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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第15話 転移2


 敢えて言おう、転移は最高だ!


 布巾用に布を雑貨屋で買って台所に戻り、まずは布巾用に適当な大きさに切って台所にあった食器棚の引き出しの中に入れておき、残りは雑巾用に切ってやった。もちろんハサミなど用意していなかったので、包丁で切った。2、3日前に雑貨屋で買ったものだが思った以上によく切れる包丁だった。


「おーい。雑巾を用意したから、これで部屋の中を拭き掃除しろ」


 子どもたちを呼んで、雑巾を渡した。ほうきや桶などの掃除道具は1階の物置に入っていることを教えているので、裏の井戸から水を汲んで適当に掃除をするだろう。


 食事の用意のためにまかないのおばちゃんでも雇おうかと思っていたのだが、俺自身暇を持て余しているので、自分で作ってもいいような気がしてきた。ただ今のところ食材は何もないし、どういった食材が手に入るのかもわからないのでそのうちということにした。


 アイテムボックスの中には、串焼きやらパンなどが入っているので今日の昼メシはそれで済ませることもできたが、なんとなく転移を使ってみたくなったので、子どもたちを連れてどこかの食堂に跳んでいくことにした。


 こども部屋の拭き掃除が終わる頃合いを見計らって、


「おーい、みんな下りてこーい」


 子どもたちを1階に呼んで、さっそく転移することにした。行き先は子どもたちを連れて最初に入ったあの食堂だ。あまりおいしくはなかったが、そこは我慢するしかない。


 子ども連れでの転移の仕方は分からないが、なにせレベルマックスだ。細かいことを気にしても仕方がない。適当に手を繋いでいるくらいで十分だろう。


 集まってきた子どもたちに、


「これから食堂にいくが、一瞬で跳んでいく。だから驚かないようにな。

 それじゃあ、みんな俺に近づいて手を取ってくれ」


 4人の子どもたちは俺の言葉を理解できなかったろうが、それでも言われた通り俺の手を取った。


「いくぞ、転移!」


 視界が切り替わり、あの食堂の入り口に俺たちは立っていた。


 子どもたちは周りをキョロキョロ見回している。


「ここって?

 ご主人さま、ここはあの食堂の前ですか?」


「そうだ、スゴイだろう?」


「スゴイです。やはり私たちのご主人さま、納得です」


「さすがご主人さま!」


「……」


「それじゃあ、中に入ったら好きなものを注文しろよ」


「「はい!」」



 子どもたちを連れて食堂に入ると、おばちゃんは俺たちのことを覚えていたようで、


「あれあれ、みんな見違えるようになったじゃないの。

 いいご主人さまに巡り会えたみたいだね」


 やはりおばちゃんは子どもたちが奴隷だということを分かっていたらしい。裸足はだしであの身なりなら誰でもわかるものな。


 一通り注文を終えたところで、


「ご主人さま、さっきの魔法は何だったんですか?」


「魔法ではないが、転移といって自分の知っているところならどこにでも跳んでいくことができる」


「どこへでもですか?」


「そう、どこへでも。自分の知っているところ限定だが、いったことがあればいつでもそこに跳んでいけるってことだ。

 そうだなー、俺のいったことがある場所は、……」


 そこで俺はふと考えてしまった。


 この世界でいったことのある場所といえば、この街限定だし、それほどたいしたところを知っているわけではない。そのかわり俺が拉致られる前に住んでいた日本なら色々な場所を知っている(・・・・・)


 あれっ? もしかして?


 もしかしたら、日本に帰れるのか? 確か転移術LvMaxには制限がなかった。いけるんじゃないか?


 今は試せないが、子どもたちを屋敷に連れ帰ったら試さないとな。


 俺が急に難しそうな顔をして黙り込んでしまったので、子どもたちは下を向いておとなしくなってしまった。


「悪い、悪い。ちょっと考え事をしてしまった。心配しないでいいからな」


「「はい」」


 みんな素直でいい子どもたちだ。


 そうこうしていたら、料理が運ばれてきたのでみんな揃って「いただきます」を言って食事を始めた。店にいた他の客たちは何事かと俺たちを見たがすぐに自分たちの会話や食事に戻った。


 この世界でも将来的には「いただきます」が流行はやるかもしれない。いや、たった5人の習慣が流行るわけはないか。



 好きなものを頼めといったが結局子どもたちの頼んだのは定食だった。先に俺が定食を頼んだせいだろう。まだ遠慮しているのだろうが、そんなものかもしれない。それでも、飲み物(ジュース)だけは追加で注文した。


 追加で頼んだジュースをみんなが飲み終わったところで、


「ごちそうさまでした」「「ごちそうさまでした」」


「それじゃあ帰るか。店を出たら転移で屋敷に戻るからな」


「「はい」」


 料金を前回同様多めにテーブルの上において店を出た。


 すぐに脇道に入り、人目のないタイミングを見計らって、


「よし。きた時みたいに俺の手を取ってくれ」


 4人が俺の手を取ったところで、屋敷の玄関ホールを思い出しながら『転移』と、いちおう心の中で唱えたところ、ちゃんと俺たちは屋敷の玄関ホールに転移していた。



「俺はこれから出かけるから、お前たちは夕方まで自由すきにしていろ。危ないから屋敷からは出るなよ」


 そう言っておいて、俺はさっそく転移で日本に帰れるか試してみることにした。


 転移が成功した場合、今着ている服では目立ってしまうので、部屋に戻った俺はアイテムボックスから俺がこの世界に拉致られたときの衣服、Tシャツにチノパンを取り出して着替えておいた。靴もスニーカーだ。チノパンのポケットの中には財布とアパートの鍵、それにスマホも入っている。


 準備OK。それでは、俺のアパートを思い出して、いくぞー!


『転移!』


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