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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第164話 実力を見た1


 2時間ほど、ジェ〇ガで大騒ぎしていたら、


『失礼しまーす』と、部屋の外から声がかかった。


 俺は先ほど崩れてしまってテーブルの上に散らかっていたジェ〇ガのブロックをアイテムボックスに仕舞って、


「はーい。どうぞ」


 部屋の中に仲居さんが二人入ってきた。


「失礼します。

 お食事の用意を始めます」


 俺たちは邪魔にならないように、バルコニー風の部屋に移動して、仲居さんの仕事を眺めていた。


 最初座椅子がいったん片付けられて、座卓が少し動かされ、それから、隣の部屋から座卓が運ばれてくっつけられた。そのあと、座椅子が並べられ、最後に座卓の上が布巾できれいに拭かれた。


「これから料理をお持ちしますが、お飲み物の方はいかがいたしますか?」


「それじゃあ、まずはビールを2本でグラスは3つかな。あとは、ソフトドリンクで、

 オレンジジュースの人?」


 二人手が上がり、その後、コーラが二人、炭酸水が一人ということになった。俺とはるかさんとリサがビールだ。


「かしこまりました」


 そう言って仲居さんは部屋を出ていった。


 それから、5分ほどして、


『失礼します。お飲み物とお料理をお持ちしました』


 そう言って先ほどの二人が部屋のふすまを開けて、座卓角に飲み物とグラスの乗ったお盆をいったん置いた。


 そのあと、二人は部屋の外から次から次へと料理を運び入れ座卓の上に並べていった。


 座卓が料理で埋め尽くされたところで、


「みなさま、お席にお着き下さい」


 屋敷での席順は、


 リサ  エヴァ はるかさん 華ちゃん

 

 オリヴィア キリア イオナ 俺


 なのだが、ビールの関係で、今日は、華ちゃんがリサと交代して、


 華ちゃん エヴァ はるかさん リサ

 

 オリヴィア キリア イオナ  俺


 という席順にした。


 飲み物が配られ、俺を含めたビールの3人には、仲居さんがグラスに注いでくれた。


 仲居さんが鉄板焼きの下の固形燃料に火を点けたあと、


「こちらの卓上ガスコンロの上の土鍋ですがアワビの踊り焼きになっています。

 強火で10分ほどでアワビが踊り始めますから、2分ほど置いて裏返し、このつまみを回して火を消してアワビが落ち着いたらお召し上がりください。

 お飲み物のメニューはこちらです。お申し付け、その他なにかありましたら、そちらのお電話で客室係と書かれたボタンを押してください」


 そう言って仲居さんたちは部屋を出ていった。



「それじゃあ、まずは乾杯だ」


 子どもたちはキョロキョロしていたが、残りの俺たちがグラスを持ったのでマネをして全員グラスを持ったところで、


「リサたち5人の日本語の上達にカンパーイ!」


 俺が手近なグラスにグラスを合わせたのを見て、子どもたちもマネをしてグラスを合わせ始めた。あまり強くやってしまうと壊れる可能性もあるが、そこまで無茶をする子はさすがにいなかった。


「それじゃあ、いただきます」


「「いただきます」」


 鉄板焼きの鉄板の上には霜降りの牛肉と付け合わせの野菜が並べられていて、その横にタレの入った小皿が置いてある。下に置かれた固形燃料の火もかなり大きいのですぐに火が通りそうだ。


 目の前の刺身の皿には、イセエビがでんと置かれて、その手前に真っ白な千切り大根と緑鮮やかなオオバの上に乗ったイカとマグロとホタテ、それに小さな器にウニが乗っていた。イセエビの身は殻から出されてオオバの上に盛られているので殻はタダの飾りなのだろうが見事なものだ。皿の脇にはワサビのほかにシソの花やタデが薬味に添えられている。


 刺身の皿を囲むように焼き魚、煮物、さっき説明のあったアワビの踊り焼き。アワビの踊り焼き用の卓上ガスコンロはつまみをカチャリと回すと火がつくが、屋敷にあるガスコンロはボタン式なので、リサと子どもたちには使い方を教えないとな。


 汁物に香の物、炊き込みご飯に茶碗蒸し。それに果物といったメニューだった。あとは、一番手前に前菜らしき酒の肴のようなものと、その横におそらく梅酒の小さなグラスがあった。子どもたちもこれくらいのお酒の量なら問題ないだろう。


