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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第183話 ミッションクリア


 勇者がなかなか目を覚まさない。


 勇者が寝たままではどこかに届けることも連れまわすこともできないので、俺たちは勇者が意識を取り戻すまで休憩することにした。休憩中、華ちゃんはヘアドライヤー魔法で勇者を乾かしているので、俺が時おり、勇者をひっくり返してやっている。緑の点滅は鬱陶しいので華ちゃんがデスペルマジックで全員の点滅を止めているので、今は華ちゃんの頭上にライトの光が輝いているだけだ。


「キリア。デーツ、食べる?」


「はい」


「華ちゃんは?」


「はい」


 二人に小皿に盛ったデーツを渡して、俺はコーラを飲むことにした。


「飲み物は?」


「炭酸水で」


「キリアは?」


「うーん、わたしは水で」


 二人にそれぞれ飲み物を渡す。


 時刻は午後10時を回っている。キリアはもちろん俺も寝てる時間だ。


「キリア、眠たくないか?」


「大丈夫です」


「華ちゃんは?」


「少し。でも、大丈夫です」


「俺も飲むから、二人ともスタミナポーションを飲んでおいた方がいい」


 そう言ってスタミナポーションを3つ作って二人に渡し、3人で揃って飲んだ。


 フー。しゃきっとした。


 それからしばらく、勇者を表にしたり裏返したりしていたら、勇者の中まで乾いたようだ。


「華ちゃん、中まで乾いたんじゃないかな」


 それで、華ちゃんはヘアドライヤー魔法を止めた。


 最後に勇者を仰向けにしてやった拍子に、勇者のお腹が、クーとかわいらしく鳴った。


 そのあと、勇者はゆっくりとまぶたを開いた。華ちゃんの頭上のライトの光が眩しかったのか一度目を細めたが、すぐにしっかり目を開けた。


 俺は華ちゃんに目配せし、華ちゃんは俺たちから少し離れたところに移動した。



「ここは? あなたたちは?」


「俺たちは、あんたを救出にきた冒険者ギルド最上位パーティー一心同体の者だ」


「一心同体? わたしを助けてくれたんだ。ありがとう。

 あれっ? わたしの体、なんともない。穴の中を落ちていく間に何度もひどくぶつけて嫌な音がしたから骨が何本か折れていたはずだけど」


 案の定、勇者は俺の顔を覚えてはいなかったようだ。俺の顔はれっきとした日本人顔だと思うが、俺の顔の作りにも違和感を覚えていないようだ。これなら話は楽だ。


「俺たちで治してやった」


「そ、そうなんだ。そんなに簡単に大怪我を治したってことは、一心同体って本当にすごいパーティーなんだ。

 それに引き換え。わたしのパーティーは」


 この勇者は何を言い出すんだろうと思ったら、


「わたしのパーティーは、わたしのせいでメチャクチャ。きっとバチが当たったんだよね」


 なんだか、反省でもしているのか? ヒールポーションのおかげで、頭の中の回路が普通になったのか?


「俺たちは仕事であんたを助けただけだが、どこに帰りたい? いちおうギルドからの指名依頼だったから冒険者ギルドに帰そうか? それとも大神殿か?」


「神殿に帰ると、パーティーの二人に合わせる顔がないわ。でも帰らないわけにもいかないから、大神殿へ連れていってもらえますか?」


「わかった。大神殿に届けてやるから、俺たちに助けられたとちゃんと言ってくれ。そしたら俺たちに報酬が支払われるからな」


「それは、約束する。

 ここまでやってきたということは、この場所がどこだか分かってるんでしょう? で、ここはどこなの?」


「300段の階段を下りた階層の中の一部屋だ」


「それで、あんなに穴が長かったんだ。階段のあった部屋からここまでだいぶありそうだし、そこからあの300段を上るのはきつそう」


「それは心配ない」。そう言って俺は立ち上がった。


 勇者が訳の分からないような顔をしたのだが、


「立ち上がって俺の手を取ってくれ」


 勇者が立ち上がり、恐る恐る俺の手を取ったところで、『転移』



 俺たちは、俺が最初に閉じ込められた部屋に下りていく階段の上に転移で現れた。


「ここは大神殿の中だ。それじゃあな」


 呆けている勇者を残して俺は華ちゃんたちが待つダンジョンに戻った。



「勇者を神殿に置いてきた。

 俺たちも帰ろうか」


「「はい」」





 転移で戻った居間の中はもちろん誰もおらず、華ちゃんのライトの明かりだけだったのですぐに照明を点けて明るくした。明かりが点いたところで華ちゃんはライトを消した。


「華ちゃん、キリア、遅くまでご苦労さん」


「岩永さんこそご苦労さまでした」「さすがはご主人さまでした」


「二人とも風呂はどうする?」


「もう遅いのでこのまま着替えて寝てしまいます」


「わたしも寝ちゃいます」


「俺は風呂に入ってくるかな」


「それじゃあ、お休みなさい」「ご主人さま、おやすみなさい」


 鎧一式を脱いでアイテムボックスに仕舞って、脱衣場にいった俺はワークマ〇スーツを脱いで裸になり、風呂の用意をしてすぐに湯舟に入った。


 フー。


『あれでよかったのかな?』


 俺たちが助けていなければ、勇者はあのまま死んでいたのは確かだ。それはそうなのだが、勇者を日本に帰すことができたにもかかわらず、そのことを告げずに勇者を大神殿に帰してしまった。何か意地悪をしたような気になってきた。


 そういえば、今日の勇者の話によると、勇者のパーティーメンバーとして2人加わっていたらしい。おそらくその2人は日本人だ。いずれ、全員を日本に届けてやることになりそうだ。その時は、防衛省のD関連室に話を付けてから実行した方が無難だろう。


 頭の中を整理した後、体と髪の毛をごしごし洗った俺は、もう一度湯舟に入って風呂を出た。




 翌日。


 この日はプール開きを予定していたが、精神的に華ちゃんが疲れていたようだったので、1日順延した。リサが用意してくれていたバーベキュー用の食材は俺がアイテムボックスに仕舞っている。貝類は生きたまま氷を敷いたトロ箱の中に入っている。


 その日の午後、冒険者ギルドから金貨2000枚が屋敷に届けられた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 良かった、怪我したままとか、今後に響きますからねー [気になる点] 5体満足だからこそ、使い倒せますからね、 [一言] 改心しても、脳筋みたいだからなぁ、
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