第137話 屋敷の現代化改修5、完成
午後に入ってから自衛隊員たちは、トラックの中から段ボール箱を屋敷の中に運び込み始めた。どう見ても電気製品が入っている箱だ。
外から見ていたら、台所にも換気扇が取り付けられたようだ。換気扇は風呂場にも付くのだろう。
スゴク大きな箱が台車に載せられて運ばれていったのだが、どうも洗濯機のようだ。サービス過剰じゃね?
そしたら、さらに大きな箱が台車に載せられて2人がかりで運ばれて、屋敷の中に入っていった。こっちはどうも冷蔵庫のようだ。
午後3時。自衛隊員たちが空箱などを回収してトラックに積み込み、役目を終えたミニバックホウもトラックに積み込まれた。
「作業完了しました!」
隊長さんが俺のところにやってきた。他の自衛隊員たちは既にトラックの中に乗り込んでいる。
「電気製品の説明書などは、居間のテーブルの上にまとめて置いていますので、後で確認してください」
そう言って隊長さんはトラックに走っていき乗り込んだ。
俺は、トラック3台と一緒に防衛省の駐車場に転移した。
すぐに3台のトラックは発車して俺の前を通ったので、俺は「ありがとうございました」と、頭を下げて礼を言っておいた。
その後、専用スマホで野辺副室長に作業完了の報告にお礼の言葉を添えてメールして、俺はみんなを迎えに楽園に跳んだ。
楽園に現れたら、この世界オリジナルなのか、華ちゃんかはるかさんが持ち込んだのか分からないがみんなで鬼ごっこをしていた。イオナも元気に駆け回っていた。子どもたち4人とも日に焼けているわけではないが、実に健康的だ。おっさんが少女たちを愛でていたら、鬼ごっこは自然終了してしまった。日本でそんなことをしていたら24ものなので、わずかな時間だったが贅沢なひと時を味わえた。まさにおっさんだな。
「それじゃあ、屋敷に帰ろう。みんな驚くぞ」
華ちゃんがピョンちゃんにサヨナラして、子どもたちもピョンちゃんにサヨナラした。
みんなの手が俺の手を持ったところで「転移」
今回俺は玄関前に転移した。
物置小屋の中からはこれまでのエンジン音と比べ少しだけ落ち着いた音が聞こえてきている。心持ちガソリン発電機の時よりも音も小さくなった気もする。あくまで俺の主観だがな。
「さーて、お待ちかね。
俺もまだ中は見ていないんだ」
そう言ってから、扉を開いて玄関ホールの中に入った。
入った瞬間は何もわからなかったが、ホールの天井にはライトが2カ所付いていた。壁にスイッチがあったので押したら天井のライトが点いて一気に玄関ホールの中が明るくなった。
「凄い」「明るい」「さすがはご主人さま」
「さて、次は食堂から台所にいってみよう」
ぞろぞろと食堂に入るとそこにも天井にライトが付いていて、食堂の入り口にスイッチが付いていた。ここも点灯して、その先の台所に。
台所の中には家庭用とすればかなり大きな冷蔵庫がまず目についた。調理台の上には4穴のガステーブル。ガステーブルの上には金物でできた換気扇用フードとその先の壁に換気扇。換気扇用のスイッチはフードの手前についていた。冷蔵庫は動いていたので、中はもうかなり冷えていた。俺がいれば冷蔵庫も冷凍庫も不要といえば不要だが、使う側からすれば、俺を使うことに抵抗があるはずだものな。
「新しい機械の使い方は華ちゃんかはるかさんに聞いてくれ。
次は、脱衣場と風呂だな」
廊下を通って脱衣場まで移動したが、廊下の天井にも照明が付いていた。
脱衣場には、予想通り洗濯機が置いてあった。それもドラム式で乾燥機付きだ。俺もこのタイプのものは初見なので、俺には使えないと思う。
風呂場にも防水カバーの付いたライトが付いて、換気扇もついていた。そういったもののスイッチは風呂場の外、脱衣所側についていた。
「この機械も、使い方は華ちゃんかはるかさんに聞いてくれ。これが一番リサの助けになると思う」
今はまだ洗濯機のことが分からないだろうからご利益を理解できないだろうが、すぐにそのありがたさに気づくだろう。
「次は洗面所とトイレだ」
洗面所は昨日と変わっていなかったが、天井には照明が付いていた。どうも照明は標準仕様のようだ。おそらく、2階の各部屋にも照明が付いているのだろう。気付かなかったが、よく見るとコンセントが何個所かについていた。おそらくヘヤードライヤーか何かを想定しているのだろう。
トイレの扉を開けて中に入ると、男用1つ。個室が2つ。個室の扉を開けると、ウォ○ュレット付き便器が鎮座していた。トレぺホルダーもちゃんとついていた。
「ここの使い方も華ちゃんかはるかさんに聞いてくれ。
トイレットペーパーは、洗面所の脇に積んでおくから」
そう言って、トイレットペーパー12個入りを3個ほど積んでおいた。
「あとは各自自分の部屋を確認だ」
子どもたちは一目散に走り去っていった。
「はるかさん、一気に現代化しましたね」
「要望は全て通っています。照明やコンセントなどは細かく要望していませんでしたが、防衛省は太っ腹でしたね。
言い換えれば、善次郎さんと華さんのことを重要人物と考えているということだと思いますよ」
「なるほど。とはいえ、これは改めてD関連室にお礼にいかなくちゃいけないな。菓子折りの一つじゃ足りないと思うが何を持っていこうか?」
「菓子折りですか?」と、華ちゃん。
「そう。感謝の気持ちは『現金』か菓子折りって決まってるんだよ」
「確かにうちにも貰い物のお菓子とかいつもたくさんあったからそうなのかな?」
「華ちゃんもそのうち実感する時がくるさ。その時華ちゃんは大人になったってことかな」
俺の言葉で華ちゃんが顔を赤らめたのだが、何か俺はラシイことを言ってしまったのだろうか? セクハラで訴えられるって、本人は自覚なくても相手がセクハラと感じるだけでアウトとかいう話を聞いたことがあるようなないような。
菓子折りはいつでもいいけど、洗濯機用の洗剤も欲しいし、明日は電気製品を揃えようかと思っていたが、ほとんどのものが揃っているので、こまごました消耗品を買い出しにいこう。あと、台所が一新されたから、ちゃんとしたフライパンやら鍋のセットとかあった方が良いよな。
「華ちゃんは買い物に一緒にくるだろ?」
「はい」
「はるかさんは?」
「わたしは街歩きします」
「了解」
「さて、今日の夕食はどうしようかな」
これで情報機器を稼働できれば『現代文明の利器』を使うことができたと言えるでしょうが、なかなかそこまでは厳しいでしょう。