 器の蓋を開けるたびに子どもたちから「「うわー!」」と、いう声が上がる。


 リサとはるかさんも蓋を取っては目を瞠っている。


 華ちゃんはいつも通りだ。


 俺も「うわー!」とは言わないが、土鍋の蓋を開けてアワビが丸ごと入ってゆっくりうねっているのを見た時には「ほおー!」とつい口にだしてしまった。


 酒の肴らしき、カリカリに焼いた小魚を口に入れ、ビールを飲む。


 これは、ビールじゃなくって、お酒の方が合うな。ビール瓶が空になる前に頼まないともったいない。


 飲み物のメニューを見ながら、俺は床の間の脇に置いてあった電話で客室係を呼び出して、


「1〇代の大吟醸2合をふたつ、お猪口ちょこは3つで」


 ざっと見ると、ジュース類はまだいいようだったので、それだけ注文した。


 〇4代は一度は飲んでみたかった酒だ。


 席に戻って、ワクワクしながらお酒がやってくるのを待っていたら、3分ほどでお酒が届けられた。お酒はガラス製の急須のような入れ物に入っていて、本体に一ヵ所窪んだところがありそこに氷が入れてあった。


 仲居さんは見るからに成人の俺とはるかさんの前にガラス製のお猪口ちょこを置いて、それからリサの前にも置いた。


 最初の一杯をお猪口ちょこに注いでもらったところで、まずは香りをかいで、それから舌で舐めるように少しだけ口に含んだ。たったそれだけなのに口いっぱいに爽やかな日本酒のうま味が広がっていった。飲みやすい。その後一気に呷ったがするりと喉元を過ぎていった。ちょっと、もったいなかったかもしれない。


 そこで、仲居さんは一礼して部屋を出ていった。


「はるかさん、日本酒はどうです?」


「いただきます」


 向かいのはるかさんまで距離があるので、乗り出すようにお酒の入った急須を持ってはるかさんの差し出すお猪口ちょこに酒を注いで、その後、リサに向かって、


「リサも、この酒おいしいから、どうだ?」


 そう聞いたら、


「まだ、ビールがあるので、ビールを飲み終わったらいただきます」とのこと。


 早くしないと無くなってしまうぞ、と思いつつ、手酌でお猪口ちょこに注ごうとしたら、向かいのはるかさんが、もう一つの急須を手にして、


「善次郎さん、お注ぎします」と言ってくれたので、お猪口ちょこを差し出し注いでもらった。


 女性にお酌をしてもらうと、手酌よりおいしいような気がするのはさがなのかも知れんね。


 さーて、日本酒には刺身だよな。異世界組の5人には刺身の薬味の使い方は教えたことはなかったが、華ちゃんとはるかさんがちゃんと教えたようで、みんな醤油の中にお好みでシソの花とタデを入れている。


 俺がシソの花だけを箸でしごいて醤油の小皿に落として、まずはイセエビの身だ。


 ワサビを少しだけ箸の先に付けて、輪切りにされたイセエビの身をつまむとだらりと垂れた。身は思いのほか柔らかかった。そのまま醤油の中に少しだけ付けて、シソの花が少し付いたイセエビを口に運ぶ。


 箸で身をつまんだ時には柔らかいと感じたが、口の中ではしっかりしていた。噛むとほんのり甘味がある。


 そのあと、日本酒を一口口に含み、次はマグロに手を出した。ピンク色のところを見るとトロ確定だ。厚く切っているので俺としては食べにくいのだが、高級旅館の実力を測る上にも口にしなくてはなるまい。


 先ほどと同じようにワサビを箸の上に少しだけ付けて、トロをつまみ上げ。醤油に先っちょだけ付けて口に運んだ。そしたら口の上でトロが文字通り溶けてしまった。高級旅館の実力、恐るべし!


 その後、お猪口ちょこのお酒を飲み干したら、すかさずはるかさんが注いでくれた。はるかさんのお猪口も空だったので俺が注いであげた。


 次は何を食べようかと思って目の前の料理を見回したのだが、俺は恐るべきことに気づいてしまった。


 みんな無口なのだ。子どもたちでさえ会話を止めて真剣な目で料理を食べている。ここでも高級旅館の実力を実感することができた。






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― 新着の感想 ―
[気になる点] 食べる前にコピーしてればなぁ
[一言] 余りに高級な料理は食べた経験が無いので、読んでも飯テロにならない!
[一言] 磯自慢じゃないんだ。場所的に
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