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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第249話 養子2


 週が明け、D関連局とのいつもの会議。


 川村局長がまず、グリーンリーフ以下3チームによるメタルモンスターの試用結果について報告した。


「頂いたメタル大蜘蛛とメタルゴーレムを3チームに1体ずつ配り、ダンジョンで試用しました。

 モンスターとの戦闘場面のビデオを見ましたが、メタル大蜘蛛、スゴイの一語でした。メタルゴーレムはそういう意味では目立ちませんが、荷物運搬に大活躍でした。

 どちらも先週提示された価格で買い取らせていただきます。もちろん買い取り価格は税引き後の価格ですから岩永さんに納税義務はありませんのでご安心ください」


「ありがとうございます。

 予算の関係もあるでしょうが、一応大蜘蛛は2020体、ゴーレムは1000体用意できていますので、いつでも卸せます」


「まだ1週間というのにすでに2020に1000。驚きです。予算措置が終わりましたらその時お知らせします。ところで2020の20というのは、何か特別な意味があるのですか?」


「特にはありません。101で割り切れた方がいいかな、って思っただけです」


「101? はて。

 そういえば、先週の会議でお話のあった美少女フィギュアのゴーレム化の件は?」


「申し訳ありません。うまくいくと思ったんですが、結局失敗してしまいました。フィギュアを元にゴーレムを作ればフィギュアと同じ形のゴーレムができ上ると思ってゴーレム化したところ、ゴーレム、ゴーレムしたプラスチック製のゴーレムしか作れませんでした。

 これが、元美少女フィギュアのゴーレムです」


 そう言って俺は、寸胴のプラスチック製ゴーレムをテーブルの上に置いた。元のフィギュアを知っているマニアの人に見せたら、涙を流すかもしれない。


「確かに、これでは」と、川村局長。他の3名は言葉もないようだった。


「さすがにこれではと思い、こんどは美少女フィギュアの型を粘土で取って、その型にスライムの死骸を入れてフィギュア化してみました。見た目だけはちゃんとしたフィギュアができ上ったんですが、これにも問題がありまして」


 ここで俺は這いよるフィギュアを取り出した。見た目だけは銀色の美少女フィギュアだ。メタルフィギュアの時は半分溶けてしまっていたのだが、フィギュアに戻したら元の形に戻っている。


「このフィギュアは見た目こそ小型の美少女フィギュアなんですが、元がスライムだったせいで、もどす(・・・)と、立って歩くことができず、這い進むだけなんです。しかも溶けながら。50センチほどの背丈があるので、ホラー風味という意味で迫力だけはあります」


「それではちょっと広報活動には厳しいですね」


「ということですので、美少女フィギュアのゴーレム化は失敗でした」


「了解しました。

 他に何かありますか?」


「はい。今日はお願いがありまして」


「何でしょう?」


「わたしのところでは、12歳から20歳まで6人、屋敷の掃除やまかないなどで使っているんですが、その6人に日本の国籍をとらせたいので、お力をお貸しください。

 日本と向こうの国に国交があるわけでも、まして、国籍などというはっきりした概念が向こうにあるのかわからないので、形の上ではわたしの養子ということにすれば、ハードルが低くなるような気がするんですが」


「わが国への帰化ですね。なるほど。

 これが何百人ともなると難しいかもしれませんが、十分な資産をお持ちの岩永さんの養子ということですからなんとかなると思います。

 ちなみに、お身内を日本国民としたい何か特別な理由があるのですか?」


「6人のうち一人に音楽の才能が有り、もう一人に絵の才能が有るので、そういったコンクールに近々出場させたいと思いまして。コンクールへの応募に国籍がないわけにもいかないし、できるものなら、全員一緒にと思いまして」


「なるほど。そうなってくると本腰を入れなくてはなりませんな。野辺次長、どうかな?」


「わたしの方で、どのような方法があるか調べてみます。少なくとも来週には良い方向で結論が出せると思います」


「よろしくお願いします」


 俺は華ちゃんともども頭を下げ、ポーションを卸して屋敷に帰った。




 翌週の定例会議。


「先週の岩永さんからのご依頼につきまして、わたしのほうで対応させていただきました」と、野辺次長。


「結論から言って、帰化可能です」


「ありがとうございます」


「まず、外国人を養子として迎えるには迎える養子親が結婚して夫婦でなければならないそうです。

 ということですので、この方法でのアプローチは諦めました。次善の策として、6人を難民として帰化させることができないか防衛副大臣を通じて外務省と法務省の担当部局に強く(・・)要請したところ、話をつけることができました。書類の作成はこちらで行いますから、岩永さんの都合がいいときに6人の顔写真を撮らせてください」


「養子にする必要はないということですね」


「はい。そうなります。岩永さんが養子に迎えたいということなら、帰化後は普通養子縁組として簡単に手続きできます。帰化手続きが終わり、帰化が認められた段階でそちらも手続きしましょうか?」


「お願いします」


「養子縁組の手続きはこちらで代理で取得しますから、岩永さんの戸籍謄本が必要ですので、ハンコと本人確認のための免許証かマイナンバーカードをお願いします」


「了解しました。明日ここに6人を連れてきていいですか?」


「お待ちしています」




 翌日。


 日本用のお出かけ服を着た6人を連れて防衛省の会議室に現れた。会議室には野辺次長と事務官が一人、それにカメラマンがいて、部屋の後ろの方にカメラを乗せた3脚と無地の背景パネルがセットされていた。


 免許証を渡し、用意されていた書類に署名したりどんどんハンコを押しているあいだに、6人の写真撮影が終わった。


 俺がハンコを押した書類に書かれていた6人の住所は6人とも俺のアパートになっていた。当たり前か。あのアパートに愛着はあるが、見た目7人で住んでいることにするには無理がありそうだし、そろそろひき払ってもう少し広いところに住んだ方がいいかもしれない。まっ、いずれ。今度の更新時期でいいか。


 おそらく2週間で一連の手続きは終わるという話だった。ありがたいことだ。これはまた何かちゃんとした形でお礼しないといけないな。



 その日は写真と手続きだけだったので、華ちゃんとはるかさんは屋敷に残っている。華ちゃんはピョンちゃんと遊んでいるだろうし、はるかさんは学校の建設現場で監督をしているだろう。


 昼食用に何か買って帰ればいいだけなので、あと2時間ちょっと時間がある。


「さーて、どこか面白そうなところがあれば連れていってやりたいが、どこかいいところはないかなー」


 ここにいるのは、リサと子どもたち5人なので、そういった情報を持っているはずはない。


 ここは俺が考えなければいけない局面だ。


「うーん」


 俺がうなってもいい知恵が湧いてはこなかった。



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