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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第240話 メタル大蜘蛛


 フィギュアメーカーのあった石室に通じる通路はT字路を左に折れた先の突き当りの部屋だったので、またT字路の分岐路に戻って今度は右の通路を俺たちは進んでいった。


 俺は歩きながら大蜘蛛のフィギュアをコピーしようとしたら普通にコピーできてしまった。この分ならバジリスクのフィギュアもコピーできそうだったがそっちは止めておいた。


 ところどころにある罠を華ちゃんが解除していき、俺は罠が解除された最初の扉に手をかけた。


「開けるぞ」


 扉を開けた先は、いつもの10メートル四方の石室で部屋の真ん中にそれらしい宝箱が一つ置いてあった。華ちゃんのデテクトライフで当然のように緑に点滅し始めた。


「おあつらえ向きだな。

 大蜘蛛フィギュアの出番だ! 出でよ、大蜘蛛」


 俺はアイテムボックスから取り出した大蜘蛛のフィギュアを宝箱に向かって投げつけた。


 俺の投げつけた銀色の大蜘蛛フィギュアはミミックらしき宝箱には命中せず、その手前の石の床に当たるか当たらないかというところで一瞬だけ青白く輝き、元の大蜘蛛の大きさに戻った。


 元の大きさに戻った大蜘蛛は、フィギュアの時と同じメタリックな銀色のままだった。頑張れメタル大蜘蛛!


 心の中で声援したのだが、メタル大蜘蛛はミミックらしき宝箱を攻撃してくれない。宝箱もメタル大蜘蛛を攻撃しないので、膠着状態とも呼べない妙な状況になってしまった。俺は仕方がないので、リモコンを操作しながら口で鉄の巨人に命令する半ズボンの少年になったつもりで宝箱を右手の人差し指でそれらしく指さし、


「いけ! メタル大蜘蛛。その宝箱を斃すんだ!」


 メタル大蜘蛛は俺の命令を理解したようで、頭の上の8個の目を赤く光らせ宝箱に手前まで進み、そこで後ろの6本足で立ち上がり2本の前足を宝箱に叩きつけた。


 その一撃で宝箱=ミミックは本性を表してメタル大蜘蛛に襲い掛かろうと蓋を開いたが、メタル大蜘蛛は宝箱=ミミックが攻撃できるような隙を与えず、前足を叩きつけ続け、結局宝箱=ミミックは妙な液を出して半壊し、何だかわからない不定形の死骸になってしまった。


「でかしたぞ、メタル大蜘蛛」


 思った以上にメタル大蜘蛛は優秀だった。メタル大蜘蛛でこれなら、メタルグレーター大蜘蛛だとどれほど強いか楽しみだ。


 ミミックの死骸を収納したところで、後ろの3人を振り返ったところ、みんな目を見開いていた。


「思った以上にメタル大蜘蛛強かったな」


「そ、そうでしたね」と、華ちゃん。


「普通の大蜘蛛の何倍も強くなっておらんか? わらわのおかげで5割増し強くなっておったとしても強すぎなのじゃ。

 像に成るとこの調子で強くなるなら、あのトカゲの像はどのくらい強くなるんじゃろか?」


 確かにアキナちゃんの言う通り、とんでもなく強くなりそうだ。実戦で使うことはなさそうだが、頼もしい味方が手に入ったことをありがたく思っていよう。


「バジリスクのフィギュアは元の大きさに戻ると大きすぎて使いづらそうですが、グレーターの付くモンスターはグレーターなしの元のモンスターの何倍も強かったから、そっちもフィギュア化したら面白そうですね」


「だな。

 だいたいのことは分かったけれど、この蜘蛛、元のフィギュアに戻ってくれないのかな」


「ダンジョンの中ならいいけど街中は連れ歩けませんものね。

 金属製に見えるから収納できるんじゃありませんか?」


「アイテムボックスには、このまま収納できると思うけど、大抵の冒険者はアイテムボックスを持っていないから、こいつが元のフィギュアの大きさに戻ってくれないとすごく不便だと思うんだよ。逆に言えばアイテムボックスを前提としていない何か手立てがありそうな」


「ゼンちゃん、試しにまたあの言葉を唱えてみてはどうかの?」


「そうだな。

 エレメア!」


 アキナちゃんが言った通り、エレメアのひとことでメタル大蜘蛛が一瞬青白く光り、光が収まった時にはまた3センチほどのフィギュアに戻っていた。


「これはいい。

 冒険のお供に売りだせば引く手あまたで大儲けだな」


「ということは、岩永さん。大蜘蛛のフィギュアをコピーしちゃった?」


「簡単にできた。

 どういった素材が使われたのか分からないけど、全く疲れなかったから特殊な素材は使われてないようだ。これなら1000匹くらい簡単にコピーできると思う」


「バジリスクも?」


「あれは試してない。一匹あれば十分じゃないか?」


「それもそうですね」


「しかし、自分たちが戦わなくて、子分に戦わせるってポケ〇ンみたいでなんだか楽しいな。ポケ〇ンだとそのうち進化したけど、メタル大蜘蛛も進化したら楽しいぞ。

 まずはアイテムボックスの中のモンスターを全種類フィギュア化しておこう」


 アイテムボックスの中にあるモンスターは大コウモリと大サソリ、それにミミックと大ナメクジとスライム、それにそいつらの進化したらしいグレーター付きのモンスターだ。


 ミミックと大ナメクジとスライムもフィギュア化すればメタル化するのだろうが、ちょっと違うような気もするし、わざわざフィギュア化する必要はないだろう。もっとモンスターが欲しい。フィギュア化して映えるモンスターが欲しい! われにモンスターを!


 何のコレクションでもいいけど、コンプリートを目指したいコレクターの気持ちが分かるな。


「フィギュア化はいつでもできるから、まずはモンスターを集めよう」


 俺たちは意気込みも新たに探索を再開したのだが、結局大コウモリと大蜘蛛しか遭遇できなかった。


 モンスター、カモン!


 俺が罰当ばちあたりなことを考えていてもばちに当たることもなく、その日の探索を終了した。


 屋敷に戻った俺たちは、いつも通りだったのだが、飾ろうかと思っていたバジリスクのフィギュアは飾らないでおくことにした。理由は何かの拍子でフィギュアからメタルバジリスクに戻ってしまうと、メタルバジリスクにその気はなくてもおそらく重さだけで床が抜ける。




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― 新着の感想 ―
>>飾ろうかと思っていたバジリスクのフィギュア 錬金工房で石像くらい簡単に作れるだろ。重さが気になるなら材料は木材でもプラでもいい
[一言] ポケモンかぁ、カプセル怪獣を想像してました(笑)
[良い点] 『リモコンを操作しながら口で鉄の巨人に命令する』 コレ↑にツッコミ入れる方は、私と私の姉以外に居ないと思ってたので嬉しい!! 今思い出しても、不思議な謎の操作方法! 全く動かさない左の操…
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