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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第238話 明日はホームランだ。

ここから『フィギュア、ゴーレム編』が別の話を挟みながらなんとなく続きます。


 防衛省での会議を終え、有益図書を購入し、ちょっとばかり投資をした俺たちは、銀座に繰り出し、広島県だか広島市のアンテナショップの中に入っているお好み焼屋でお好み焼きを食べた。わっかるかなー。わっかんないだろうなー。


 久しぶりのお好み焼を堪能たんのうした俺はテイクアウトまでしてしまった。一つあればコピーできるのだが、あえて人数分、ブタたまそばを9枚だ。この程度で、アンテナショップのアンテナが振れることはないと思うが『ブタたまそば』に票が入ったのは確かだ。


「華ちゃん、やっぱ広島のお好み焼おいしかっただろ?」


「広島風お好み焼き、久しぶりだったし、おいしかったけど、お腹いっぱいです」


「チッチッチッチ。華ちゃん。広島のお好み焼を広島()お好み焼と言っちゃ失礼だぜ」


 これは俺のこだわりである。


「そうでしたね。本場で~風はおかしいですものね」


 俺の言わんとすることを分かってくれたようだ。さすがは華ちゃんだ。



 お好み焼きを食べて大満足した俺たちは、何かお土産になるものはないかとしばらくその辺りを連れだって歩いていたら、たこ焼き屋があった。お好み焼きはお土産と言えばお土産だが、昼食として食べるようなものなのでおやつにはさすがにならない。たこ焼きなら、デザートには向かないだろうがおやつとしてもちょうどいい。ということで、たこ焼き屋の入り口横の窓口から、


「普通のたこ焼き、9つ」


 いろいろ種類があったのだが、やはり汎用型を超えるピーキーなカスタムモデルはあり得んだろう。


 5分ほど待って、でき上った汎用型たこ焼きをビニール袋に9人分入れてもらった。ビニールの小袋に入ったソースとつまようじも入っている。この店ではビニール袋代3円取られなかったので何気に嬉しい。さらに、持ち帰りだったため消費税が8パーセント(注1)だったところも高得点だ。



 特に用事はなかったのでそのまま屋敷の居間に転移した。


「「ただいま」」


「「ご主人さまおかえりなさい」」「ハナおねえさんおかえりなさい」「二人ともお帰りなさいなのじゃ」「おかえりなさい」



 居間では、はるかさんを含めて、みんな揃ってコタツに入ってまったりしていた。


 ここ数日ピョンちゃんは屋敷の居間にいるのだが、おとなしくしている。前回前後不覚になったピョンちゃんだが、元気そうだ。目の前のかごの中に入れていた楽園リンゴと楽園イチゴは、1日1個ずつどちらかを食べているだけだ。鳳凰フェニックスに進化したピョンちゃんは、楽園の外でも生きていけるのかもしれない。あとで、他の食べ物を食べさせてやろう。ダンジョン外の食べ物が食べられるようなら、これはもう外でも生きていけるということだろう。


 かごの中のミカンが少なくなっていたので補充して俺もコタツに入った。みんなコタツに集まっていたのは、部屋の中が肌寒かったからだろう。エアコンを点けるより、ちょっとは寒いくらいの部屋の中で、温かいコタツの中に入っている方が楽しいものな。


 せっかくなので、イオナ用に買った画集をこたつの上に出してやった。神殿の壁画は順調に仕上がっているそうだ。



 画集の1冊目は風景画だった。画集を開くイオナの周りに子どもたちが集まって、イオナがページをめくるたびに、


「「ホー」」「「オー」」とかの声が漏れ出る。


 2冊目は、静物画。ここでも、イオナがページをめくるたびに「「ホー」」「「オー」」とかの声が漏れ出る。



 そして、3冊目の人物画。イオナがページをめくるのだが、誰も声を出していない。というか息をのむ音が聞こえてきた。少し雰囲気が違ってきたので、イオナの手元の画集の絵を見たら、立派な男の人の裸体画だった。形容動詞「立派な」は男の人の前に置いても、裸体画の前に置いてもいい。


 こういった教育は必要なのかもしれないが、勝手に自分で教育されていくものだ。


 ちょうどコタツに全員揃っていたので、今日のお土産たこ焼きを出してやった。たこ焼きは透明プラスチックの容器の中に入った紙の皿に8個入っているので、何も用意する必要はない。


「今日日本に飛んだ時買ってきた『たこ焼き』だ。熱いから気を付けて食べろよ。

 上にかかっているソースが足りないようなら、ビニールの小袋に入っているソースを上からかければいいからな。食べる時はこの先のとがった木の棒、つまようじに刺して食べるんだ」


 あとの説明は面倒だったので、華ちゃんとはるかさんに丸投げだ。


 みんなフーフー言いながら食べ始めた。


「あっつ」「フー、ホッホッホ」「ウホー」などと子どもたちから変な声が上がる。


「中に何か入ってる」「コリコリ?」「なんだろう?」


 子どもたちの質問に華ちゃんとはるかさんが答える。


 おやつのわりに子どもたちには量が多かったかもしれないが、夕食の時間を少し遅らせてもいいしな。


「変わった味だったけど、おいしかったー」「「おいしかったー」」


「わらわはもう8個は食べられたが、8個だけで勘弁してやるのじゃ」


 若干一名妙な感想があったが、おいしかったのだろう。


 食べ終わったゴミは俺が回収しておいた。


 食後のみんなを後に、俺は屋敷を出て、発電機の軽油やプロパンの残量を見て回り、補充しておいた。


 一回りして居間に戻ると、居間の中には華ちゃんだけ残って、ピアノを弾いていた。リサと子どもたちは夕食の準備を始めたようだし、はるかさんは、学校の工事の様子を見てくると出ていったそうだ。


 ということなので、俺は先に風呂に入ることにした。


 準備は簡単なので、裸になればすぐ風呂に入れる。体を軽く流して湯舟に浸かり、午前中の会議で聞いた自動販売機のことを思い出していた。


 俺の持っている大金貨は先に進むためのスイッチとして使っただけだが、どこかに自動販売機があれば、そこで使えるかも知れない。そう思うとちょっとやる気が出てきた。よーし、明日はホームランだ! さて今日の夕食は何だろう?



注1:

2022年12月26日現在。2030年ころ、ここをお読みになる方は『ああ、あの頃の消費税は10パーセントだったなあ』と懐かしむかもしれません。おーこわ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 別に広島風でもいいと思いますけどね。大阪で食べられているタイプを関西風お好み焼きと呼んでますし。
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