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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第139話 ソーメン。アキナ神殿


 ソーメンの準備があらかた終わったところで、俺は風呂を用意しようと風呂場に向かった。給湯器からお湯を湯舟に入れても良かったが、湯舟への給湯は自動ではなかったので、錬金工房から直接お湯を入れてやった。



 湯沸かし釜の方にはお湯を入れていない。今まで使っていた湯沸かし釜は撤去しても良さそうだが、撤去すると無垢の壁が出てきそうなので今はやめておいた。


 ほとんど時間もかからず風呂の準備が終わってしまったので、俺はいったん脱衣場で裸になって、風呂に入った。


 シャワーを久しぶりに使ったら、10秒ほどでお湯が出てきた。温度調整が付いた蛇口なので、これも後で子どもたちに教えておかないとな。



 湯舟のお湯を替えて、風呂から出て服を着たところで、子どもたちを呼び、蛇口の使い方を教えてやった。


 子どもたちは着替えを取りに部屋に戻って、そのまま風呂に入った。


 子どもたちが風呂に入ったあと、俺は華ちゃんたちのいる居間でクーラーをつけて涼んでいたのだが、風呂場から子どもたちのキャーキャーいう声が聞こえてきた。大方シャワーで遊んでいるのだろう。元気があってよろしい。そのうち海にでも連れていってやれば大喜びしそうだ。日本の小学生なら大抵はある程度泳げるが、こっちの子どもたちはおそらくカナヅチだろう。水泳が得意らしい華ちゃんもいることだし、海にいく前に楽園の泉で水泳の練習をしておいた方がいいか。


 キャーキャーが終わって10分ほどで子どもたちが居間にやってきた。華ちゃんが子どもたちの髪の毛をヘヤードライヤー魔法で乾かしてやったところで、


「それじゃあ、ちょっと早いが夕食にしよう」


 みんな揃って食堂にいった。


 準備済みの天ぷらとトッピングがテーブルに並べられ、次につゆバチが並べられた。最後は十分冷たくなったガラスの器で、その中に俺はソーメンを一人二束分入れていった。


「おいしそー」「これどうやって食べるんですか?」


 俺はキュウリの千切りとソーメンを一緒につゆの中に浸けて、


「麺とトッピングを一緒につゆの中にどっぷり浸けて一緒に食べるとおいしいぞ」


「天ぷらは大きいから麺と一緒じゃなくてもいいけど、つゆにつけて食べた方がおいしいからな」


 天ぷらは俺がアイテムボックスから出した時にはまだ温かかったが、皿に盛って時間が経った関係で今は室温になっている。それでも大丈夫おいしいはずだ。


「ショウガはあまりたくさん入れない方がいいぞ」


 子どもたちは初めてだろうからな。


「ミョウガもほどほどにな」


 これこそ初めて食べる味だろう。


 なぜか、華ちゃんとはるかさんが俺の方を見て笑っていた。






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 こちらは、アキナ神殿。


 大神官がこれまでのことを振り返っていた。


 7年の歳月をかけて準備した召喚魔法陣により、ダンジョン攻略のため異界から3名の高スキルの若者を召喚したはずが、4名召喚してしまった。4人目は30歳前の男だった。数は少ないより多い方が良いのだが、男は何のスキルも持ち合わせていなかった。


 不要な人間を神殿で飼っておくわけにはいかないし、今さら神殿兵として鍛えることなどできそうにない風体だったため、いったん空き部屋に閉じ込めておいたのだが、不思議な技を使って壁に大穴を空け、隣の部屋から銀器などを盗み出した挙句、神殿から逃げ出してしまった。


 幸い行方を突き止めることができたので暗部を使い連れ戻そうとしたが、3名が男の手にかかり、一人が逃げ帰ってきた。逃げ帰ってきた者の話によると、男は杖術の達人だったようだ。実際暗部のリーダーを含む3人は帰ってこなかったので嘘ではないのだろう。


 その後、男の手にかかった3人の死体が神殿の敷地で見つかった。状況から言って男の仕業に違いないが、どうやって死体を神殿の敷地に運び入れたのかは不明だ。さらに死体の上にはなぜか陶器の瓶が置かれており、瓶の中には何かわからないが無色無臭の油のような液体が入っていた。


 3人の死体は埋葬し、死体の上にあった瓶を片付けるよう下の者に言いいつけ5分ほどしたところで、神殿の一部の屋根が吹き飛ぶ大爆発が起こった。爆発のあと、瓶を片付けた者は消えていた。


 あの瓶が大爆発の大元だったようだ。


 その辺りを考え合わせ、逃げ出した男にうかつに手を出さない方が良いと判断し、それ以降アキナ神殿側(こちら)から男に手を出すことなく放っておいたが、男もそれ以上のことを神殿に対して行わなかった。


 男はその後錬金術師として活躍を始め、錬金術師ギルド、冒険者ギルドに大量のポーションを卸し始めた結果、ますます手を出せなくなった。


 男は杖術の達人だったばかりではなく、どうも異界で高名な錬金術師だったようだ。いまさらだが、神殿の鑑定球で男の素性を見抜けず簡単に処分しようとしてしまったことは大失敗だった。


 そういったことで男との関係は小康状態になったが、ある日、バレン南での訓練帰り、勇者たちの一人、賢者というこれまで聞いたこともない職業を持つハナ・サンゼンインが逃亡し、男の屋敷の中に逃げ込んでしまった。同行の神殿兵たちが連れ戻そうとしたが、男によって簡単に撃退され逃げ帰ってきた。


 その際神殿兵に多少ヤケドをした者がいたがポーションで簡単に治る程度のヤケドだった。そのとき男は本気ではなかったのだろう。しかし、男はあろうことか、召喚の間の前に現れて、廊下を2度にわたって爆発により破壊した。先の大爆発ほどではなかったが今回はポーション瓶のようなものを爆発させたようだ。


 いつでも、召喚の間を破壊できるとのメッセージととるほかない。当然、ハナ・サンゼンインの奪還は断念した。


 その後、ハナ・サンゼンインの穴を埋めるため『赤き旋風』という冒険者パーティーを雇いバレン南ダンジョンの探索を開始したが、探索途上、今度はレンジャーのイチハ・タハラが逃げ出してしまった。


 イチハ・タハラの逃げ出した先は確認できてはいないが、あの男のもとに逃げ出した可能性が高い。


 ダンジョン探索のかなめとなるレンジャーを欠いたうえ、今度は『赤き旋風』が契約を更新しないと言ってきた。


 こうなってしまえばダンジョンの探索を続けることはできない。


 残された時間は日一日と短くなっていく。ダンジョン探索の遅れは許されない。再度異界から高スキル所持者を召喚するしかあるまい。幸い、勇者であるケイコ・ヤマダがいるわけだから、一からやり直しということはないはずだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 日本国内のある地方都市。男子高校生と女子高校生が姿を消した。



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