第163話 温泉旅行5。ゲーム1
俺がいい気持ちでマッサージチェアで寛いでいたら女子たちが女風呂から出てきた。
「お待ちどおさまでした」と、華ちゃん。
みんな、浴衣をちゃんと着ていた。リサ以下の5人もしっかり浴衣を着ており、明らかに外国人顔なのだがいずれも浴衣が似合っている。もちろん、華ちゃん、はるかさんもよく似合っている。ここは何かひとこと言っておかなければなるまい。
「みんな、浴衣が似合ってるじゃないか。まだ向こうでも暑い日が続くから、今度浴衣を揃えても良さそうだ」などと、お大尽的なご機嫌取りをしてやった。
これは正解だったようで、みんな笑顔になった。
「そこの自販機で、飲み物を飲んでそれから部屋に帰ろう」
そう言って、俺は千円札を牛乳の自販機に入れて牛乳を選んだ。
ガシャンと音を立てて牛乳瓶が下の方から出てきて、お釣りの小銭がジャランとでてきた。牛乳の容器はプラスチックの容器かと思ったがちゃんとしたガラス瓶だった。こっちの方がいいよな。
自販機を使うのは初めての5人は今の一連の動きが目で追えなかったのか、じっと俺の手元と自販機を見比べている。
「これは普通の牛乳だが、そこに見えてる茶色のが、砂糖とコーヒーの入ったコーヒー牛乳、コーヒーというのはちょっと苦い大人の飲み物だが、コーヒー牛乳には砂糖も入っているから全然苦くない。ピンクのがイチゴ味のイチゴ牛乳だ。それと、黄色く見えるのがフルーツ牛乳。何種類かの果物が入っている牛乳だな。好きなのを選んでくれ。
ふたの開け方は後で教えてやるから」
「「わたしは白い牛乳」」「わたしは大人のコーヒー牛乳」「わたしはイチゴ!」
華ちゃんもはるかさんも白い牛乳だった。俺は小銭を入れながらボタンを押していく。
「牛乳瓶の蓋は、この出っ張りを引っ張ってめくるようにするとパカッて開くからな」
俺はリサたち5人に牛乳瓶の蓋を取ってみせ、両足を肩幅くらいに開いて、右手を腰に当て左手に持った牛乳瓶をあおるように飲んだ。
ゴクン、ゴクン、ゴクン。プッファー!
それを見て子どもたちが俺のまねをして、
ゴクン、ゴクン、ゴクン。ゴクン、ゴクン。プッファー!
みんな揃って上唇に髭ができたところはご愛敬だ。
さすがに残りの3人は俺のマネをせず、普通に牛乳を飲んでいた。
牛乳を飲み終わり、瓶を自販機の横に置いてあった瓶入れに返して俺たちは揃って部屋に戻った。
夕食の6時まではまだまだ時間があるので、この前買ったゲームをすることにした。
まずは、ジェ〇ガだ。
座卓の上の湯呑や皿を片付けて、ジェ〇ガの箱をアイテムボックスから出して座卓の上に置き、箱の中から木のブロックを全部取り出して、3本ずつ互い違いになるように積み上げていく。
ルールはどこからでもいいから片手でブロックを抜いて、一番上の段に乗せるだけだ。
細かいルールとして、一段には3本しかブロックは置けない。一番上に3本乗ってない場合は、上から2段目のブロックを抜き取ったらいけない。
積み上げながらルールを説明したが、1回か2回タワーを崩せば自ずと理解できるだろう。かく言う俺もルールを正確に知っているわけではないので、適当でいいだろう。
座卓の周りにみんな集まっているので「順番は、俺から始めて左回りだな」ということで、最初に俺が右手を伸ばして、人差し指と親指で下から3段目の一本をつまんで少し引いたら、そこから上全体が少し動いてしまった。このままこのブロックを引いてしまうとどう見てもタワーは崩壊してしまう。せめて一巡していないと顰蹙だ。
俺はそのブロックは諦めて、もっと上の方のブロックを摘まんで引き抜き、一番上の真ん中に乗っけておいた。
俺の後はイオナだった。イオナはよせばいいのに、俺の抜いた段で、一本ブロックを挟んで俺の抜いたブロックの反対側のブロックに指をかけた。
「イオナそこはだめ!」「やめてー」「ギャー!」イオナ以外の3人が騒ぎ始めた。
大盛り上がりは結構だが、これでイオナがタワーを崩してしまうとちょっとかわいそうと思っていたところ、3人の声援?に応えてか、無視してか、イオナはすんなりブロックを引き抜いて、俺の置いたブロックの横にそのブロックを置いた。
こうなると、3人目以降が一気に難しくなる。イオナの次はキリア。
キリアは俺とイオナが抜いた一段上のブロックに指をかけて、難なく抜いて、一番上の段に乗せ、その段は3本並んで完成した。
3人目はオリヴィア。
オリヴィアは果敢にも、俺が最初に手をかけて断念した下から2段目の真ん中のブロックに指をかけた。
少しブロックをひっぱるだけで、上の方が揺れる。今度は、イオナの時以上に盛り上がった。
「オリヴィアそこはだめー!」「やめてー」「ア、アアアー!」
「あっ」
華ちゃんたちも息を止めて見守る中、見事にタワーは崩れてしまった。
「はっはっはっは」
「いけるとおもったのにー」
「ぎゃーーー」「わーーー」「ひーーー」
子どもたちが叫びながら、テーブルの周りを回り始めた。タワーを崩した当のオリヴィアまで混ざっている。
どんなゲームも人数がいれば楽しいのだろうが、これは予想以上に盛り上がるし面白い。タワーが崩れて、テーブルの上に散らかるまでの一瞬の間が最高だ。
それから何度もタワーを作り、タワーを崩して、何度もお腹がよじれてしまった。




