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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第189話 サザエ3


 特製二股フォークを駆使して殻の中から取り出したサザエを実食。そう言えば、醤油しか入れていなかったが日本酒も少し垂らせばよかった。俺の舌にかかればその差はなくなるのでここで気にしても仕方ない。


 まずは、内臓ワタ。玄人はここが一番うまいというんだよな。


 緑っぽく青黒い内臓ワタ部分をガブリと貝の本体部分からかみちぎって、咀嚼そしゃくする。


 ジャリッ。


 あちゃー、サザエって砂抜き必要なの? となると、他の貝も? おそらく、ホタテは養殖物だろうから大丈夫な可能性が高いし内臓部分をあえて食べる必要はないから影響度が低いはず。しかしハマグリはマズそうだ。あとは、アワビだがアワビの内臓も身の部分に比べてそれほど大きくないから最初から食べなければ問題ないはず。


 金網の上を見るとまだハマグリは乗せられていない。アワビもまだだ。


「リサ、そこのツルリと殻がきれいな貝は砂抜きと言って海水に2、3日浸けておかないと身の中に砂が入っているらしいから、今日は諦めよう」


「はい」


 だがしかし、サザエは既に全て金網の上だ。


 仕方ない。敗戦処理だ。みんなに砂を食べさせるわけにはいかないし、捨てるのはごちそうさまの精神に反する。俺が全てを引き受けよう。


「そのごつごつした巻貝は、中に砂が入っているから、食べない方がいい」


 みんなに注意しておいた。



 要するに、ワタの部分を食べなければいいだけなのだが、どうも癪に障る。


 残ったサザエの身の部分をモシャモシャと頬張って炭酸水で流し込み、2個目のサザエをリサから皿に入れてもらい、再度特製二股フォークを駆使して殻の中からくるりとサザエを取り出した。


 今度はそのサザエを別の皿の上に伸ばしておいて、ワタの部分を観察する。


 ワタの部分の真ん中あたりに何重にもなった白っぽい輪っかの模様がついている。


 何だろう? ナイフを使ってその辺りを輪切りにしてやり、丹念に中を調べていくと、黒く変色したような砂の塊がそこから出てきた。


 ここに砂が入っていたに違いない。その部分を丹念に切り離し、残ったワタの部分を4つに切り分けて一つずつ順番に食べてみたところ、ジャリリ感は全くなかった。勝った!


 ふと気づくと、俺が勝利に酔いしれている傍らでリサ以外みんな席に着いて、なぜか俺の手元を眺めていた。


 そこで俺は、2個目のサザエを食べてみせながら、みんなにサザエの食べ方について一講釈をぶってやった。今後の参考になればな。



 リサは一人でバーベキュー係を頑張っていたので、華ちゃんとはるかさんが代わってやったようだ。そろそろ、焼肉も網の上で焼かれて始めているので、どんどん食べなければいけないのだが、俺の目の前には3個目のサザエが置いてある。


 子どもたちは、野菜と肉を皿に入れてもらって、焼き肉のタレを付けて食べ始めた。そっちからはいい匂いが漂ってくる。


 3個目のサザエ。こいつもうまく殻から身をすんなり出すことができた。砂の塊があるらしき輪っかマークを切り取って、残りのワタの部分から食べていく。


 確かに苦くて大人の味だが、サザエのワタの部分は旨いと言っていいのだろう。だがしかーし。3個も食べるとさすがに苦さも舌に残り始めた。なにが問題かというとサザエが大きいのだ。大きい方がいいのは確かかもしれないが、それは一人で1つを食べる前提だからだろう。



 ワタの部分の無くなった身の部分を俺は口に入れて適当なところで噛みちぎり、モグモグと食べ始めた。


 モグモグ、モグモグ、モグモグ。ごっくん。これを3回繰り返して3個目のサザエを食べきった。口の中が少ししょっぱい。


 残るはあと5つ。


 ここで、俺はサザエ休憩として、野菜を食べることにした。


 華ちゃんに野菜を皿に盛ってもらい、小皿に焼き肉のタレを入れて、タレで食べることにした。


 やっぱ、焼き野菜の王さまはナスビだよな。


 その後、アスパラベーコン。サザエを3個も食べた後の俺にはベーコンの塩味がそれなりに強かったので、最初の一口だけタレを付けただけであとはそのまま食べた。


 野菜を食べたあとは、皿に焼き肉を入れてもらった。


 今回ホルモンはないので、まずはカルビだ。


 サザエを3個も食べた後だからかもしれないが、叙○苑で食べたカルビより旨い。なんか得した気分になるな。こういった何気ないところに幸せの芽を見つけることができることこそ『幸福しあわせは、満足にあり』だな。


