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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第220話 イオナ2、着衣の善次郎


 今日は一心同体の主要メンバーのアキナちゃんがいなかったので、冒険者活動は休止することにした。4人しかいないので主要メンバーも何もないのだがな。


 いつもと変わらず俺には特に用事もないので、ブラブラと屋敷の中を点検し、軽油をタンクの中に補充したり、プロパンガスを補充したりしていたら、屋敷の掃除を終えて自由時間になったらしいイオナが俺のところにやってきて、


「ご主人さま、絵のモデルになってくれませんか?」と、言ってきた。


「俺がモデルでいいのか?」


「もちろんです。ですが、ご主人さまが忙しいようなら諦めます」


「いやいや、忙しくなんて、これっぽっちもないからモデルになるよ。

 ただ、俺もモデルなんてなったことがないから、どうすればいいんだ?」


「どこか適当なところに座っていてくれれば十分です。

 そうだなー。居間のベンチソファー(ながいす)に寝っ転がってもらおうかな」


「寝っ転がっていいのか?」


「その方が楽でしょうから」


 座ってるより寝っ転がった方が楽なのは確かだ。


「じゃあ、さっそく始めよう」


「はい!」


 イオナと居間に戻ったところ、居間の中にいたのは、ピアノを弾いているオリヴィアだけだった。エヴァはどこにいるのか分からないが、キリアはさっき裏庭でフレイムタンを持って素振りをしていた。華ちゃんは自分の部屋でコミックでも読んでいるのだろう。はるかさんは隣の建築現場で作業を見ているはずだ。


 俺はコタツの先に置いてあるベンチソファー(ながいす)に寝っ転がった。


 いちおう俺はモデルの才能を見込まれて絵画のモデルなったハズなので、それらしく体を半分画家(イオナ)の方に向け、両手を頭の後ろに組んでやった。気分は『裸のマハ』だ。


「こんなのでいいか?」


 スケッチブックを持ったイオナに尋ねた。


「大丈夫です」



 俺がオリビアを聴きながら『裸のマハ』の境地に達していたら、頭の後ろで組んだ指先がだんだんとしびれてきた。


 プロのモデルはどんなことがあろうとも動いてはならないのだ!


 俺は別にプロのモデルではないが、プロ意識を持ってしびれと戦った。ポーションを飲めば簡単に治ると思うのだが、手を動かせないのでポーションを飲めないのだ。将来的に両手が使えない状態でどうしてもポーションを飲まなければならない状況に陥ることも十分考えられる。


 どうすればいい? 自問はできたが、自答はできなかった。


 そんなことを考えていたら、玄関の扉が開いた音が聞こえた。誰かが屋敷の中に入ってきたようだ。誰だろうと思っていたら、居間の扉が開いて誰かが居間に入ってきた。顔を少し動かせば誰が居間の中に入ってきたのか簡単にわかるのだが、プロ意識という呪縛に囚われた俺は、顔を動かすことはなかった。


「今帰ったのじゃ」


「「アキナちゃん、おかえり」」


 アキナちゃんが神殿から帰ってきたようだ。


 やっと俺の視界に入ったアキナちゃんが、


「ゼンちゃん、おぬしは一体何をやっておるのじゃ?」


 プロは口を動かさないので黙っていたら、アキナちゃんが俺の目の前にやってきてしゃがみ込み、


「ゼンちゃん、頭がおかしくなったのではあるまいな?」


「アキナちゃん、違うの。

 ご主人さまは、わたしの絵のモデルになってくれてるの」


「絵のモデル?

 おっ!? 間違いなくこの絵はゼンちゃんじゃ。じゃが、実物の何倍もこの絵の方が若々しくてカッコよく見えるのじゃ。イオナ、おぬし絵を描きすぎて目が悪うなっておらんか? それこそ、ゼンちゃんからヒールポーションをもろうて飲んだ方がいいのじゃ」


 たまりかねた俺は、プロ根性を捨てて、


「アキナちゃん、イオナの目は悪くなってないはずだ。

 すまん、イオナ、つい動いてしまった」


「ご主人さま、もう動いてもらって大丈夫です。

 一度目にしただけで、絵は描けますから」


 一度目にしただけで絵が描けるというのはすごい才能だと思うが、それならそれで早めに教えておいてくれよ。手がしびれたじゃないか。ベンチソファー(ながいす)から起き上がって手を意識したら、しびれは知らぬ間に治まっていた。


 

「で、俺にも途中経過を見せてくれるか?」


「はい」


 イオナが差し出したスケッチブックには、俺にそっくりな男がベンチソファー(ながいす)に寝っ転がっていた。ただ、その男の見た目の年齢は15歳くらいだ。確かにアキナちゃんの指摘はズレていなかったようだ。その15歳に見える俺の姿なんだが、俺の記憶にある俺の15歳当時の顔かたちと同じなのだ。なんでイオナが若作りの俺の絵を描いたのか分からないが、これは、単純に絵の才能とは呼べないかもしれない。


「なかなか良くできていると思うが、確かにこの絵は相当若く見えるぞ」


「ご主人さまが若かったらどんな感じになるのかなーってみんなで話したことがあって、それで、こんな感じかなーって描いちゃいました」


 描いちゃったものは仕方がないものな。


 イオナにスケッチブックを返した俺に、アキナちゃんが、


「ゼンちゃん、じいに絵の先生ができる絵描きはいないか聞いてきてやったぞ」


「そうだったな。それでどうだった?」


「心当たりに当たってみると言うておった。

 2、3日すれば分かるじゃろ」


「期待しておこう」


 イオナはそれを聞いて目を輝かしていた。


 モデルを見なくても絵が描けるイオナはその後、コタツに座って絵の続きを描き始めた。傍から見ても迷いがなくどんどん絵が仕上がっていく。凄いものだ。これはますます本物だ。


 その後、俺もアキナちゃんもコタツに入ってミカンを食べていたら、オリヴィアもピアノを弾くのをやめてコタツに入ってきた。


 そうこうしていたら、どこにいたのか分からないがエヴァも居間にやってきてコタツに入ってミカンを食べ始めた。


「イオナ、ご主人さまの絵ができ上ったら、部屋に飾ろうね!」


「うん」


「この前、ご主人さまに頂いたお金で額を買ってこようよ」


「「さんせー」」


 おいおい、俺の妙な絵を額に入れて飾るのか。仕方ないなー。うふふふ。



 子どもたちにお金を使わせるのはかわいそうだから、ポスター用の額を買ってきてやろう。善は急げだ! 着替えたら日本に跳んで、何種類か買ってやろ。ああいったものに入れられるポスターって普通はスターとかセレブって言われてる連中のポスターだよな。大事なことだからもう一度言うと、アレってスターとかセレブって言われてる連中のポスターが入るんだよな。




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