れたように見えてしまった。意識が飛んだか、まだ熱中症の季節でもないし、ボケが進んじまったか?』などと独り言を言っていた。


 俺は、スーパーのカートを押して売り場をまわり、お目当ての漬物のパック、お茶漬け、ふりかけ、生玉子をカゴに入れていき、忘れないよう醤油の1リットルパックを2つ買っておいた。おっと、味付け海苔を買い忘れるところだった。味付け海苔もカゴに入れて、これで俺は無敵だ! 海にいくのはいつになるか分からないので、塩をまた10キロ買っておいた。塩さえあれば大豆と麦が主原料の醤油もアルコール同様麹がなくても錬金工房で負担なく自家製造れんせいできると思ったからだ。


 あとは茶碗だ。大人用の茶碗、やや小ぶりの大人用茶碗、さらに小ぶりの茶碗を4つ買っておいた。箸もそれに見合ったものを買ったが、俺以外箸は使えないので、最初のうちはスプーンでご飯を食べることになるだろう。箸の使い方はおいおいだな。子どもたちなら簡単に覚えるだろうが、一番年上のリサは苦労しそうだ。慣れれば便利なんだけどな。


 レジを済ませた俺は、また人目に付かない隅の方に移動してアイテムボックスに商品を収納して、向こうの屋敷の俺の部屋に跳んだ。


 そういえば異世界のことを向こうの世界とか言っているが、いい加減名前を付けた方がいいな。向こうの連中の頭の中には自分たちの世界であるという認識はあるのだろうが、世界に対してこれと言った固有名詞を持っていないようだ。強いて言えばアース(だいち)なのだがこれだと地球アースと区別できない。


 名称は俺だけ認識できれば十分なので、勝手に新世界、ニューワールドと呼ぶことにした。



 屋敷に帰った俺は塩と米以外の今日の買い物の成果をリサに片付けさせた。そのとき面倒だったので説明は省いたのだが、リサは生玉子の10個入りパックを見て大いに驚いていた。ちなみに生玉子は3パック買っている。うちは6人家族なので、1日一人1個食べると5日分しかない。一人住まいだったころは、1パック買えばそれなりに長持ちしたが、大家族となると大変だ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 そのころ3人娘は、訓練の一環として、バレンの街の郊外へ狩りをするため神殿兵たちの護衛の下、馬車で移動中だった。


 3人はもちろん同じ馬車に乗っていたが、移動中、山田圭子と田原一葉が隣り合って終始ぺちゃくちゃおしゃべりをしているあいだ、向かいに座る三千院華は黙っていた。


 言い方を変えれば、先の二人が三千院華を無視しているともいえる。


 三千院華は神殿を離れて一人で生きていく目途が立たない今、居心地の悪さにじっと耐えていた。


『そう言えば、わたしがこの世界に来た時、一緒にいたあのおじさん。職業もなくスキルもなくてどこかに連れていかれてそれっきりだけど、もしもあの時、わたしにも職業やスキルがなかったらどこかに連れていかれたのかも? こんなところから早く逃げ出したいけど今は無理』


 三千院華のいう『あのおじさん』は彼女から数キロ離れた場所で気ままな生活を送っており、好きな時に日本に行き来していたとは想像の埒外だった。




 3人娘を乗せた馬車は神殿兵の護衛の下、昼前までに目的地の神殿が所有する原野に到着した。一行は、そこでテントを張り、午後からの訓練に備えることになった。


 その原野は灌木が所々に生えた草原で、奥の方まで行くと、最近発見されたダンジョンの入口がある。現在その入口は神殿兵によって封鎖されている。


 今日の訓練ではその原野に生息する野生生物、狼、アライグマ、鹿、イノシシなどを狩る予定だ。


 3人は簡単な昼食をテントの中でとって少し休憩したところで、神殿兵の隊長が訓練開始を告げた。


 訓練では3人がパーティーとなり、ダンジョンの入り口のある南に向けて移動し途中見つけた野生動物を狩りながら適当なところで折り返し、出発地点のテントまで戻ってくるというものだ。3人のあとには神殿兵が5名ほどついて不測の事態が起こらないよう目を光らせている。



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― 新着の感想 ―
現代日本で瞬間移動はリスク高すぎない? 監視カメラを見るのが趣味な人も居るしそのうちバレそう
万能スキルで何でも解決してしまうと話がワンパターンになりがちだなぁ。 現代日本と行き来できてスマホが使えるならインターネットで金策の方法なんて幾らでも調べられるのに、鍋での米の炊き方すら調べようともし…
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