 俺はカルビを食べながら、意味のないこじつけ幸福論を頭の中でこねくり回していたら、バーベキュー係の華ちゃんが、


「岩永さん、ミノとレバーが焼けました」と、教えてくれた。


「もらおうか」


「はい」


 華ちゃんは別の紙の皿にミノとレバーを乗っけて俺に渡してくれた。


 バーベキュー網を見ると、サザエが5つ、火から遠ざけられてさびしく並べられていた。


 俺は皿の上のミノとレバーを一瞥し、そしてサザエを見て、


「サザエを食べる人いるかな? いないようならアイテムボックスに仕舞っちゃうぞ」


 悲しいかな、誰もサザエを食べたいとは言ってくれなかった。俺は心を鬼にしてバーベキュー網の隅でじっとしているサザエを5つ全部アイテムボックスの中に収納した。特製二股フォークも全部仕舞ってしまった。


 さらば、サザエよ。


 ミノとレバーをおいしくいただき、今度は何を食べようかと思ったが、このバター醤油の香りはホタテだろう。次はホタテだ。


 華ちゃんに言ってホタテを2つ皿に入れてもらった。


 醤油とバターの香りが堪らん。これぞ、洋の東西を代表する調味料、醤油とバターのコラボレーションだ!


 ホタテの殻の中にはホタテの貝柱の脇にオレンジ色の塊があった。ホタテの卵だよ。ラッキー。


 いただきます。アツアツ、ホカホカ。ちょっと味が薄い感じがしたが、これはこれでアリだな。先に卵にくっ付いていた紐を食べて、貝柱本体だ。


 どうせポーションもあるから、少し生っぽくても良かったのだが、よく火が通っていた。


 これくらい大きな貝柱だと食べ応えがある。続けて二つ食べたらもういいかなって気になってしまった。



 そろそろアワビの踊り焼きだ。旅館で食べた時はある程度の下ごしらえはしてあったから簡単に食べられたのだろうが、こっちは素人なので下ごしらえは何もしていない。それでもまな板もあるし包丁ナイフもある。焼けたらまな板に移して包丁でスライスしていけば食べやすいだろう。味付けはこれも醤油とバターだが、ホタテとはものが違うので大丈夫だ。


 アワビがバーベキュー網に乗せられる前、一度網の上から、隣の網に乗っていたものを移して、網を取り換えている。これでアワビもきれいな体で踊れるというものだ。


 アワビが網の上に乗せられたところで子どもたちは食べるのをいったん中止しては金網の周りに集まってきた。


「うわー、うねり始めた」「ちょっとかわいそうだけど、おいしそう」「こうやってぐにゃぐにゃ動くからおいしくなるんだよ」


 ぐにゃぐにゃ動くとおいしくなるかどうかはわからないが、子どもたちが前回同様まったく気にしていないところがありがたい。


 火が強かったせいか、アワビはすぐに踊り終わったようだ。


 順番にまな板の上に移されて、内臓を取った上でスライスされていった。この仕事はリサが行った。包丁はリサが自分の荷物の中に入れていたようで、それを使っている。さすがだ。


 スライスされたアワビをみんな皿に盛ってもらって食べ始めた。


 食べやすいし、旅館で食べたのと変わらないおいしさだった。


 磯辺焼きを食べようと思って用意した餅は結局のところ出さなかった。


 バーベキューで腹いっぱいになりすぎた俺たちは、腹を落ち着かせるため楽園イチゴを一人一つずつ食べた。何とか動けるようになったところで、バーベキュー用具を片付け、しばらく休憩してから、華ちゃんによる午後からの訓練は再開された。


 残った俺とはるかさんとリサは、ビーチチェアで寛いでいた。



 子どもたちは特訓の成果か、午後から1時間ほどしたら、みんなビート板(ビーチボール)なしで泳げるようになっていた。これなら、海にいっても良さそうだ。熱海の海ならひとっ跳びだしな。



次話より神殿編後半となります。

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― 新着の感想 ―
砂抜き忘れても調理済みならもう死んでるんだがらアイテムボックスと錬金工房でどうとでもできるだろ。こいついっつも自分の能力忘れてるな
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